Personnel Management Office Report 10月号 発行日:平成14年10月1日 |
永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信 |
(前書き)今年の10月1日より、雇用保険料率及び健康保険法の一部が改正されました。今回の改正は、ともに来年の4月1日の改正の前哨戦のようなものです。今回の改正部分について、「今月の法改正情報」に載せました。今回何が変わり次に何の改正が控えているのか、詳細については、担当社労士にお尋ねください。
最近のニュースから |
非正社員、1000万人超える−厚労省調査
厚生労働省が17日に発表した平成13年パートタイム労働者総合実態調査によると、パートやアルバイト、臨時社員など正社員以外の労働者(パート等労働者)の数は約1,118万人で、平成7年前回調査の約798万人から急増している。全労働者に占めるパート等労働者の割合は男性で11.9%、女性で45.7%にも達している。また、パートの54.3%が「今の会社や仕事に対して不満・不安がある」と答えている。
パート等労働者を雇用している事業所も割合は62.1%(前回54.4%)と上昇しており、パートを雇用している事業所について雇用理由(複数回答)をみると、「人件費が格安だから」とする事業所が最も多く65.3%(前回38.3%)となっており、次いで「一日の忙しい時間帯に対処するため」39.2%(同37.3%)、「簡単な仕事内容だから」31.4%(同35.7%)、「一時的な繁忙に対処するため」27.3%(同9.3%)となっている。
(9月17日厚生労働省発表)
東京都の事業所数10.1%の減少 − 工業統計調査速報
平成13年工業統計調査(従業者4人以上)の東京都分の集計結果は以下のとおりです(平成13年12月31日現在)。
1 事業所数は、初めて二桁台10.1%の減少(
平成12年: 3万0096事業所から13年:2万7066へ)
事業所数及び従業者数は、平成2年以降減少傾向で推移、また製造品出荷額等及び付加価値額は平成3年をピークに増加から減少に転じた。それぞれを平成2年、3年と比較すると、いずれも2割から3割を超える減少となっている。
2 1事業所当たり製造品出荷額等は、3年連続増加
前年に比べ1従業者当たり製造品出荷額等及び同付加価値額は減少した。
3 「出版・印刷」が、事業所数、従業員数、製品出荷額等、付加価値額すべての主要項目で第1位で、それぞれ2〜4割近くを占める。
「電気機械」は、事業所数を除く主要項目の第2位で、それぞれ2割前後を占める。
4 従業者4〜29人規模が、事業所数の9割を超え、従業者数の4割以上を占める
「4〜9人」規模の事業所の減少率が最も大きい。
5 大田区が事業所数と従業者数で第1位、千代田区が製造品出荷額等と付加価値額で第1位
(9月20日東京都総務局発表)
青色LED特許は日亜化学−中村教授の訴え認めず
東京地裁が中間判決
青色発光ダイオード(LED)を開発した中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(48)が、開発時に勤務していた日亜化学工業(徳島県阿南市)に、特許権の帰属確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁の三村量一裁判長は19日、特許権は既に中村教授から日亜化学に譲渡されていると認定した。
今回は請求の一部について判断を示す中間判決。特許権が日亜化学に帰属するとの司法判断が示されたことで、審理は今後、特許権を譲渡したことによる「相当対価」の問題に移る。中村教授は「会社から褒賞金の2万円をもらっただけ」として、相当対価の一部に当たる20億円の支払いを求めている。
中村教授は昨年8月に提訴。業務中の「職務発明」でも特許を受ける権利は発明者にあるが、日亜化学が青色LEDの製造装置に関する特許を出願した1990年時点では、同社には特許権の譲渡に関する明確な社内規定がなく、訴訟では中村教授と同社の間に暗黙の了解があったかどうかが争点となった。
中村教授は「特許権が発明者に帰属することは自分も会社も知らなかった。特許権を譲り渡す契約はしておらず、今も特許権は自分が所有している」と主張。
日亜化学は「褒賞金の2万円を受け取っている上、出願から10年以上、異議を述べていない。発明の完成と同時に権利は移転している」と反論していた。
青色LEDは、大容量の次世代DVDに欠かせない短波長レーザーの基礎技術として世界的な注目を浴び、93年に製品化された。200億円弱だった日亜化学の売り上げは昨年12月期で800数十億円に伸び、青色LED関連が約6割を占めるという。
(9月19日共同通信)
今月の統計 |
国家公務員の退職金、民間を5.6%上回る
(9月20日総務省人事恩給局発表) |
法改正情報 |
雇用保険料率の改定
雇用保険料率が平成14年10月1日から1,000分の2引き上げ、1,000分の17.5(農林水産業及び清酒製造業については1,000分の19.5、建設業については1,000分の20.5)となります。
雇用保険率の1,000分の2の引上げにより、事業主、労働者それぞれ1,000分の1ずつ負担額が増えることになります。
事業主の方におかれましては、給与から控除する際には十分にご注意下さい。
★ 保険料の追加徴収
事務組合に加入していない事業主の皆様へは、12月中旬に、厚生労働省より追加徴収金額の記入された納付書が送られてきます。15年1月31日までに同納付書により納めてください。
事務組合に加入されている事業主の皆様につきましては、原則、各事務組合の来年度の労働保険の更新のときに同時にお支払いください。詳細につきましては、担当社労士のほうまでご確認ください。
健康保険法の改正
先の通常国会により改正された健康保険法の施行は、本年10月1日及び来年4月1日の2回にわけて行われます。主な改正点は、以下のようです。
平成14年10月1日施行(※は平成15年4月1日から施行)
1) 一部負担 | |
ア) | 被保険者の自己負担の引き上げ |
被保険者の療養の給付に係る一部負担金の割合が、2割から3割に引き上げられました。(※)
ただし、70歳以上の者の負担は従来どおり1割ですが、一定以上の報酬(療養の給付を受ける月の標準報酬月額が28万円以上で、年収が夫婦2人世帯で637万円以上、単身世帯で450万円以上。)を有する70歳以上の者の負担は2割とされました。
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イ) | 3歳未満の被扶養者の自己負担の引き下げ |
被扶養者の自己負担割合はア)と同様3割ですが、3歳未満の者については2割に引き下げられました。
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ウ) | 外来に係る薬剤一部負担金の廃止(※) |
外来に係る薬剤一部負担金は廃止されました。
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エ) | 高額療養費の引き上げ |
高額療養費における自己負担の上限額が、一般と高所得者において引き上げられます。上限額は、次表のとおりです。
(月額) 外来・入院 高所得者
139,800円+(医療費−699,000円)×1% 一 般
72,300円+(医療費−361,500円)×1% 低所得者
35,400円(現行通り) |
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オ) | その他(※) |
給付率の統一に伴い、継続給付等について改正が行われました。 | |
2) 保険料 | |
ア) | 総報酬制の導入(※) |
賞与に対しても標準報酬月額と同一の保険料率で賦課することとされました。あわせて、保険料賦課の基礎となる賞与について上限額が定められました。 | |
イ) | 政府管掌健康保険の保険料率の見直し 総報酬制の導入に伴い、政府管掌健康保険の一般保険料率が1000分の82とされ、上限は据え置くこととされました。(※) |
この保険料率は、少なくとも2年ごとに見直されます。
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3) その他 | |
片仮名書き・文語体となっている条文の表記が、平仮名書き・口語体に改められました。
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老人保健法及び国民健康保険法も同様に改正されていますので、詳細については、各市町村又は担当社労士までお尋ねください。
(あとがき)
戦後最大級と言われた台風21号が関東地方を通過しました。戦後最長と言われる現在の不況も一緒に通過し過去のものとなればよいのですが。
一方、内閣の改造で、竹中平蔵前経済財政相が柳沢氏に替わり、金融担当相も兼務となりました。竹中氏は、以前より、銀行への公的資金注入、調整インフレなど、積極策を唱えていましたから、少なくとも短期的には、景気によい影響をあたえるかもしれません。ひとまず手腕を見守りたいと思います。