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高橋 紀子 noriko takahashi
NY市立大学シティカレッジのミュージアム・スタディーズ その3
エキシビジョン・アナリシス〜展覧会を分析する
エキシビジョン・アナリシスというセミナー形式のこの科目は、生徒1人につき1つ展覧会を選び、その展覧会についてあらゆる面から考察・分析していくというものです。通常その授業の受講者は10名前後だそうですが、それだけの数、もしくはそれ以上の数の美術展が同時期にNYで開催されているからこそ、この授業も成立しているのだと言えます。
まずは、自分の分析する展覧会を選択する前に、「Thinking About Exhibitions」という展覧会分析のエッセイ集を読み合い、展覧会を分析するとはどういうことかを理論的に学びます。その後、自分の分析したい展覧会を第2志望くらいまで選び、教授が決定してきます。
ちょうど私が受講した時のクラスメイトは、私のようなアジア人を始め、南米系、アフリカ系、ヨーロッパ系と、言語も含め文化のバックグラウンドがそれぞれ違ったメンバーがそろっていました。また、各々の美術の専門分野も考慮して、教授は展覧会分析の担当者を決めていったようです。
それぞれ生徒は、最初に教室で展覧会を分析し、次に実際の展覧会場にてガイドツアーのような形で自分の分析を発表しました。教室では、主に展示されている作品や付随するプログラムなどのソフト面について、展覧会場ではディスプレイや案内表示などハード面についての分析を発表する、といったパターンでした。
そして、それぞれ実際に展覧会を分析した後に、もう1度前出の「Thinking About Exhibitions」を読み直し、そのエッセイ集の中でどのエッセイが分析する際に有効だったかを話し合います。展覧会を分析するにつれて、この本に書かれているエッセイそれぞれのポイントがクリアに見えてきたのが印象的でした。
展覧会を分析するということは、今後自分が展覧会を企画・運営する際に、どういったところに着目し改善していくべきか、その指標をつかむことだとこの授業を通して学びました。
また、特に効果的だったのは、自分が実際に多角的に展覧会を考察するだけでなく、自分とは文化のバックグラウンドが全く異なったクラスメイトの展覧会分析を聞くことでした。生徒各々の持つ文化背景の違いによって、考察や分析する視点も変わってくるという発見は、ある種カルチュアル・スタディーズにも通じるものを感じました。
03.06.01更新
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