インターナショナル・ダークスカイ協会

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防犯灯−不良照明ではなく真の安全を


私達が皆ハッキリと望むものは、夜間の防犯と安全である。家にいても、家から離れていても、私たち自身、家族、住宅、財産、そしてその他全てに。目的は安全と感ずるだけではなく、安全であること。このことは、効果的で効率の良い照明を必要とするのを意味する。視認性がゴールとなる。犯罪者に見えるだけではなく、我々も見えることを望む。この目的は、家でも、路上でも、駐車場でも、仕事でもどこでも当てはまる。よい照明は役に立つが、質の悪い照明は安全を危うくする。

ほとんどの犯罪は、実際には日中か建物の中で起こる。しかし私たちは、夜間に屋外で安全だという安心感と、安全という事実とを求める。このことは、回りの誰の目をも眩ませ、迷光を作り、空をライトアップするような、可能な限り明るい照明を置くことではない。私たちが必要なのは効果のある照明、明かりが必要な所、視認性をあげる場所を照らす照明だ(そしてそれ以外の場所のどこでもない)。 この意味するところは:グレアが無く、迷光が無く、上方への光が無く、濃い影を作らず、極端な明暗差などが無い事。照明そのものが安全を保障する訳ではない。大きな街の明るい中心部と照明の少ない小さな町とどちらが犯罪が多いのだろう。
皮肉が好きな人は、明かりが多ければ、犯罪も増えるという、照明と犯罪の正の相関関係を導き出すだろうが、私たちはそうは考えない。実力のある法の権威の、現在と過去の調査を要約すると:「少ないデータでは、照明と犯罪の関係について明確な主張は出来ないが、しかし照明が犯罪発生への恐怖を少なくする強い兆候はある。」出来の悪い照明ではなく、優れた照明が真の安全の基本だ。

安全が度々犠牲になる良くない防犯灯の例を上げてみよう。この様な質の悪い器具は、偽の安全と安心感を与えてくれるが、実際は、安全にまったく寄与しないばかりか事態を悪くする場合もある。犯罪者を導きさえする:「さあ来い、この明かりがお手伝いするよ」、と。

  1. 175ワットの夜間用 "防犯照明" この照明具は、エネルギーも安く、良い照明器具の設計もなく、不良照明の問題が良く分かっていない、古い時代に設計されている。
    この器具は、29.95ドルかそれより安く売られているが、200ワット以上の電力を使う。ということは、大体どの地域でも年間の運用コストは、約70ドルであり、電気コストの高い地域ではもっと掛かることになる。光出力の多くが無駄になり、全然役に立たない上か横方向を向いている。住宅を保有している人、その他の人の目を眩ますグレア(まぶしさ)も相当強い。
    近所の人を疎外するように、光をどこにでもまき散らす。樹木や建物の後ろに強い影を作り、犯罪者達が隠れる暗い場所を沢山作り出している。この照明は、不良照明の一番の例だ。しかしながら、国中で何百万と使われている。なぜだろう?それは安くて、明るいからだ。グレアが多いので、私たちは、光が沢山あると考える。しかし、これは、効果も効率も最も悪い照明だ。 ( IDAインフォメーションシート #3#26 を参照)

  2. グローブ型照明。これもまた光をどこにでもまき散らす。光の無駄が多く、地上を明るくするためには、ワット数の大きいランプを使う必要がある。こうして、グレアも強く出て、地上さえも見えないことがよくある。!
    何故、このように効率の悪い器具が沢山使われるのだろう。主に昼間に見栄えがする外観だからだ。もし、その外観が望まれるなら、小さなワット数のランプを中に入れて(ガス灯の時代のように)、昼間の外観を保ったらどうだろう。地上を照明するためには、質の良い照明システムを別に設置出来る。この良質の照明システムからは、グレアや迷光もないのでグローブ照明の演出からの注意を削ぐ事もない。望んでいる照明器具の魅力、良い照明、そして安全が手に入る。コストは、高いが、良い照明だ。

  3. 満足な傘の付いていない、壁に取り付ける照明具及び類似の器具。これも光を何処へでもまき散らす、少しは光が必要な場所に届くが、ほとんどが無駄になっている。グレアも強い。上手に傘をすれば壁に取り付ける明かりは、素晴らしい光源となり得る。しかし購入するときにどんなものか確認する必要がある。壁に取り付ける照明の幾つかは、うまく光をコントロールできるが、あるものは全然ダメなものもある。

  4. 設計が悪いか、取り付けの悪い投光器。投光器は光を上手にコントロールするので良い照明になり得る。しかし、この利点を生かすように上手に設計し取り付けがなされなければならない。多くは、取り付けも悪く不特定の方向に向けられ、もっと悪い時は通りに直接向けられている(自動車を運転する人にひどいグレアの原因になっている)、あるいは隣の庭や寝室の窓に向けられている。

ここに良い品質の防犯灯の幾つかの例がある:

  1. 適切にシールドされた 低圧ソディウム(LPS)の器具 (65636 bytes):適切にコントロールされた光、エネルギーの効率、グレアもない。演色性が悪いのは、ほとんどの防犯灯としては全く問題にならない。LPS照明は視認性も素晴らしい。

  2. 同じ様なフルカットオフの高圧ソディウム(HPS)、またはメタルハライドの器具、或いは良い器具に取り付けた新しい小さなワット数のPLランプ:上方への光も、グレアもない。

  3. 上手にコントロールされた投光器かスポットライト。

  4. 誰かが赤外線のビームを横切った時にだけスイッチが入る赤外線センサー付きのスポットライト(必要であれば、アラームも起動出来る)。これらは、大変コスト価値があり、最も効果的な防犯灯だ。侵入者を追い払い、住宅の所有者が必要な時に良好な視認性を与えてくれる(ゴミを持ち出しているときとか、侵入者があるとき)。この照明は、空に向けたり隣の敷地を照らすことの無いように、必要な場所だけを照明するように取り付けられなければならない。普通軒下が適切な場所になる。

良く見えるためには、適当な光量が必要だが、多すぎてはいけない。多すぎると暗闇への順応が犠牲になり、必要なときにまぶしくて見えなくなってしまう。明るすぎるところから、とても暗い場所へ行くと、またその逆でも、しばらく視力が低下する。この現象は、「明暗順応」と呼ばれ、適切な設計は視認性への悪影響を少なくするべきだ。

良く見るためには、グレア(訳注:眩しさ)をなくす必要がある。グレアは、決して視認性を向上する事は無い。良く見るためには、うまく照明された場所の近くの暗い場所を最小限にする必要がある。これは、上手な照明設計が必要な事を意味する。エネルギーの節約についても考えてみよう。私たちは、光を無駄にしたり、効率の良くない光源を使うべきではない。不良な照明のおかげで世界中で過剰なエネルギーとお金を無駄にしている。(アメリカ合衆国の例では年間10億ドル以上)光を使うべきであって、無駄にしてはいけない。

夜間の安全を最大にするために他に何が出来るだろう。幾つかのアイデアがある(別のアイデアや詳細を図書館で調べたり、警察に問い合わせよう):良い鍵を使い、玄関に出るときはのぞき穴から誰がいるか確認する、モーション検知器を含む効果的な警報装置を設置し(上にも書いた赤外線スポットライトのような)、電話の使い方も注意し(電話での答え方や、留守番電話の録音内容についても)、出かけるときはラジオやタイマーで室内灯をつけたり、財産に適当なラベルを付け(窓には防犯ラベルを付け)、犬を飼い、近所のウォッチプログラム(最良のアイデアの一つ:このようなプログラムで品質の良い街灯を推薦しよう)に参加したり推し進める、などなど。


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本資料の著作権は、IDAにあります。例外の場合は、それぞれ明記されています。この資料をIDAに著作権があることを明示した上で、非営利目的で使用する場合は、複製する事に問題ありません。 日本語の翻訳は、IDAのメンバーである、わかばだい天文同好会が行いました。