都市近郊の夜空が明るくなると、一般の人々やアマチュア天文家だけでなく、プロの天文学にとっても、特に脅威となる。最先端の天文学の発展は、非常に小さな対象を空の明るさと大気汚染の影響の少ない、条件の良い場所に置いた大きな望遠鏡で観測する事が要求される。 例えば宇宙論の研究のほとんどの観測は、銀河やクエーサーの様に特に遠方の対象を扱っている。そこからの距離は、光が地球に到達するのに数十億年を、時には太陽系の年齢の二倍の時間を必要とする。 この光が、人口的に増加した空の明るさの中で失われる事が多い。
環境に悪い影響を及ぼし、天文の研究活動を脅かす夜空の明かりの増加は「光害」と呼ばれる。なぜなら、これは夜の安全にも、生活にも、防犯にも役にたたない、無駄な光だからだ。これは、まぶしいばかりで、必要のない場所を照らす、エネルギーとお金の無駄にしかならない。
天文学は、宇宙ですべて出来るという議論は間違っている。大きな望遠鏡は、経済的な理由から、これからも地球の上に置かれ続けられるだろう。 地上で出来ることをお金をかけて宇宙で実行する理由はない。宇宙でしかできないことがたくさんあるし、そのような種類の研究の要求は、現在も、これからも沢山ある。 宇宙での天文学の20年以上の経験から、宇宙の研究は地球の上にある施設をますます必要とする。今あるどんな望遠鏡よりも大きい望遠鏡の計画が幾つかあり、そのひとつのプロジェクトはまさに完成しようとしている。天文学にとっては、今あるそして将来完成する地上望遠鏡を使い、宇宙に設置した望遠鏡を補って行く、楽しみな時がくる
光害問題の解決方法はあるし、規制運動が沢山の地域社会で実行されている。このような運動は、長期的な天文学の研究の成功や、人類が宇宙を眺める事を守る為にも重大である。しかしながら、このような地域社会でさえも、まだ沢山やらなければならない事があるし、殆どの地域では、このような問題があることさえも気づいていない。
現段階では、光害をコントロールするための最大の問題は、むしろ反論されることよりも、この知らないこと、気付いていないことである。一般の人々、行政の指導者やスタッフ、照明の専門家に知らせることが現在の運動の主要な推進力となっている。 このような努力が実っている。主要な観測地の近くでは光害の増加は、緩やかになっている。さらに多くの事が地域で、国でそして国際的に実行出来るし、また、実行されなければならない。天文家達がアマチュアもプロフェッショナルも、そして多くの人たちがこのような協力の必要を呼びかけている。
天文家達は、夜間の照明に反対している訳では無い。彼らも、誰とも同じように質の良い照明を必要としている。眩しさをなくすこと、効率、そして暗い夜空の必要という点を考慮した照明設計を基にし、可能な限り良質の照明を支持している。更に大切な利点は、光害を少なくする全ての努力が夜間照明の効率と便利さを改善し、省エネルギーにも貢献する事だ。すべての人が利益をこうむることにつながる。
夜の安全も快適さをも犠牲にしないで、光害を少なくする方法を次に上げてみよう。
以上の解決方法の全てが、「目的に応じた最良の照明設計を行い、まぶしさ、迷光、そして光害などの全ての関連する要素を考慮する事。」を現実に説いている。 天文活動を守る為に必要な全ての問題の解決策が、照明の質を最大にして、エネルギーを節約するという前向きな利点を持っている。
夜間の環境を守るために、今出来ることを実行しなければならない。これが人類が直面している環境問題のもう一つの鍵となる。ただほとんどの人がまだ気付いていない問題だ。