労務管理事務所通信

 Labor Management Office Report

4月号  発行日: 平成14年4月1

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

 

 

(前書き)

4月1日より大きく改正となる労務管理関連諸法令が多々あります。特に注目は、厚生年金法の改正による被保険者資格年齢の引き上げ及び3号被保険者の届出の方法の変更です。更に、育児・介護休業法の改正により、育児者・介護者の支援の強化が計られています。担当の社労士、又は各行政機関に詳細を確認してください。

 

 
最近のニュースから

 

過労死:
深夜残業などに対応せず会社と社長に罰金 東京簡裁

99年4月に過労死した社員に、連日の深夜残業をさせながら労働時間の管理や健康診断をしなかったとして、労働基準法と労働安全衛生法違反で略式起訴されていた東京都渋谷区の設計・施工会社と社長(49)に対し、東京簡裁は1日付で、それぞれ罰金30万円の略式命令を出した。(毎日新聞2002.03.04..)

  労働時間:
仮眠も時間内 最高裁が初判断

ビル管理会社の24時間勤務で、仕事中の仮眠は労働時間と主張して、従業員ら10人が会社に割増賃金を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(井嶋一友裁判長)は28日「仮眠も労働時間」との初判断を示し、従業員側勝訴の1、2審を支持した。そのうえで、割増賃金の算定について、審理を東京高裁に差し戻した。(毎日新聞2002.02.28)

     

雪印食品: 関東工場が雇用保険手続き放置 パートら百人未加入

 会社解散を決めた雪印食品が、関東工場(埼玉県春日部市)のパート従業員ら約100人について、雇用保険法で義務付けられた雇用保険加入手続きをしていなかったことが23日、分かった。同社が解雇日の3月10日までに手続きを取らなければ、給付を受けることが困難になる。厚生労働省埼玉労働局は、過去2年分にさかのぼって保険を適用するため、追徴金を含め約500万円を徴収する方針を固めた。(毎日新聞2002.02.23)

   
   
今月の統計

各国のGDPに占める総医療費割合(単位:%)

             

/ 1970 1990 1998
日本 4.6 6.1 7.6
7.1 12.4 13.6
4.5 6.0 6.7
ドイツ 6.3 8.7 10.6
5.8 8.8 9.8
5.2 8.1 8.4
スエーデン 7.1 8.8 8.4

(出所)OECD Data 2000

   
GDP比で見ると、日本の医療費は、欧米先進国と比較して、決して高い方ではない。

しかし一方、注目すべきはその著しい伸び率である。1990年代の景気の低迷期にも関わらず日本の医療費の伸び率は、他国と比べ、最も高い伸び率を示している。

 

 

 

法改正情報

 

 

             詳細については、担当社労士まで!

 

 

厚生年金保険の被保険者資格が延長になりました。

平成14年4月から厚生年金保険の適用事業所に使用される65歳以上70歳未満の人は厚生年金保険の被保険者となります。

厚生年金保険の被保険者の年齢の上限が65歳から70歳未満に引き上げられることにより、適用事業所に使用される65歳以上70歳未満の人も厚生年金保険の被保険者となり、保険料を納めていただくことになります。したがって、これらの人の厚生年金保険の被保険者資格取得届の提出が必要となります。

65歳以上70歳未満の人の在職老齢年金

14年4月1日より、65歳以上70歳未満の人が老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険の被保険者であるときは、賃金(標準報酬月額)に応じて老齢厚生年金の全部又は一部が支給停止される場合があります。
 具体的な在職支給停止の仕組みは次のとおりです。齢基礎年金は支給停止せず、全額支給されます。

賃金(標準報酬月額)と老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額の合計額が37万に達するまでは、満額支給されます。

賃金と老齢厚生年金の月額の合計額が37万円を超え る場合は、超過部分の1/2の額の老齢厚生年金が支給停止されます。なお、平成14年4月1日時点で65歳(昭和12年4月1日以前生まれ)に到達しており、老齢厚生年金の受給権を有している人については、上記の支給停止は行われません。

  国民年金の第3号被保険者の届出の方法が変わりました。

国民年金の第3号被保険者の届出は、本人が市町村に届出していただくことになっていましたが、平成144月からは、健康保険の被扶養者の届出と一体化された届出書により、配偶者が勤務している事業所を経由して社会保険事務所等へ提出することになりました。

第3号被保険者とは、例えば、サラリーマンの妻等で、厚生年金・共済年金などの被保険者に扶養される配偶者のことです。

育児・介護休業法が改正されました。

育児や家族の介護を行う労働者の職業生活と家庭生活との両立をさらに強く支援するものとなっています。例えば、事業主は、1才に満たない子を養育する労働者について勤務時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための措置を、1歳から3歳に達するまでの子を養育する労働者について育児休業に準ずる措置又は勤務時間の短縮の措置を講じなければなりません。

     

 

 

 

(あとがき)

去年の10月に施行された「個別労働紛争解決促進法」により全国に設置された相談所で紛争解決の斡旋をするケースが急増しています。どのようなときにも自信をもって社の労務管理について行政機関に申し述べることができるよう、常日頃より担当の社労士を活用しましょう。