Personnel Management Office Report 9月号 発行日:平成17年9月1日 |
永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信 |
(前書き)今回、「最近のニュースから」でも取り上げましたが、デルコンピューターの職業安定法違反は、企業の違法行為に対する基本的な姿勢が問われています。
一方、厚生年金の保険料が今年9月分(10月支払い分)から変更となります。社会保険事務所などからの通知をよく読んで処理してください。
最近のニュースから |
デルの店頭販売員、自社で面接後に派遣扱いで採用か
米大手パソコンメーカー、デルの日本法人「デル」(本社・川崎市)が、店頭販売員を確保する際、自社で面接を行ったうえで、人材派遣会社から派遣させる形で働かせていた疑いが強まり、神奈川県警幸署は、職業安定法違反容疑で同社と当時の採用担当者ら数人を近く書類送検する方針を固めた。
調べによると、同社の採用担当者らは2002年8月、パソコンの店頭販売員として応募した男性(30)を面接し、職業紹介の許可を受けていないのに人材派遣会社に紹介した疑い。男性は派遣社員として、家電量販店でデル社のパソコンを販売していた。
同署では、同社が02年5月から03年12月にかけ、計約170人を人材派遣会社に紹介したとみている。同社の浜田宏社長は事情聴取に対し、「社会保険料がかさむのでやった。私の責任」と話しているという。
男性が昨年2月、同社に問い合わせて発覚、今年7月、告訴していた。
(2005年8月11日 読売新聞)
厚生年金保険料上げ 月収36万円の人は650円
サラリーマンが加入する厚生年金の保険料率が9月、現行の13・934%(労使折半)から14・288%(同)に引き上げられる。10月に納める9月分の保険料から適用される。昨年の年金改革で毎年0・354%ずつ引き上げることが決まったのに伴う措置で、社会保険庁は2017年まで保険料率を上げ続け、18・30%で固定する。
月収36万円、ボーナス3・6カ月(年2回分)の平均的なサラリーマンの場合、月額では約1300円増の約5万1400円。ただ、半分は事業主負担なので、本人負担分は月に約650円増の約2万5700円、1回のボーナス時に約1150円増の約4万6300円だ。
(共同通信) - 8月26日
今月の統計 |
求職求人動向 有効求人倍率0.97へ
平成17年7月の一般職業紹介状況をみると、有効求人倍率(季節調整値)は0.97倍となった。平成5年度から現在に至る求職者数・求人数・有効求人倍率の変化を見ていくと、数年前まで、企業の倒産・リストラが進むにつれ求職者は増え続け、求人数が横ばいと言う状態が続いていた。ところが、居年度からは、求職者数が減少に転ずる一方、求人数が急速に増加している。雇用形態の変化など考慮すべき要素はあるが、現在の傾向が続くと、来年または再来年あたりで統計上では人で不足(求職者数<求人者数)という状態になることも考えられる。
今月の判例 |
家族の石綿被害を認めず 最高裁、遺族の敗訴確定
共同通信によると、アスベスト(石綿)を使用していた工場から従業員が持ち帰ったマスクによる家族の健康被害の有無が争われた訴訟で、最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)は5日までに、病死したさいたま市の男性=当時(
42 )=の遺族側の上告を退ける決定をした。決定は3日付。
病気とマスクとの因果関係を認めず、企業への損害賠償請求を退けた一、二審判決が確定した。
この訴訟は、1997 年に病死した男性の遺族が「子供時代に、父親のマスクなどで遊んだ際に石綿を吸い込んだのが原因」と主張。父親の勤務先だったミサワリゾート(旧日本エタニットパイプ)に約
9,200 万円の損害賠償を求めた。 死因が石綿被害特有の中皮腫であるとする専門医の鑑定結果も出たが、一審東京地裁判決は因果関係を認めず「当時企業は危険性を予見できなかった」と判断。二審東京高裁判決もこれを支持していた。
8月5日
(あとがき) 衆議院の総選挙のため日本中のあちこちがやや騒がしいようです。どのような結果になるにしろ、国民感情が十分に反映される国会になって欲しいものです。