Personnel Management Office Report

5月号

発行日:平成17年5月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)今年のゴールデン・ウイークは、いかがお過ごしですか。10連休を取っている人々もかなりの人数に上るものと思われます。一方、労働保険料の年度更新の締め切りは、5月20日ですので忘れないようにして下さい。国会は、郵政民営化の議論が花盛りですが、参議院では、社会保険労務士法の改正案が既に通過しており、後は衆議院の通過を待つのみのなりました。業務の拡大にとともに、自己研鑽が必要なことはいうまでもありません。

 

最近のニュースから

 


強制徴収、05年度は3倍の10万人・未納対策で社保庁方針  

社会保険庁は国民年金保険料の未納対策として、強制徴収を大幅に拡大する。専門の人員を拡充するなどして2005年度は前年の3倍を超す10万人を強制徴収の対象とする。組織改革の論議も見極めながら体制を整え、早期に年間60万人の徴収に対応できるようにする。低迷する収納率を引き上げて、国民年金の空洞化に歯止めをかける狙いがある。  国民年金の収納率は03年度末で63.4%。社保庁はこの比率を07年度に80%に引き上げる目標を掲げているが、達成は予断を許さない状況が続いている。  保険料の未納者に対しては全国の社会保険事務所が納付を促す催告状を送付。これに応じなければ最終催告状を送るとともに未納者の自宅などを訪問し、強制徴収の手続きに入る。最終催告状の送付でも効果がなければ、督促状の送付から財産の差し押さえまでの手続きを進める。  社保庁は04年度から市町村が持つ所得情報の提供を受け、この情報を基に約3万人に最終催告状を送付した。05年度は対象を大幅に増やし、10万人に送付する計画だ。( 日経 4・6)

今月の統計

在日外資系企業の雇用と日本のビジネス環境・魅力に関する調査
2005年4月12日JETRO発表

在日外資系企業の企業数は4,276社で、雇用者数は102万人。大きな雇用を抱える外資系企業だが、その大半が販売市場として日本が魅力的と感じており、半数以上の企業が今後、事業の拡大を図る見込みである。 外資系企業数は4,276社、雇用者数102万3,441人

ジェトロは企業ホームページ、在日外国商工会議所名簿、有価証券報告書などの公開情報より4,276社の外資系企業を把握した※。

進出形態別では、外資系子会社2,611社、外資系孫会社1,314社、在日支店351社。業種別では、多い順に卸売・小売業、飲食店が2,025社(47.4%)、製造業が753社(17.6%)となった。

本社所在地別では、東京都が2,741社(64.1%)、神奈川県が349社(8.2%)、大阪府が199社(4.7%)であった。

※OECD、IMF基準に基づき単独外資出資比率が10%以上である企業とその関係会社、及び外国企業の在日支店を外資系企業と定義

今月の判例


家から社宅へも「通勤」単身赴任の交通事故死に労災  

自宅から単身赴任先の社宅に向かう途中の夫(当時41歳)が交通事故死したのは通勤災害であり、遺族給付金などが支給されなかったのは違法だとして、岐阜県土岐市に住む妻(45)が同県高山市の高山労働基準監督署長を相手取り、給付金不支給決定の取り消しを求めた訴訟の判決が21日、岐阜地裁であった。  筏津(いかだつ)順子裁判長は「週末帰宅型通勤の途中で起きた事故であり、通勤災害に該当する」として、原告の主張を全面的に認める判決を言い渡した。  判決によると、週末を自宅で過ごした夫は、日曜日だった1999年8月1日午後5時30分ごろ、翌日の仕事に備え、乗用車を運転して営業所のある高山市に向かった。その後、行方不明になり、同年11月、途中の同県中津川市(当時は加子母村)の沢に車ごと転落して死亡しているのが見つかった。  筏津裁判長は、「最短経路でも約3時間30分かかることなどから、移動を勤務の前日に行うことは、社会通念上当然のこと」と指摘したうえで、「出発時間からみても翌日の勤務のための移動が目的だったことは明らか」と、通勤災害だったと認定した。  同労基署を所管する岐阜労働局は、「控訴を含めて判決内容をよく見てから決めたい」としている。 (読売新聞) - 4月22日
 
遺族年金支給、戸籍の妻より実質同居の内妻に…最高裁  

私立学校教職員の共済制度に基づく遺族共済年金が、死亡した男性と別居していた戸籍上の妻と、同居していた内縁の妻のどちらに支給されるかが争われた訴訟の上告審判決が21日、最高裁第1小法廷であった。  泉徳治裁判長は、「男性と戸籍上の妻との婚姻関係は修復の余地がないほど形がい化しており、内縁の妻とは事実上婚姻と同様の状態にあった」と述べ、日本私立学校振興・共済事業団(東京都千代田区)の不支給決定を不服として提訴した内縁の妻に、年金を支給すべきだとした。  そのうえで、不支給決定を取り消した1、2審判決を支持、同事業団の上告を棄却した。内縁の妻の勝訴が確定した。  横尾和子裁判官は、「男性は勤務先には戸籍上の妻を被扶養者として届け出て扶養手当を受け取るなどしており、形がい化とは言えない」として、内縁の妻への不支給決定を妥当とする反対意見を付けた。  判決などによると、私立大学の元教員で、約23年間、戸籍上の妻と別居していた神奈川県内の男性が2001年に死亡した際、約17年間同居していた内縁の妻は、同事業団に遺族共済年金の支払いを請求。  しかし、同事業団は、別居が男性側から始められ、戸籍上の妻に離婚の意思もなかったことなどを考慮し、戸籍上の妻に年金を支給したため、内縁の妻が02年、東京地裁に提訴した。  遺族共済年金を巡る同様のケースで、最高裁は1983年に、「戸籍上の婚姻が形がい化し、その状態が固定化しているような場合には、戸籍上の妻は支給対象にならない」との判断を示している。 (読売新聞) - 4月21日


(あとがき) 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故は、まさに、企業の危機管理を問われました。安全管理、災害に対する対応等に対する責任は、経営トップにあります。日常の業務についてならば、トップは、部下に任せてうまく神輿の上に担がれているのもいいでしょう。しかし、危機管理については、トップがはっきりとした危機管理意識を持ち、それを部下に表現していなければ実現しません。組織の体質であるとか、従業員の技能レベルであるとかその他のものに責任転嫁する余地はありません。