Personnel Management Office Report

5月号

発行日:平成15年5月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)雇用保険法の改正案が国会を通過して、新しい雇用保険法が5月1日から施行されます。詳細については、「法改正情報」に載せました。
又、先の健康保険法と厚生年金法の改正で、今年から算定の時期が1月早くなります(7月)。さらに、労働保険の更新手続の締め切りも迫っています。ご不明な点は、担当者労士まで気軽にお問い合わせください。

 

最近のニュースから

早期退職、40歳代が標的 東京商工リサーチが調査  

2002年度平均の完全失業率が最悪の5・4%となる中、今年1月から3月に早期退職者募集を実施した上場企業48社のうち、開始年齢を40歳としたのが15社と最も多かったことが信用調査会社、東京商工リサーチの25日までの調査で分かった。45歳からの募集も5社あり、40歳代が人員削減の標的となる厳しい現実が、あらためて浮き彫りになった。1−3月に希望退職や早期退職者の募集を公表、内容が確認できた上場48社を対象に調べた。  募集や応募人数が100人以上となったのは21社。最も多かったのはNTN(グループ会社を含む)の募集人員700人で、アンリツの正社員を対象にした特別転進支援制度に応募した583人が続いた。  応募人数が募集枠を上回ったケースでは、日新電機の出向者を含む30−57歳を対象にした300人の枠に358人が応募。日本電池では、45歳以上を対象にした200人の枠に250人が応募した。4月25日(共同通信)


中部電力でサービス残業/勧告受け、26万円払う

名古屋南労働基準監督署は中部電力に対して社員に時間外賃金を支払わない「サービス残業」をさせていたとして、未払い賃金55人分約26万円を支払うよう是正勧告していたことが11日、分かった。勧告に従って中部電力は昨年10月、未払い賃金を払った。  名古屋南労基署は昨年8月、火力センター(名古屋市)に立ち入り調査した。その結果、昨年4〜7月の4カ月間で、社員が社有車を使った際、「運行管理簿」に記入する時間に比べ、会社が保管している残業記録の方が5分から5時間10分短いことが分かった。  このようなサービス残業をしていた社員の数は55人に上り、支払っていなかった手当の額は約26万円に達していた。  不況が長期化する中、長時間労働が慢性化し、サービス残業で是正勧告を受ける企業が目立っている。今年2月には、トヨタ自動車で未払い賃金が約1,000万円に上るサービス残業が明るみに出た。  中部電力の人事部長は「是正勧告を受けたのは大変遺憾だ。文書だけでなく社員との懇親会などを通じ、就業時間の管理を徹底したい」と話している。 4月11日(共同通信)       
 

 

 

法改正情報

平成15年5月1日から雇用保険の新制度がスタート!

今回の雇用保険法の改正で、企業の人事業務に係り合いの強いものを抜粋しました。

その1 教育訓練給付金の額などが変わります。
支給要件期間、給付率及び上限額の改正  支給要件期間、給付率及び上限額について次のとおり改正され、施行日以後に対象教育訓練の受講(厚生労働大臣が指定する教育訓練)を開始した方に適用されます。
(1) 支給要件期間の要件を5年以上から3年以上とすること。
(2) 給付率、上限額の改正  支給額は、支給要件期間に応じ、以下のとおりとなります。
5年以上  教育訓練経費の40%に相当する額となります。ただし、その額が20万円を超える場合は20万円とし、8千円を超えない場合は支給されません。
3年以上5年未満  教育訓練経費の20%に相当する額となります。ただし、その額が10万円を超える場合は10万円とし、8千円を超えない場合は支給されません。  
その2 高年齢雇用継続給付の支給要件及び給付率が変わります。
高年齢雇用継続給付の賃金低下率要件、給付率の改正  支給要件の賃金低下率について15%超が25%超に、給付率について25%が15%となります。  なお、これらの改正は、以下のとおり適用されます。
(1) 高年齢雇用継続基本給付金の支給要件、給付内容の見直し
 60歳に到達した日(60歳到達時において被保険者であった期間が5年に満たない場合は、5年に達した日)が施行日以後である被保険者について適用されます。
(2) 高年齢再就職給付金の支給要件、給付内容の見直し
 施行日以後に離職し、安定した職業に就くことにより被保険者となった方に適用されます。
施行日の前日以前に離職し、安定した職業に就くことにより被保険者となった方に対しては、旧賃金日額に基づき、改正前の支給要件、給付率、支給限度額及び下限額が適用されます。
 施行日の前日以前に離職し、施行日以後に安定した職業に就くことにより被保険者となった受給資格者に対しては、旧賃金日額に基づき、新たな支給要件、給付率、支給限度額及び下限額が適用されます。

その3 雇用保険料率がかわります。(平成17年4月1日以降)
雇用保険料率の改正  雇用保険料率が平成17年4月1日から1,000分の2引き上げられます(平成17年3月31日までは現行のまま据え置かれます。)
 
その他詳細は、担当社労士までお問い合わせください。
 
     

今月の判例

 同意なしの出向、適法「著しい不利益なければ」/最高裁が初判断

  本人が同意していない関連子会社への出向の適否が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷は18日、「著しい不利益がなければ、会社は社員の同意なしに出向を命令できる」との初判断を示した。  出向命令の無効を主張していた新日本製鉄(東京)の元社員2人の上告は棄却され、敗訴が確定した。下級審や学説は、労使間の包括的な合意があれば出向命令を有効としており、最高裁判決はこれを追認する形になった。  適法の理由として亀山継夫裁判長は、新日鉄は在籍したまま出向する場合があることを就業規則で規定(2)労働協約でも賃金や地位など出向者の利益に配慮して詳細に規定―を挙げた。  その上で「生活関係や労働条件で著しい不利益を受けるものではなく、出向命令に権利の乱用はない」と結論付けた。  一、二審判決によると、新日鉄は1989年3月、合理化策として鉄道輸送部門を関連子会社に業務委託するのに伴い、141人に出向を打診。八幡製鉄所(北九州市)で働いていた2人は同意しなかったが出向を命じられ、これを無効として提訴した。  福岡高裁は99年3月「同意の有無にかかわらず、業務上の必要性や合理性がある限り命令に従う義務がある」と一審に続いて2人の主張を退けた。  新日鉄の合理化策をめぐっては計4件の訴訟が起こされたが、社員側敗訴の下級審の判断が続いている。 4月18日(共同通信)     

 

(あとがき)

米・英国によるイラク攻撃が一段落し、ベトナム戦争のような泥沼になることは何とか避けられそうです。一方、アジアを中心に、SARSが流行し、これが以外に大きな影響を経済に与え始めたようです。
予期せぬことは、経済には付物です。そのためにも日頃の危機管理が重要になると思います。