Personnel Management Office Report

2月号

発行日:平成15年2月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)去年の12月の完全失業率が5.5%と悪化するなど暗いニュースが聞こえる一方、多くの企業で賃金制度の改革などを通して、体質の強化を図っています。このような社内改革の成果は、すぐには表に出てこないかもしれませんが、必ず明るい将来への一歩になっていると信じます。

 

最近のニュースから


ホンダ、定昇廃止し成果主義徹底  

ホンダは年齢とともに給与があがる定期昇給制度を廃止した。仕事上の評価が高い社員への給与を厚くする一方、評価が思わしくない社員の給与は引き下げる。対象はホンダとグループ企業9社の一般社員約4万人で、同じ資格での給与の差は管理職前の主任の場合、現在の月々約5000円が約2万円に広がる見通し。  実力本位の処遇を徹底し、新技術開発や製造の現場など社内の活力を高く保つのが狙い。国内の大企業ではすでにキヤノンが定昇制度を廃止しているが、ホンダは月々の給与引き下げにも踏み込んだ。  新制度の賃金は6つの等級(資格)と前年の評価の組み合わせで算出する。定昇を廃止することで、人件費の総額を増やさずに配分にメリハリをつけた。研究所などを含めた一般社員に、昨年10月分から新制度による給与の支給を始めた。 [日本経済新聞1月24日]


三洋電機、基本給12%削減のワークシェアリング  

三洋電機は21日、掃除機など主に白物家電を生産する北条工場(兵庫県加西市)でワークシェアリング制度を導入した。製造部門の約210人が対象。1カ月あたり休日を3日増やす代わりに基本給を12%カットする。1年間の期間限定で導入し、約1億円の人件費削減を見込む。三洋電機が同制度を実際に適用するのは今回が初めて。  ワークシェアリング制度は雇用維持のために、従業員の就業時間と賃金を削減する方法。三洋電機では2002年4月に労使で導入のための協約を結んでいる。協定では、毎月の労働日数を最大5日間減らす代わりに基本給を最大20%減らすなどとしている。北条工場での実施状況を見ながら他の工場への導入も検討する。 北条工場は掃除機など主力製品の生産が中国に移転しており、人員に余剰感が生じているためワークシェアリングの適用を決めた。適用中に生ごみ処理機や健康関連製品などの新規事業を育成し、雇用の吸収を急ぐ考えだ。 [1月21日
日本経済新聞]


武富士に家宅捜索  

消費者金融大手「武富士」に対して労働基準法違反容疑(サービス残業)で大阪労働局は9日、本社や大阪支社など7カ所を家宅捜索した。  大阪市内の支店で勤務していた元社員2人が2001年7月、月平均100時間余りの残業があったにもかかわらず、本社の指示に基づき最高月25時間分に残業の足切りを受け、2年分、約420万円が未払いになっているとして刑事告訴したのを受け、同労働局が内偵を進めていた。  サービス残業の刑事訴追では、証拠確保の点から強制捜査が行われることがある。今回の捜索は、東京労働局と合同の80人態勢で行われた。 ※ 日本経団連は昨年11月19日、理事会を開き、大手消費者金融の武富士、アコム、プロミスの3社の入会を正式に承認した。旧経団連は消費者金融など特定業種の入会を認めていなかった。(入会をめぐっては、大手消費者金融の違法性を主張する多重債務者の弁護団が慎重な対応を求めていた。)


[1月10日労務安全情報センター]  

 

 

今月の統計

平成14年(1月〜12月)企業倒産件数、前年並み

全国の企業倒産件数は、ほぼ前年並み、負債総額は、16.5%の減少となった。一方、上場会社の倒産は29件。97年、2001年(ともに14件)を大幅に上回り過去最多を記録。佐藤工業(株)や大日本土木(株)などの準大手・中堅ゼネコン、日本重化学工業(株)や日本加工製紙(株)などの老舗メーカーが相次いで倒産した。

全国企業倒産状況

平成10年 平成11 平成12 平成13 平成 14
企業倒産件数
18,988 15,352 18,769 19,164 19,087
負債総額
(百万円)
13,748,377 13,621,436 23,885,035 16,519,636 13,782,431

(出典:東京商工リサーチ)

 
     

今月の判例

  「定年引き下げ解雇」無効/仏教大元講師が勝訴

合理的理由のない定年引き下げで不当に退職させられたとして、仏教大学(京都市北区)元講師の男性(67)が大学を運営する学校法人浄土宗教育資団に、地位確認や未払い賃金支払いを求めた訴訟の判決が29日、京都地裁であった。  楠本新裁判官は「定年退職の対象者が原告一人のみで、実質的な解雇に当たる」と述べ、定年を無効として2001年春の退職以降の賃金支払いを命じた。  判決によると、男性は1991年から同大学通信教育部専任講師として勤務。大学は2000年に同学部の就業規則を改定し、定年を70歳から65歳に引き下げたため、翌年3月末で定年退職になった。当時、男性のほかに退職になった人はなかった。  大学側は「人件費抑制のため定年引き下げが急務で、合理性があった」などと反論していた。  仏教大総務部は「判決を読み、控訴するかどうか検討したい」と話している。 1月26日(共同通信)  

 

(あとがき)

今年の4月より、社会保険事務所でのFD(フロッピーディスク)の利用がさらに拡大されます。FD申請の詳細についてのお問い合わせは、担当社労士までお願いします。