Personnel Management Office Report 11月号 発行日:平成14年11月1日 |
永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信 |
(前書き)11月に入るとやはり寒さが感じられるようになりますが皆さんいかがお過ごしですか。高いままの失業率、長引くデフレ、下落傾向から抜け出せないでいる株価、悪い指標が相変わらずのなか、日本で始めての同じ年に2人のノーベル賞受者が出ました。特に、田中耕一氏のサラリーマン受賞者の出現は、多くの企業研究者・技術者に希望をもたらしたと思います。さらに、トヨタ自動車など、自動車業界の一部で、過去最高益を出すなど経済の明るい兆しもちらりとですが見えなくもない状況です。希望が持てそうです。
最近のニュースから |
年次有給休暇取得率が過去最低、福利厚生費も低下
2001年1年間に正社員が取得した年次有給休暇の平均日数は1人当たり8.8日で、与えられた日数に対する取得率は48.4%と過去最低を更新したことが28日、厚生労働省の就労条件総合調査で分かった。会社が決めた有給休暇の日数は18.1日と過去最多だったのに対し、実際の取得日数は6年連続減と、制度と実態のかい離が目立っている。厚労省は「不況とリストラが続く中、休みを取りづらい雰囲気が強まっているのではないか」とみている。
調査はパートを含む常用の社員が30人以上いる約5300社に実施、4254社(79.7%)が回答した。調査によると、正社員1人当たりの有給休暇取得は、前年より0.1日少ない8.8日と6年連続で減少した。ピークだった1995年(9.5日)より0.7日減っている。これに対し企業が与える有給休暇の日数は前年より0.1日増えて18.1日。98年の労働基準法改正以来、増加が続いている。
(10月28日日本経済新聞)
2001年初産の母、3人に2人が退職
2001年に初めて出産した働く女性の3人に2人が退職していたことが21日、厚生労働省の「21世紀出生児縦断調査」で分かった。育児休業の取得は女性が8割を超えたのに対し男性は0.7%どまりで、女性に育児の負担が偏っている現状が浮かび上がっている。
調査は昨年1月と7月の10日から17日の間に生まれたすべての赤ちゃん計5万3575人を対象に実施、4万7007人(87.7%)の両親から回答を得た。同省は「この赤ちゃんが成人し出産するころまで追跡調査し、効果的な少子化対策を検討したい」としている。 調査結果によると、昨年初めて出産した母親で出産1年前に働いていた1万6850人のうち、出産半年後に「無職」と答えたのは67.4%で、3人に2人が出産を機に退職していた。特にパートやアルバイトだった女性が離職するケースが多く、「仕事を探している」と答えた母親も11.7%に上った。 2人目以降でも出産1年前まで働いていた母親では34.5%が退職。全体では56.1%と2人に1人以上が出産前後に退職していた。
(10月21日日本経済新聞)
外資系企業の雇用者数が100万人突破
外資系企業の雇用者は100万人を突破――。日本貿易振興会(ジェトロ)が22日発表した「外資系企業雇用調査」でこんな結果が明らかになった。ただ、日本の全法人雇用者に占める割合(外資雇用比率)は米独に比べ半分以下の低水準にとどまっている。
5月に日本で活動する外資系企業(外資の出資比率が10%以上)と外国企業の支店の計6678社・事業所を対象に調査、2705社・事業所(40.5%)から有効回答を得た。 回答結果を基にジェトロが推計し、外資系企業の常勤雇用者は全体で100万6000人と見積もった。外資雇用比率は2.3%で、米国(5.4%)やドイツ(5.3%)に比べて低水準。分野別では金融・保険業が11.8%と最も高かった。 回答企業の5割は「今年度もしくは将来に増員を計画・検討」しており、ジェトロは「長引く日本市場の低迷のなかで、外資企業の対日進出に伴い一定の雇用吸収効果が見込まれる」と分析している。
(10月22日日本経済新聞)
今月の統計 |
日本の労働費用米国を下回る 米労働省 日本の製造業の労働者一人当たりの時間当たりの費用は、2000年には米国を上回っていたが、2001年には再び米国を下回った。主な要因は、為替変動と賃金上昇率の差によると思われます。ドイツも、傾向は日本と同じですが、その費用の額は、米国より高いままです。イギリスは、10年以上前から日本より時間当たりの費用が低くなっています。なを、今回発表された国の内、最高がノルウェーの114、最低がメキシコの12でした。
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今月の判例 |
女性昇格差別認め和解 − 芝信金が2億円余支払い 課長職に12人/最高裁
女性であることだけを理由に昇格を差別されたとして「芝信用金庫」(東京)の女性職員ら13人が、男性と同様の地位にあることの確認などを求めた訴訟は24日、信金側が12人の女性職員らの昇格を認め解決金計約2億2,300万円を支払うことなどで、最高裁第二小法廷(梶谷玄裁判長)で和解が成立した。
1986年の男女雇用均等法施行後に初めて、女性に対する賃金差別を問うた訴訟は、女性側勝訴の格好で提訴から15年ぶりに決着した。
99年4月の改正均等法施行で、採用、昇進、配置の差別が全面的に禁止されるなど男女の雇用差別をめぐる環境は大きく変わり、今回の和解はこうした変化に沿ったものになった。
訴えていたのは52〜69歳の女性13人で、既に6人が定年退職。和解では、退職者は定年時にさかのぼるなどし12人について課長職への昇格を認め、それぞれ退職金や賃金の差額分に当たる解決金を支払う。また在職期間が短いとして一、二審とも請求を棄却された1人は昇格試験を受け、信金側が対応することで合意した。
芝信金は、職員の資格を6等級(90年まで8等級)に分け、課長職(副参事)への昇格試験を実施し、賃金は地位や資格に応じ支払っていた。男性は年功序列式に合格するのに、女性は不合格となり賃金格差が生じたとして、13人が87年に提訴した。
一審東京地裁は96年、初めて在職者について課長職の資格があることを確認した上で、12人の差額賃金計1億1,000万円の支払いも命じた。二審東京高裁はさらに慰謝料を含む計約1億8,000万円の支払いを命じていた。
(10月24日共同通信)
(あとがき)
今年のプロ野球日本シリーズで優勝した読売ジャイアンツの原監督が、優勝した後のある番組のインタビューに答えて「消極的な成功よりも積極的な失敗を褒める」と発言していました。解釈の仕方によれば難しい内容ですが、多くの企業の人事評価に対して示唆的な発言だと思います。また、同じくジャイアンツの松井秀喜選手が巨人軍首脳が強く引きとめる中、大リーグに行くべくFA宣言をしました。人間が強い動機を持ち続けるためにはチャレンジをし続けることが必要なのだろうと、キャリアを考えるうえでこれもとても示唆的でした。企業の最大の資産は人材。人事制度の改革についても、担当社労士までご相談ください。