Labor Management Office Report

9月号  発行日: 平成14年9月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)

まだ、残暑が続いていますが、いかがお過ごしですか。社会保険(健康、厚生年金)の月額算定基礎届けは無事、終了した事と思います。また、十月より雇用保険料率のアップが予定されています。何か不明なことがありましたら、担当社労士までご連絡ください。

 

最近のニュースから


労働政策審、雇用保険料の引き上げ答申


厚生労働省は23日、失業手当の財源となる雇用保険料を10月から0.2%引き上げる案を労働政策審議会に諮問し、「妥当」との答申を得た。失業手当のための保険料率は現在、労使折半で月収の1.2%を負担しているが、10月からは労使それぞれ0.1%ずつ負担が増え、計1.4%となる。厚労省は来年度中にさらに計0.2%程度上乗せしたい考えだ。  雇用関係の助成金など雇用保険3事業に回す保険料率は0.35%のまま据え置くため、全体の雇用保険料率は現在の1.55%から1.75%へと変更する。月収30万円のサラリーマンの保険料負担は月額1800円から2100円へと300円アップする。今回の保険料率上げは雇用保険法改正が不要な「弾力条項」とよばれる規定に基づく。約1500億円の増収を確保できるものの、厚労省は高失業時代の雇用安全網としてはなお不十分と判断。保険料率の再引き上げを柱とする雇用保険法改正案を来年1月召集の通常国会に提出する方向で検討しており、失業手当の給付抑制策と併せて今秋の審議会の議論の最大の焦点となる。 (日本経済新聞8月23日)


春闘賃上げ率、過去最低の1.66%

厚生労働省は29日、主要企業の2002年春闘賃上げ妥結状況をまとめた。賃上げ率は1.66%で、1965年の調査開始以来、過去最低となった。前年割れは5年連続。賃上げ額は5265円で前年を1063円下回った。  調査は東証、大証一部上場で資本金20億円以上、従業員1000人以上の230社を対象に実施。賃上げ率を産業別にみると、最も高かったのが非鉄金属の2.01%で、次いで食料品・たばこが2.00%。最も低かったのは電力で1.28%、鉄鋼が1.29%と続いた。 賃上げ額では、最も高かったのが食料品・たばこの6601円で、次いで自動車が6382円、造船が6000円。最も低かったのは電力で3713円だった。妥結時期では、3月中旬だった企業が7割に上った。
(日本経済新聞8月29日)



401kの導入企業、2002年度末に700社超に


運用成績によって給付額が変わる確定拠出年金(日本版401k)の導入企業が2002年度末にも700社を超える見通しとなった。現在の確定給付年金の債務負担が運用実績の低迷で重くなっていることから、中小企業だけでなく、大企業や中堅企業でも年金・退職金制度を見直す動きが相次いでいるためだ。年金運用は依然として厳しく、確定拠出型への移行は一段と加速しそうだ。  確定拠出年金は昨年10月に始まり、今年6月末までに121社が厚生労働省から導入の承認を受けている。日本経済新聞社が、日本生命保険、東京海上火災保険、野村証券グループ、みずほフィナンシャルグループなど確定拠出年金の管理を手がける主な金融機関グループ21社に聞き取り調査したところ、7月以降に年度内導入を固めた企業が183社にのぼることがわかった。現在、年度内導入へ最終調整中の企業も多く、金融機関の受託企業数は2002年度末までに回答企業集計ベースで700社超に拡大する。 (日本経済新聞8月26日)

 

 

今月の統計

外資系企業の従業員数の推移
(単位:千人)

年度 1996 1997 1998 1999 2000
全産業 230,365 242,994 264,100 315,861 330,558
製造業 165,051 172,307 192,370 230,475 240,327
非製造業 65,314 70,687 71,730 85,386 90,231

外資系企業の従業員数は、2000年度で、約33万人となり、5年連続の増加のなった。
全法人企業に占める割合も、0.8%と、前年度より0.1%増加。

母国籍別に見ると、ヨーロッパ系企業およびアジア系企業の製造業の増加が著しく、アメリカ系企業の製造業は、減少傾向にある。
ちなみに、2000年度時点で、アメリカ系企業従業員数、約17万人、ヨ、ーロッパ系企業従業員数は、13万5000人。

 
(平成14年7月、経済産業省)

 
 
     

判例情報

給与50%カットは不当−検数協会に4億支払い命令

収支悪化を理由に給与を最大50%もカットしたのは不当だとして、輸出入貨物の数量確認を業務とする全日本検数協会(横浜市)の神戸支部の検数人166人が、協会にカット分の支払いを求めた訴訟の判決が23日、神戸地裁であり、上田昭典裁判長は「50%カットは不利益があまりに大きく、合理性は認められない」として、協会に今年7月までのカット分計約4億円を支払うよう命じた。   判決で上田裁判長は「神戸支部の赤字は阪神大震災の影響が大きく、その不利益を従業員にのみ負担させるのは酷。支部ごとの独立採算的運営といっても、協会は単一事業体であり、他支部も相応の負担をするべきだ」と述べた。判決によると、協会は2000年12月、神戸支部の収支が悪化したとして、同支部の労働組合に対し、職員の月額賃金を01年4月から3年間カットすると通告。41歳以上で50%、40歳以下で30%の減給を実施した。カット分は1人当たり月額約10万−18万円に上った。   協会は10カ所の支部があり、裁判で「支部はそれぞれ独立採算的運営をしており、減収に見合うカットは可能」と主張していた。   市川龍二・同協会常務理事は「協会の状況が理解されず誠に残念。今後の対応は判決文をよく読んで検討したい」としている。 8月23日(共同通信)


 

(あとがき)

失業率が5.4%と高水準のままのなか、4-6月のGDPが前期比実質0.5%増と5期ぶりにプラスに転じたという発表がありました。輸出の拡大が寄与したとのことです。 一方、1-3月の実質GDPは、前期比1.4%から0%と修正されました。GDP推計方法の変更によるものです。さらに、デフレ経済の中、プラスに転じたと言われる中、GDPの名目では、マイナスが続いています。統計のお見方は、気をつけなければなりません。何か不明な点は、担当社労士までお尋ねください。