Labor Management Office Report 7月号 発行日: 平成14年7月1日 |
永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信 |
(前書き)
日本中を興奮に包んだサッカーのワールドカップが終わりました。1964年(昭和39年)の東京オリンピックの時のように、これを契機に景気がよくなってほしいものです。
一方の現実は、米国のNYSE、NASDAQともに低下傾向にあり、それに引きずられて日本の株価も低下気味です。
どのような困難なときでも、人材が企業の命、このようなときにこそ人材に目を向けるときだと思います。
社員の研修や高度な人材の採用には、国から助成金が出る場合がありますので、詳細については、担当社労士に御相談ください。
最近のニュースから |
日本版401k、8カ月で105社導入
運用の巧拙で将来の年金額が変わる確定拠出年金(日本版401k)の導入企業が発足後約8カ月で105社(6月18日現在)に達した。約4割はこれまで企業年金がなかった企業で、中小企業中心に企業年金のすそ野を広げている。
確定拠出年金は加入者が自己責任で掛け金を運用して年金資金を積み立てる制度で、企業単位で入る企業型は昨年10月、個人で入る個人型は今年1月に発足。その実施状況を厚生労働省が19日に開いた導入企業の「連絡会議」で公表した。
導入企業(5月末時点、95社)を規模別に見ると、従業員300人未満が6割を占める一方で1000人以上は約2割にとどまり、中心は中小企業。全体の約4割(41社)は導入前に厚生年金基金など従来型の企業年金を持たず、初めての企業年金として導入した。厚労省は「従来型と異なり事業主に運用リスクがないので中小企業も導入しやすかった」とみている。
(日本経済新聞6月20日)
住友生命:
「時間外」に終業時刻記さず 大阪労基署が行政指導
大手生命保険会社の住友生命保険が、社員の終業時刻を記録しないなどサービス残業発生の恐れがある時間外賃金制度を取っているとして、大阪中央労働基準監督署から改善を行政指導されていたことが1日、分かった。住友生命は指導を受け入れ、終業時刻を記録し、1時間未満は切り上げて残業時間を計算するよう制度を改めた。
住友生命によると、同社の残業は1時間単位で部課長ら上司が命じる仕組みで、実際に仕事が終わった時刻を記録していなかった。このため、命じられた残業時間を超えた場合、1時間未満は切り捨てられ、時間外賃金の一部が支払われない可能性があった。
同労基署が3月11日、大阪市内の本社と2支社に立ち入り、昨年12月と今年1月の勤務記録を調査。残業時間の計算方法が明記されておらず、残業が終わった時刻も不明で、労働基準法違反のサービス残業が発生する恐れのあることが判明した。
住友生命は残業時間を完全に把握できるよう出勤記録のつけ方を改め、残業時間の計算方法を切り上げで行うように本社の部課長や全国の支社に通知した。
さらに、同労基署の調査で、管理職から残業指示がないのに休日に本社へ出入りする社員がいることも判明。同労基署は休日出勤がサービス残業になる恐れがあるとして、休日の出勤管理を徹底することも指導した。
住友生命調査広報部は「労基法違反の事実はなかったが、残業時間の計算が不明りょうとの指摘を受け、切り上げて計算するよう社内に徹底した。休日の本社への出入りについても対策を検討中」としている。
(毎日新聞6月1日)
健康保険法改正:
衆院で可決 医療費負担引き上げ
サラリーマンの医療費自己負担を3割に引き上げる健康保険法改正など医療制度改革関連法案は21日の衆院本会議で自民、公明、保守の与党3党の賛成多数で可決され、参院に送付された。参院の審議入りは24日で、政府・与党は延長国会会期末(7月31日)までの成立を目指す。
衆院本会議には民主党が出席して反対に投票したが、自由、共産、社民の野党3党は欠席した。採決は記名投票で行われ賛成281票、反対124票だった。
医療制度改革関連法案は、サラリーマン3割負担のほか(1)70歳以上の医療費自己負担を完全1割とし、一定以上の所得がある者は2割に引き上げる(2)自己負担の上限の引き上げ(以上は02年10月実施)(3)保険料算定をボーナスを加えた年収ベースに変更(4)政府管掌健康保険の保険料率を7・5%から8・2%に引き上げる(以上は03年4月実施)――などが柱。
(毎日新聞6月21日)
今月の統計 |
平成13年の労働災害者数、全国 vs. 東京都 東京における平成13年の労働災害による死傷者数(休業4日以上の休業災害及び死亡災害)は、前年から上昇した。今年に入っても、その上昇傾向が続いている。一方、全国レベルでは、下降傾向にある。これらのことから、東京都は、緊急の防止対策の実施を決めた。詳細については、東京都労働局へ。
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判例情報 |
シックハウスで労災認定−堺の保育所で全国初
大阪府堺市の市立保育所で、化学物質によるシックハウス症候群にかかったとして労災補償を求めていた女性保育士4人に対し、堺労働基準監督署が労災認定していたことが、11日明らかになった。大阪労働基準局によると、シックハウス症候群での労災認定は全国で初めてという。
同基準局労災補償課などによると、4人は同市立五ケ荘保育所でアルバイトしていた20−60歳代の堺市内の女性保育士。保育所建て替え工事のため、昨年5月から今年3月までの間、仮設のプレハブ建物に移ったところ、目や鼻、気道の痛みなどを発症した。今年5月労災認定を受け、治療費全額を補償されたという。所属園児15人も同様の症状を訴えたという。調査では、この仮設建物の建材から、シックハウス症候群の原因物質の1つとされるホルムアルデヒドが検出された。
同基準局は(1)4人の症状がいずれもホルムアルデヒド特有の症状(2)4人とも同様の既往症がなかった(3)仮設保育所以外でホルムアルデヒドに触れておらず、保育所から離れると症状がおさまった―などを認定の根拠にしたという。
6月11日(共同通信)
NTT社員の敗訴が確定−研修中に有給休暇
研修中に有給休暇を取って労組大会に参加したNTT社員がけん責処分の無効確認を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(上田豊三裁判長)は25日、請求を退けた差し戻し控訴審判決を不服とする社員の上告を棄却した。社員の敗訴が確定した。 一、二審は「無断欠勤として処分したのは行き過ぎ」などとして社員の主張を認めたが、最高裁は2000年に「短期間集中的な研修中には、使用者は年休の時季を変更できる」と企業の裁量権を認める判断を示し、審理を東京高裁に差し戻した。東京高裁はこの判断に従って、社員の請求を棄却した。 6月25日(共同通信) |
(あとがき)
今年の定期健康診断は、終了したでしょうか。これからのところもあると思います。診断実施上で何か問題がありましたら、加入健康保険組合、診断実施医療機関、担当社労士等に相談してください。