1、採用と入社
1、採用
採用とは、労働者を雇い入れることであり、原則として会社は自由に採用することができます。しかし、職業安定法第3条『何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地・・・等を理由として職業紹介、職業指導等について差別的取扱を受けることがない』男女雇用機会均等法第5条『労働者の募集及び採用について、女性にたいし男性と均等な機会を与えなければならない。』としています。
よく聞かれる事?????
イ面接から採用
☆面接で訊いてはならないこと
・求職者の個人情報には特に気をつけなくてはなりません。社会的差別の恐れのある事項、思想、信条、組合活動への参加は原則として訊いてはなりません。
・結婚してますか? 子供を作る予定は? 職業能力、技能、適性に関係のないことは慎んでください。
☆採用の諾否の通知は、いつごろまでにするのがよいでしょう。
・求職者は、期待して応募しているわけです。新規学卒者の採用ならば時間がありますが、中途採用の場合は、得に速やかに採用の諾否を先方に伝えるべきです。又、○○日までに返事するということを応募者に伝えてあるなら、守りましょう。応募者は、どきどきしながら待っているのですから。
☆会社が入社日を変更したとき
・会社の都合で入社日を変更すると、労働者はまだ入社していませんが入社を期待しあてにしているわけですので休業手当の支払いを求められることも考えられます。
☆健康診断書の提出を求めたいのですが。
・労働安全衛生規則で、雇い入れ時の健康診断は義務付けられており、採用する方には当然提出を求めれます。
☆履歴書は、返却しなくてはならないのでしょうか。
・入社をお断りするわけですから、速やかに返却するのが望まれます。面接の際に、応募書類の返却の有無について応募者の了解を取っておくようにします。
☆募集要項と労働条件
・一般的に募集広告は、広告であり労働条件の明示とはいえません。しかし、労働条件の明示がなされなかった場合は、募集要項が労働条件の明示とみなされることもあります。いずれにしても、募集要項と労働条件が大きく違うのは、困ります。
ロ採用から入社
☆入社日になんら連絡もなく出勤してこない人に対して、会社としてどんな対応をするべきでしょう。
・まず本人に連絡を取り事情を聞いて見ます。
・このことを理由に不採用とできるでしょうか。これはお話を聞くしかありません。まだ入社していない人です。
☆提出書類を出さない人は、採用しなかったとみなしてよいのでしょうか。
・出社している人であれば、まずは提出をするように言いましょう。
・御社の就業規則ではどうなってますか。
☆住民票等の個人情報の提出は、どの程度までが適当ですか。
・個人情報保護法では、必要な情報の提供を規制していません。目的がはっきりし、目的のために使用するのであれば提出を命じることはできます。しかし、さして必要でない情報は知らないほうが良いということもあります。
☆身元保証の提出
・身元保証に関する法律で規制されていることからもその補償にはおのずと範囲があります。保証人になってほしいといわれた方から、書面を見るととても心配と言う相談が多くあります。
☆身元保証人はよいが、印鑑証明を添付してほしいといわれている。印鑑証明を会社に提出して大丈夫でしょうか。
・どうしても印鑑証明が必要な理由を説明し、拝見したら原本をすぐにお返ししてはいかがでしょう。
☆入社後すぐに病気になり休職したいといわれています。
・会社は、労働してもらって賃金を支払うところです。
・就業規則を見てみましょう。
☆労働条件の明示は、口約束ではだめですか。
・口約束も約束です。しかし、書面で明示が労基法則に決まっています。思い違いや言った言わない等のトラブルは多くあります。きちんと書面明示してください。
ハ試用期間と本採用
試用期間は、解雇権を留保した期間といわれています。労働者をしっかり観察、指導、教育し適格性を判断する期間といえます。解雇権行使は、解雇に当たります。
☆試用期間は、自由に期間を定めてもいいですか。
・どの位の期間が適当かということについてはなんら規制はないが、1年を超えるのはいかがなものかとおもいます。一般的には3ヶ月程度が多いようです。何らかの理由で延長したい場合も労働者にきちんと説明する必要があります。就業規則での定めはどうなってますか。
☆試用期間延長は、どんな場合に可能でしょう
・労働者の適性に問題があり、採否についてもう少し様子を見たいとき。
労働者の合意があったとき。
就業規則等に明文化されているとき。
☆試用期間は、いつから始まるのでしょう。
・入社日以降自宅待機とか、病気で出社していないとき等は、実際に働き始めてからが始期となります。
☆本採用拒否
・労働者との間には、いったん雇用関係が成立したわけです。労働者は雇用継続への期待のもと、他企業への就職の機会と可能性を放棄することになりますので解雇権行使に当たってはそれなりの理由、合理性が必要となります。