インターナショナル・ダークスカイ協会

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光害−夜を盗む犯罪者(配布資料)


I. 前書き:  最近夜空を見上げたことがありますか?宇宙(星空)が無くなろうとしています、いや、もう無くなってしまった所も多い。星空は、環境の大切な一部分です。天文学にとっても、そして皆さんにとっても。

我々の祖先が見た暗い夜空は、地球に住むほとんどの人から消えてしまいました。

良い照明を選べば、星空を守り、良く見え(より安全で防犯にも効果的)、快適でゆとりのある環境を手に入れる事が出来ます。同時に沢山のエネルギーとお金を節約できます。

II. 夜間の照明は、何故するのでしょう?:  防犯、安全、生活、そして我々の周りに魅力的な夜の環境を作るためです。 しかし、照明の全てが質の良いものではありません。

III. 質の悪い夜間照明は、どんな悪影響があるでしょう?

  1. 都市郊外の空が明るくなり、星空を破壊する。我々は、空に浮かんで暮らしている訳では無いので、空中の明かりは、無くても良いはずです。

  2. まぶしさ。まぶしさは、視認性を向上させることは無いのに、都会では、何処でも経験することです。まぶしさの無い環境を作る努力が必要です。

  3. 迷光。(光が不要なところに入り込むこと)今ある照明の多くは、我々を助けてくれると同様に、或いは、それ以上に迷惑でもあります。無駄な光が、庭を照らし、窓を照らし、天文台の建物の中へさえも入り込むのです。騒音公害と同じように、こんな光は、不要です。

  4. 夜の環境を台無しにする。昼間と同じように、美しい夜の環境を、誰もが作るよう努力しなければなりません。このような環境の悪化が現代のストレスの原因でもあるのです。この問題に妥協しないで、手を貸して下さい。夜も環境の一部分であることを思い出して下さい。

  5. エネルギーの浪費。質の悪い照明を使うことで、必要でも、望んでもいないところを照らし(空の上を照らすことも含めて)、そしてエネルギー効率の悪い光源と照明設計を使い、天文学的な量のエネルギーとお金を無駄にしています。

誰もがこの問題の被害者です。しかし、そうである必要はありません。

IV. では、何をすればよいのでしょう?:

  1. 良い照明を使うことです。品質の良い設計とは、実際には、ごく常識的な照明の考え方なのです。

  2. 光が必要な、下の方向を照らすことです。光を無駄にせず、必要な場所へコントロールする事です。

  3. タイマーを使い、(または、ディマーを使うか別のコントロール)必要な時だけ照明をし、そうでないときは切ることです。

  4. まぶしさを少なくするような設計をし、照明具の取り付けを実施することです。まぶしさは、たいてい取り付けの不備か質の悪い固定具が原因で起こるのです。まぶしさは、不要です。

  5. 過剰にならない適切な光量を使うこと。「もっと明るく」というやり方をしてはいけません。まぶしさがもし無ければ、照明のレベルがかなり低いと思われても、人間の目は、非常に良く見える素晴らしい器官です。さらに、過度に明るい場所から暗い場所へ移動すると、良く見えなくなるし(明暗順応)、逆も同じです。

  6. エネルギー効率の良い光源を使うこと。光源によって効率は大きく変わります。特に低圧ソディウム(LPS)ランプを使うことを検討して下さい: 最も効率が良く、LPSからの光は、基本的に一色で(単波長)フィルターを使ってうまく除くことが出来るため、天文学者たちからも強く求められている光です。LPSは街灯、駐車場の照明、防犯灯など、他にも色の見え方が問題にならない応用なら最適です。LPSを使えば、基本的にどんな使い方でも、行き届いた設計が出来ます。

V. 効果が出ています!:  以上の様な質の良い照明は、今では沢山の場所で、かなりの期間使われています。そういった都市では、市民の為のより良い照明と、大幅なエネルギーの節約、そして暗い夜空(ただし、道路は暗くしていません)の恩恵を受けています。誰もが利益を受けるのです。

効果的に始める方法は、市で屋外照明のワーキンググループを作り、この課題を考え、地域の必要に応じた具体的な解決策を提案して行くことです。 このような委員会は、沢山の地域でかなり効果を上げています。 天文と照明の専門家で活発に働いている人は、質の良い照明の利点を歓迎し、喜んで手を貸してくれます。

VI. じゃあ、何が問題なのでしょう?: 問題の主な点は、この論争、問題、そして常識的な解決手段の認識がほとんど無いことです。教育が現在の運動の主な推進力です。次に大きな問題は、無関心です。気付いたとしても、行動が必要です。ある人は、参加するには論点が大きすぎると考え、その他の人は、たいした問題では無いと感じているのです。どちらも無関心の理由にはなりません。

VII. 手を貸します:  非営利目的の団体、インターナショナルダークスカイ協会は、教育活動を通して、手助けを提供するために新しく設立されました。 今では56カ国に会員を持つ会員制の団体です。 IDAは、この問題を議論した沢山のインフォーメーション・シート、スライド等の資料を、情報の欲しい方、人々に教えようと思われている人たちの為に作りました。

VIII. 結論:  一つ問題があって、沢山の場所で、いまだに問題は悪化しています。しかし有効な解決の方法はあります。夜間照明の質を向上し、多くのエネルギーとお金を節約する手段にもなります。気付かれていないことと、無関心が主な問題です。行動が必要です。結論は、全ての人が利益を得ることです。

IX. 御願い:  どうか皆が気付いて、関心を持ってくれるよう手を貸して下さい。星空と宇宙があなたの助けを求めています。星空を救う手助けを御願いします。

IDAは、変化を起こしていますが、あなたの手助けも必要です。 個人会員の会費は、20USドルから、団体は100USドルからです。この問題の情報が必要な方、又会員になりたい方は、下記へ連絡を:

IDA, Inc.
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本資料の著作権は、IDAにあります。例外の場合は、それぞれ明記されています。この資料をIDAに著作権があることを明示した上で、非営利目的で使用する場合は、コピーする事に問題ありません。 日本語の翻訳は、IDAのメンバーである、わかばだい天文同好会が行いました。