Personnel Management Office Report

1月号


発行日:平成18年1月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)新年明けましておめでとう御座います。2006年の仕事始めとなりました。去年一年間は、有効求人倍率株価などを見ても経済回復の兆しを見せていました。今年一年間もこの回復傾向を維持してもらいたいものです。
労働関連の法律の施行予定を見てみますと、まず、不正競争防止法 公益通報者保護法 労働審判法、会社法等の施行が予定されています。施行にあわせてこの通信でも少しずつ内容を紹介していくつもりです。

 

最近のニュースから

 

高年齢者雇用安定法改正への取り組み

MAZDAの場合

 
マツダ株式会社は、2006年4月より施行される改正高齢者雇用安定法に対応した定年退職者再雇用制度「エキスパート・ファミリー制度」を導入する。これは規定の基準を満たした定年退職者のうち希望する社員を対象に、継続雇用の機会を提供する制度である。本制度は2006年4月の定年退職者より適用される。
 「エキスパート・ファミリー制度」では約300職種を対象とし、基本となる健康状態などを確認する「全社共通基準」と、職種ごとに必要な保有能力・経験などを定義した「職種別基準」との双方を満たした希望者を、定年退職日の翌日から再雇用する。勤務形態はフルタイムを基本としながら、職種と本人のニーズに応じてパートタイムも適用する。雇用契約は1年単位とし、将来的には最長65歳までの雇用が可能となる。また、本制度による再雇用者を国内外の関連会社や販売会社などにも派遣し、広くグループ内の技術・技能指導にも活用していく考えである。

JR東海の場合

JR東海では、2006年4月施行の改正高年齢者雇用安定法を受け、現行の専任社員制度をさらに充実させ、出向先で定年を迎えた者も含め、希望する社員は原則として全員「専任社員」として再雇用する。
改正後の制度の概要
・60才定年 ・出向先で定年を迎えた者も含め、希望する社員は原則として全員「専任社員」として再雇用
(1)原則として定年を迎えた職場で引き続き就労
(2)年収は定年退職時の6割程度(公的給付含む、一般的な社員のケース)
(3)年金支給開始年齢までの複数年契約
(4)「契約満了報労金」を新設

野村證券の場合


野村證券株式会社は、平成18年4月1日より、60歳で定年又は契約上限年齢到達(以下「定年等」)により同社を退職する社員のうち、引き続き就労を希望する者について、再雇用制度を導入すると発表した。 同社は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」上の義務を超えて、平成18年4月の制度導入当初より65歳を上限とする再雇用を行う。さらに希望者の能力・適性・実績等を十分考慮して、各人に適した仕事・処遇・勤務形態を柔軟に提示することで、希望者を幅広く再雇用する制度とする。なお、詳細については、今後組合と交渉を行い決定する。 本制度の導入により、社員の定年等の後の仕事と生活の充実を図ることができるとともに、その能力と経験を活かして会社経営に貢献してもらえると同社は期待している。
1. 導入時期 平成18年4月1日
2. 再雇用対象者 平成18年4月1日以降に60歳で定年等により同社を退職する社員で、引き続き就労を希望する者は、すべて再雇用する。但し、出勤状況や健康状態等に関して組合と合意した事由に該当する者は除く。
3. 雇用形態 1年有期雇用契約とし、65歳まで更新可能とする。


全体の状況─── 導入見込み企業は、86.7%──── 

厚生労働省の調査によると、本年11月1日現在で既に「改正高齢法に沿った雇用確保措置を導入済み」としている企業は、11,169社中2,633社、23.6%となっている。 また、未導入の企業においても、現在、関係労使間で協議中であるなど雇用確保措置の導入に向けた各種取組が進められており、「法施行時までに改正高齢法に沿った雇用確保措置を導入予定」とする企業は、7,053社、63.1%となっている。 このため、本年11月1日現在で、法施行時に改正高齢法に沿った雇用確保措置の導入を行うと見込まれる企業 (「導入済み」及び「導入予定」の企業の両者を合計。以下「導入見込み企業」という。)は、9,686社、86.7%となっている。

今月の統計

労働組合及び労働組合員の状況  推定組織率は18.7% 低下傾向が続く

 平成17年6月30日現在における単位労働組合の労働組合数は61,178組合で、前年に比べ1,627組合減(2.6%減)となった。  単一労働組合の労働組合員数は1,013万8千人で、前年に比べ17万1千人減(1.7%減)となり、11年連続の減少となった。  推定組織率は18.7%で、前年の19.2%に比べ0.5ポイントの低下となり、低下傾向が続いている



今月の判例


800万円支払いで和解 男女の賃金格差めぐる訴訟

共同通信によると、男女間の賃金格差は違法として、京都府久御山町のガス工事会社「京ガス」の社員屋嘉比ふみ子さん( 56 )が、同社に約 2,300 万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は8日、同社が解決金 800 万円を支払うことで大阪高裁(島田清次郎裁判長)で和解が成立した。 2001 年 9 月の一審京都地裁判決は「女性であることを理由にした差別」とし、京ガスに計 670 万円の支払いを命じていた。原告側代理人は「実質的な勝訴。差別の是正を求めた意義のある判断だ」と話した。 一審判決によると、屋嘉比さんは 1981 年に入社。同期の男性と初任給で約 7 万円の差があり、差額は 11 年間で約 1,400 万円に上った。   今年 11 月の結審時、高裁が和解を勧告した。京ガスは「担当者がいないのでコメントできない」としている。 (12月8日)


(あとがき) トリノ冬季五輪、サッカーW杯、ワールド・ベースボール・クラシックと注目を集める国際的なスポーツの祭典が今年は目白押し。但し、これら3つの大会で興味深いのは、「国籍」による競技のため、普段活躍している国と自分の国籍とが違う選手が多数出ること。イチローがアメリカチームにいて、フランコ(千葉ロッテ)が日本チームに加わっていても一般人の感覚としては違和感がなくなってきました。国際化が進み社会がナショナリズムから別の基準を探しているのかもしれません。