Personnel Management Office Report 7月号 発行日:平成15年7月1日 |
永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信 |
(前書き) 健康保険・厚生年金の算定決定の時期が来ました。算定基礎届の準備は出来たでしょうか。不明なことがありあましたら担当社労士にお尋ねください。
さて、労働者派遣法、職業安定法、及び労働基準法の改正案が今国会を通過・成立しました。改正に内容は、派遣業種・期間の拡大、解雇規制の明文化、有期雇用契約の期間の拡大等です。今回は、それらの改正内容を中心にまとめてみました。
法改正情報 |
(労働基準法) | |||
解雇ルールの条文化 | |||
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。 | |||
有期雇用契約の延長 | |||
有期労働契約期間の上限を1年から3年に延長(専門職と60歳以上は3年を5年に延長)。但し、一年経過後については、労働者から使用者に申し出ることにより、いつでも退職できる。 |
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裁量労働制要件の緩和 | |||
「事業運営上の重要な決定が行われる事業場」に限られていたところをその他の事業場にも拡大。労使委員会の、「全員の合意」を「五分の四以上の多数による議決」に緩和された。 |
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(労働者派遣法) | |||
派遣期間の延長 | |||
通常派遣の期間制限1年から3年への延長 派遣先は、「あらかじめ、その期間を定めなければならない」とし、その際に当該事業所の労働組合や労働者の過半数代表の意見聴取を義務づけた。 従来、通達によって3年間に制限されていた専門的26業務については、改正法の施行に合わせて通達を撤廃し、期間制限のない業務として扱う見込み。 |
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製造業への派遣解禁 | |||
「物の製造」への派遣が解禁。 経過措置として、法施行後3年間は派遣期間を1年間とし、安全衛生面を強化するため、派遣元・先双方の派遣責任者の職務に、「安全及び衛生に関し、派遣元・先との連絡調整を行う」ことを追加した。 |
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紹介予定派遣での事前面接の解禁など |
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(職業安定法) | |||
地方公共団体に対し、産業経済の発展に関する業務など、必要のある場合に無料職業紹介事業を認める | |||
貸金業、飲食業などとの職業紹介事業の兼業禁止規定の撤廃 | |||
職業紹介事業の許可を事業所単位から事業主単位に簡素化する緩和措置 | |||
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今月の統計 |
平成14年度男女雇用機会均等法の施行状況 雇用均等室への相談 |
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女性労働者からの相談、トップはセクシュアルハラスメント、増加傾向にある定年・退職・解雇 平成14年度に雇用均等室に寄せられた均等法に関する相談は約1万8,000件、このうち約7割が女性労働者等からの相談であった。 相談の内容をみると、セクシュアルハラスメントに関するものが約4割と最も高く、次いで母性健康管理に関するものが約2割であった。なお、女性労働者からの相談のうち、セクシュアルハラスメントや定年・退職・解雇に関するものに増加傾向がみられた。 |
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今月の判例 |
年俸制でも時間外賃金/支払い命じた判決が確定
年俸制を理由に時間外割増賃金を支給しなかったのは違法として、大阪府の男性が以前勤めていた府内の測量会社に未払い賃金の支払いを求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(福田博裁判長)は30日、男性の上告棄却を決定。「年俸制の採用で、ただちに時間外割増賃金を支払わなくていいことにはならない」として、会社に120万円余の支払いを命じた大阪高裁判決が確定した。
男性はほかに退職金の支払いなどを求めていたが退けられ、上告していた。
一、二審判決によると、男性は一九九七年に測量会社の正社員になった。会社は年俸制を採用していたが、男性は約3年後に公共事業担当になって時間外労働が多くなり、割増賃金の支払いを要求。しかし、会社は「年俸制だから賃金に含まれている」と応じず、男性はその後退職した。
一審大阪地裁、二審大阪高裁ともに、ほぼ同じ判断を示して会社に時間外割増賃金の支払いを命じたが、二審は一審より支払額を数万円増額していた。
5月30日(共同通信)
(あとがき)東京のオフィスビルの空室率が上昇、それと同時にオフィス賃貸単価も下降傾向のようです。一方、六本木ヒルズは、予想を大幅に上回る集客状況で出店しているテナントも比較的高い賃貸料金にも納得出来る状況のようです。デフレを利用して経費を低く抑え、かつ、自社製品の価格は、差別化・高付加価値化により高価格を維持する。理想論かもしれませんが、今後の企業経営はそのようにしていく必要があるのかもしれません。