上方光束比について
光害の被害をもっとも受けて、問題を一番良く知っているアマチュア天文家が ガイドラインの特徴を良く理解し、実際の照明の改善に取り組む推進力となる 事が一つの大きな鍵となるはずです。
この理由は、ガイドラインの推奨する屋外照明の「選択範囲が広く」、選択次 第では、光害対策の効果は大きくも、小さくもなってしまうからです。
漏れ光と照明領域に出る光
「漏れ光」とは、照明器具から出る光で、その目的とする「照明対象範囲外」
に照射されるものです。図の「照明領域」に照射される光が本来の目的に使わ
れる光となります。
漏れ光には、上方光束の全てとグレア(眩しさ)や不快光となる下方光束の一
部が含まれています。
水平の方向から下へ向かって15度までの範囲(この範囲を90〜75度と言 います)で出る光は、歩行者や車を運転する人に遠くから見えます。そして明 るいランプが直接見る角度ですから、グレア(眩しさ)の原因となります。こ の範囲で出る光も出来るだけ抑え、眩しさを少なくすることが大切です。
夜間照明として、本当に役立つ光は、照明から真っ直ぐ下ろした線から上へ約 75度(0〜75度)までの角度で出る光で、図の中で照明領域に効果的に使 う事の出来る光です。
6-2 「街路照明器具のガイド」
6-2-4 上方光束比
(1)「あんしん」(注参照)の街路照明器具は、設置された状態で、上方光束比
が5%以下であることを推奨する。
(2)照明環境III及びIV(注参照)の状態において、「たのしみ」(注参照)の
照明器具は、設置された状態で、以下の上方光束比であることを暫定的に許容
する。
・短期目標としての指針 0〜15%(照明環境III)
0〜20%(照明環境IV)
・行政(率先実行)による公共街路照明整備に関する指針
0〜15%(照明環境III・IV)
(以上ガイドライン3-b照明環境の類型についてより)
つまり、一番少ない例で上方光束が0〜5%、そして照明環境IVに該当する都 市部で0〜20%の上方光束、つまり最大20%の水平以上に出る光が残る事 になります。もし、20%の上方光束を残した場合、光が上方に向かう角度は 水平より30度以上にもなり、大きな光害の原因が残る事となります。
ガイドラインを上手に使い、光害を出来るだけ少なくし、同時に電気エネルギ ーの無駄を無くするためには、 照明環境の区分にこだ わる事無く、上方配光率を出来るだけ「ゼロ」に近づける事が大切です。 更に、眩しさになる光を少なくするためには、75〜90度の範 囲に出る光も出来るだけ少なくすることも必要になります。
光害対策ガイドラインを良く理解し、本当に私たちが実施しなければいけない 重要なエネルギーの無駄を無くすことにも気付き、市町村へ意見を出し、照明 改善に努めてください。