Personnel Management Office Report

4月号

発行日:平成17年4月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)4月は人事異動の多い季節であると同時に多くの法律が施行されるときでもあります。介護保険料、雇用保険料の改定を忘れないようにして下さい。また、日韓社会保障協定が発効されました。さらに、先に成立した年金改正により、例えば、過去に届出を忘れていたために国民年金の3号被保険者になれなかった人々のために、過去に遡って届出が出来るようになりました。不安のある人は、社会保険事務所に行って、過去の被保険者の記録を確認するとよいでしょう。

 

最近のニュースから

 

改正所得税法が成立、定率減税半減へ・参院本会議  

定率減税の半減などを盛り込んだ改正所得税法が30日午前の参院本会議で賛成多数で可決、成立した。2006年1月から、所得税額の割引率を現行の20%から10%に縮小するとともに、減税限度額を現行の25万円から12万5000円に引き下げる。すでに成立した改正地方税法と合わせ、年換算で約1兆6000億円の負担増が確定した。  定率減税半減に伴う増税は2段階。給与収入700万円、夫婦・子ども2人のモデル世帯でみると、まず来年1月から所得税が月1600円強の負担増になる。住民税の負担は来年6月から1200円強増え、平年ベースでみると、両方で約3万5000円の増税となる。  改正所得税法では、年金未納対策の一環として、納付した国民年金保険料を課税所得から差し引く「所得控除」の条件に保険料納付証明書を確定申告の際に添付することも義務付けた。  このほか、改正地方交付税法、公共工事品質確保法も成立した。改正地方交付税法は、国と地方の税財政改革(三位一体改革)に関連し、2005年度の地方交付税総額を前年度比117億円増の16兆8979億円とすることなどを盛った。 (3月30日)


東電で69億円分のサービス残業/昨年6月までの2年間    

東京電力は、労働基準監督署より複数の事業所において労働時間に関する個 別指導を受けたことを踏まえ、3月30日、全社を対象とした労働時間管理に関する実態調査の結果を公表した。約3万3,800人の全社員に対してサービス残業の実態を調査した結果、昨年6月までの2年間に、約2万5,900人の社員が延べ207万7,700時間、金額にして約69億4,800万円分のサービス残業を行って いたことがわかった。 平成16年11月〜平成17年3月分定例給与支給日に全額を清算する。

改正地方税法が成立 フリーターへの徴税強化  

共同通信によると、フリーターなど短期就労者への個人住民税の徴税強化や定率減税の縮減などを盛り込んだ改正地方税法が 18日、参院本会議で可決、成立した。   給与所得者の個人住民税は、企業が市町村に提出する1月1日時点の「給与支払報告書」に基づき翌年度に課税される。フリーターやパートなどについては、1月1日に就労していなければ本人が申告しない限り課税漏れとなっていることから、1年未満の短期就労者についても企業に報告書を提出させる。   定率減税では現在、個人住民税について所得に応じて課税する所得割の 15%(上限4万円)を減税しているが、2006年6月の徴収分から減税割合を 7.5%(同2万円)に半減する。定率減税の縮減による増収は4,000億円だが、2005年度税収には反映されない。

今月の判例

住友金属に6千万賠償命令 「昇進、賃金で女性差別」  

住友金属に賠償命令の判決を受け、笑顔で記者会見する原告の北川清子さん(右端)ら=28日午後、大阪市北区の大阪司法記者クラブ女性であることを理由に昇進や賃金で差別を受けたとして、鉄鋼大手「住友金属工業」(大阪市)の女性社員ら4人が、会社に男性社員との差額賃金や慰謝料など計約3億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は28日、計約6300万円の支払いを命じた。  住友グループ3社の一連の男女差別訴訟で、女性側勝訴の判決は初めて。住友電気工業と住友化学工業については1審大阪地裁がいずれも請求を棄却したが、大阪高裁で会社側が昇格や解決金支払いに応じ和解が成立している。  小佐田潔裁判長は判決理由で「会社側は従業員に明らかにしていない内部の人事制度に基づき、男女間で昇進や賃金の差別的取り扱いをしており、公序良俗に反し違法」と指摘した。  訴えていたのは、大阪府の北川清子さん(65)=定年退職=や井上千香子さん(54)ら4人。 (共同通信) - 3月28日

 
派遣労働者の過労自殺認定 ニコンなど2社に賠償命令 
東京地裁が初、2480万 「過重業務で心理負担」  

共同通信によると、ニコンの熊谷工場(埼玉県)に派遣された男性=当時(23)=がうつ病を発症して自殺したのは、長時間勤務と劣悪な勤務環境が原因として、遺族がニコンと業務請負会社ネクスター(現アテスト、名古屋市)に計約1億 4,400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(芝田俊文裁判長)は 31日、両社に計約2,480万円の支払いを命じた。   過労死弁護団全国連絡会議によると、実質的な派遣労働者の過労自殺を認め、派遣先、派遣元双方に賠償を命じた判決は初めて。   派遣労働者は雇用責任が分散しがちで権利保護が難しいと指摘されており、企業側は一層の安全配慮が求められそうだ。アテストは同日夕、「控訴した」と発表した。   原告は1999年3月に自殺した上段勇士さんの母のり子さん(56)=岩手県在住。   芝田裁判長は判決理由で「不規則、長時間の勤務で作業内容や閉鎖的な職場の環境にも精神障害の原因となる強い心理的負担があった。自殺原因の重要部分は業務の過重によるうつ病にある」と指摘。その上で「人材派遣、業務請負など契約形態の違いは別としても両社は疲労や心理的負担が蓄積しすぎないよう注意すべきだった」と安全配慮義務違反を認定した。   判決によると、上段さんは 1997年に就職し、派遣先のニコンの工場で製品検査業務を担当した。   上段さんは「クリーンルーム」という窓のない空間で、作業服、マスク、手袋などで全身を覆ったまま昼夜交代のシフト勤務(9時間45分)を続けたが、その後うつ病を発症。1999年に退職を申し出たが受け入れられず、自殺する直前には 15日連続の長時間勤務もしていた。


元契約社員らの解雇は無効 ネスレ子会社業務外注化で  

共同通信によると、業務の外注化を理由に雇用期間終了前に解雇したのは違法として、ネスレジャパングループのネスレコンフェクショナリー(神戸市)元契約社員の女性5人が、同社に地位確認などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は 30日、解雇を無効とした上で、解雇された2003年7月から月約12万〜17万円の未払い賃金支払いなどを命じた。   小佐田潔裁判長は「同社には赤字を計上するなど早急に人員削減しなければならない事情はなく、外注化の必要性は高くなかった。解雇は合理的な理由を欠き是認できない」と指摘した。   判決などによると、5人は大阪、兵庫両府県に住む 30〜50代の女性。1992年以降に順次、同社関西支店で「キットカット」など菓子類の販売促進業務に従事し、1年ごとに雇用契約を更新していたが、同社は2003年に業務の外注化を理由に解雇を通知。原告らに外注先との委託契約締結をあっせんしたが、原告らは応じなかった。   原告側代理人の弁護士は「深刻化する契約社員らの無権利状態に歯止めをかけた」と評価。ネスレジャパングループ広報室は「判決を精査していないのでコメントできない」としている。 3月30日


(あとがき) この4月から施行の法律の大きなものの一つは、改正育児・介護休業法です。ほとんどの事業所の場合、就業規則の変更が必要になると思いますので、速やかな変更手続をお勧めします。また、企業によっては、個人情報保護法の施行による就業規則の変更のある事業所もあることと思います。人事の担当者にあっては、人事異動、新入社員等で色々大変かと思いますが、この4月を乗り切りましょう。