Personnel Management Office Report 1月号 発行日:平成15年1月1日 |
永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信 |
(前書き)新年、明けましておめでとう御座います。低空飛行を続ける株価、高水準のままの失業率、下落を続ける物価、そして、相変わらずの不良債権と倒産企業件数。去年は、企業経営にとって、決して明るい一年ではなかったかもしれません。日本経済は、調整過程にあるとも言われます。と言う事は一方、調整が進めば、経済循環上では、再び上昇局面に入ると見ることも出来ます。
今年は、いったいどんな一年になるでしょうか。イラク・北朝鮮という不安定要因。不良債権処理の加速や日中貿易のさらなる拡大と言った失業増加要因。一方、リストラ(真の意味での企業再構築)に成功し過去最公益を記録する企業も出てきており今年は、その開花の年になるかもしれません。
正しく効果のあるリストラの計画・実行は、正しい労働法の知識が不可欠です。そのようなときにも社労士をご活用ください。
最近のニュースから |
育児支援策を強化 トヨタが仕事と両立後押しへ
トヨタ自動車は二十七日、育児支援制度などを刷新したことを明らかにした。育児休暇期間の延長などを通じ、仕事と育児の両立をバックアップするほか、“キャリア職”である女性総合職向けの支援システムなども新たに導入。女性従業員などが働きやすく、さまざまな人材が能力を発揮できる職場の実現を目指す。
新制度は十一月から導入された。仕事と育児が両立できるよう、これまで一年間だった育児休暇の期間を最長二年までに延長。復職した後も子供を託児施設に迎えに行けるように、午後三時以降の在宅勤務制度や、子供が病気になった場合に看護ができる特別休暇制度なども新設した。
さらに約四百人いる女性総合職を支援するための相談窓口や、情報交換できるホームページなども作成した。
女性従業員からのヒアリングによると、「育児休暇が昇格などに響くのでは」との不安の声も少なくなかった。このため、制度取得による今後のキャリアに影響はないことをあらためて強調。制度定着に向けては、管理職教育なども実施していく方針だ。
二〇〇一年の出生率が過去最低の一・三三人と少子化が深刻となる中で厚生労働省は九月、新たな総合対策「少子化対策プラスワン」をまとめ、働き方の見直し、子育て期間の残業縮減、短時間正社員制度の普及−を提唱。育児休暇の取得率向上や仕事と子育てが両立しやすい環境整備を進めていこうとしている。
こうした中で、トヨタは生産性を高めるためにも多様な人材が伸び伸びと働ける環境づくりが必要と判断。全従業員の8%に相当する約五千三百人の女性従業員への支援を強化することにした。
[12月28日中日新聞]
サービス残業代81億円、労基署指導で支払い
昨年4月からの1年半に労働基準監督署の是正指導を受けて企業が支払った不払いの残業代(サービス残業代)は、全国で613社の約7万1000人分、総額で約81億3800万円に上ったことが13日、厚生労働省の集計で分かった。サービス残業代の是正状況の調査は初めて。調査は全国の労基署が立ち入り調査して1社当たり100万円以上の不払いが見つかったケースが対象。
業種別で最も多かったのは「製造業」の174社で、全体の3割近くを占めた。次いで小売業や卸売業などの「商業」が152社(約25%)で多かった。金額では商業が約26億8000万円(約33%)で最多。1社当たりの最高額は約12億9000万円だった。度重なる指導に従わないため、労働基準法37条(時間外労働手当)違反で書類送検したケースも4件あった。同省担当者は「サービス残業が決して一部の人だけの話でない状況が明らかになった。引き続き是正指導と啓発を重点課題として実施したい」としている。
[日本経済新聞12月13日]
厚労省、診療報酬明細審査への民間参入を解禁
厚生労働省は25日、特殊法人の社会保険診療報酬支払基金が独占してきたレセプト(診療報酬明細書)の審査・支払業務を、健康保険組合など民間に解禁した。支払基金による独占を改めて、医療費のムダを省くのが狙い。
レセプトは患者を診療した医療機関が健保組合など公的医療保険に送る請求書。これをもとに医療費が支払われるため、健保組合は不正請求や過剰診療がないか審査する必要がある。ただ、審査業務は支払基金に決まった手数料で委託しなければならなかった。
今後は医療機関が同意すれば、自ら手掛けたり支払基金以外の民間事業者に委託したりできるようになる。競争原理が働くようになるので、手数料が下がるほか、審査の精度が上がることが期待できる。
[12月26日日本経済新聞]
今月の統計 |
低下し続ける労働組合組織率
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今月の判例 |
「喫煙で解雇」は権利乱用/京都・知恩院が敗訴
勤務中の喫煙を理由に不当解雇されたとして、浄土宗総本山知恩院(京都市東山区)が運営する宿泊施設に勤務していた男性(58)が地位確認などを求めた訴訟で、京都地裁の楠本新裁判官は20日、解雇無効と解雇後の賃金支払いを知恩院に命じる判決を言い渡した。
楠本裁判官は「原告は喫煙のため度々職場を離れるなど勤務怠慢も認められるが、3回注意しただけで解雇しており、解雇権の乱用」と認定した。
男性の弁護士は「ささいな理由で解雇した理不尽さが認められた。リストラばやりで、安易な解雇に走る企業にも警鐘になる」と指摘。男性は「職場復帰したい」と話している。
判決によると、男性は1999年7月から知恩院の宿泊施設「和順会館」に機械室係として勤務。2000年1月から翌年5月にかけて、上司から機械室の前での喫煙など勤務態度を3回注意され、同月末に「今後も満足な勤務ができない」として解雇された。
12月20日(共同通信)
(あとがき)
現在の日本の経済状況を昭和初期の昭和恐慌時に例えて説明しようとする経済学者がいます。金融機関の倒産、不良債権の増加、デフレ経済と酷似している面があるそうです。その後、数年で日本は、着実に不況から脱出し始めます。それにも拘らず、大陸への進出を拡大し台無しにしてしまいます。日本の経済政策の今後にとるべき道は、対外積極策ではなく、以外に「辛抱」なのかもしれません。