Personnel Management Office Report

4月号

発行日:平成15年4月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)4月から健康保険法と厚生年金法が大幅に改正されています。すでにご存知と思いますが、3月を越えるごとに受け取る賞与にも、月々の給与と同率の保険料率が適用されます(総報酬制)。それと同時に、保険料率も変更になっています。労働保険の更新と時期も迫っています。ご不明な点は、担当者労士までお問い合わせください。

 

最近のニュースから

総務省が発表した2月の統計についていくつか興味深いものがありましたので以下に掲載します。若干の雇用情勢の好転と継続するデフレ。これを、調整局面に来たと判断するか否か難しいところです。

2月の完全失業率、5.2%−前月に比べ0.3ポイントの低下       総務省が28日公表した労働力調査(速報値)によると、2月の完全失業率(季節調整値)は、過去最高と並んだ前月より0.3ポイント低下の5.2%となった。また、完全失業者数は前年同月より7万人少ない349万人となり、 2カ月ぶりの減少となった。

2月の消費者物価前年同月比0.7%下落
2月の全国消費者物価指数は、物価変動の大きい生鮮食品を除く総合指数でみると、97.5と前年同月比0.7%の下落となった。 平成11年10月以降前年比マイナスが続いている。同時に公表された東京都区部の3月中旬速報によると生鮮食品を除く総合指数は97.3と前年同月比0.7%の下落。

勤労者世帯の実収入、4.3%減少
総務省が28日公表した2月の勤労者世帯の家計調査によると、1世帯あ  たりの消費支出は29万3,966円で物価変動の影響を除いた実質で前年同月比   1.6%の減少。実収入は同4.3%の減少。実収入は昨年4月以降マイナスが 続いている。
[総務省3月28日]


三菱自動車、一般社員(非管理職)に成果主義の人事制度を導入

2003年3月25日 三菱自動車は、2002年4月1日付で管理職(統括専門職)を対象に導入した成果主義に基づく人事制度を、本年4月1日付で一般社員(非管理職)にも拡大する。 (1) 新人事制度の特徴
資格制度及び一律的な定期昇給を全廃し、社員の保有能力・経験を重視した現行制度から、成果をより適正に反映する仕組みとする。
(2) 新人事制度の内容
 −資格等級制度の廃止と職務区分の運営
現在ある6等級(事務技術系)または8等級(技能系)の資格等級を廃止し、4つの職務区分に基づく運営をする。
 −評価制度
経営目標及び部門目標と社員個人の目標との結びつきを強め、目標の達成、人材の適材適所及び人材の育成に結びつく評価制度を導入する
 −賃金制度
現在は50歳未満の社員全員を対象に定期昇給を行っているが、新人事制度では職務区分ごとに一定の賃金範囲(サラリーバンド)を設定し、その範囲内で業績に応じて昇給を行う。新しい制度に基づくと年収ベース(ボーナスは除く)で、評価により最大約10%の差が生じる。 (同社ホームページ)
 
 

 

 

今月の統計

育児・介護休業制度の企業における整備状況(東京都)

育児休業制度を設けている企業の割合は全体で81.4%であるが、規模別に見ると、300人以上の企業では、制度を導入している企業の割合が9割を超えているが、100人未満のn小規模企業では6割に満たない。
また、平成13年4月から平成14年3月までに出産した労働者(男性の場合は配偶者出産した場合)のうち、育児休業を取得した割合は女性86.1%、男性0.19%である。育児休業後の職場への復帰率をみると、女性87.4%、男性88.9%で男性の復職率の方が高い。

育児・介護休業制度の整備率(東京都内)

平成14年度 平成11年度 平成8年度
育児休業制度 81.4% 77.6% 61.0%
介護休業制度 75.5% 62.8% 16.1%※
※介護休業は平成11年4月から事業主に義務付けられた
(出典:東京都労働局)

 
     

今月の判例

  裁量労働制の過労死が和解/光文社が7,500万支払い

 仕事の進め方や時間配分を労働者個人に委ねる裁量労働制による長時間労働で過労死したとして、光文社(東京)編集者だった男性=当時(24)=の両親が約1億6,800万円の損害賠償を求めた訴訟は7日、同社が7,500万円を支払うことで、東京地裁(松本利幸裁判長)で和解が成立した。  両親の代理人、川人博弁護士は「実質的に企業側の安全配慮義務違反を全面的に認めた和解。長時間の深夜労働が拡大している裁量労働制の実態に鋭い警告を発するものだ」と評価している。  訴状によると、男性は1996年に入社。女性週刊誌の編集部に配属され、グラビアページを担当していたが、97年7月に急性心不全で死亡した。  両親は「深夜勤務や休日出勤を含む裁量労働制の長時間労働が死亡の原因」と主張。光文社は、昨年1月に男性が裁量労働制職場で初の労災認定を受けた後も、死亡が業務に起因することを否定していたが、裁判所が和解を勧告していた。  和解条項には、光文社が労災認定を重く受け止め、従業員の安全衛生に一層配慮することも盛り込まれている。  和解成立後に会見した男性の母親(62)は「裁判所が私たちの意を十分くんでくれたので和解に合意した。労働環境の改善策が正しく実行され、2度と悲しい出来事が繰り返されないようにしてほしい」と話した。 3月7日(共同通信)

 

(あとがき)

米国がついにイラク攻撃を開始しました。原油価格はもちろんのこと、為替や株価にも大きな不安要因となっているようです。戦後復興のための日本の負担額が相当な額に上り、国債の増発なども考えられます。より短期間でより小さな破壊で戦争が終結すること日本経済にとって良いことは言うまでもないことです。