Personnel Management Office Report

2月号

発行日:平成18年2月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)年末調整は無事に終わったでしょうか。さて、ライブドア問題で、一時は回復局面にある日本経済に水を差すのかとも思いましたが、あまり大きな影響はないようです。それにしても、コンプライアンス(法令遵守)の意識の薄さが、一つの会社を運命を突然大きく左右してしまいます。米国の会社ではよくある「財務優先、人事は二の次」と言う考えは、日本では定着してほしくないものです。

 

最近のニュースから

 

12月の有効求人倍率、1.00倍

平成17年12月の一般職業紹介状況をみると、有効求人倍率(季節調整値)は1.00倍となり、前月を0.01ポイント上回った。正社員有効求人倍率は0.65倍となり、前年同月を0.07ポイント上回った。
 12月の有効求人(季節調整値)は前月に比べ1.3%減となり、有効求職者(同)は2.3%減となった。
 12月の新規求人は前年同月と比較すると5.7%増となった。これを産業別にみると、前月に引き続き、医療,福祉(17.4%増)、飲食店,宿泊業(13.4%増)、製造業(7.1%増)、卸売・小売業(6.9%増)、運輸業(3.3%増)は増加となり、サービス業(1.6%減)は減少となった。建設業(8.5%増)、情報通信業(1.7%増)、教育,学習支援業(1.2%増)は減少から増加となった。
 都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、最も高いのが愛知県の1.61倍、最も低いのが沖縄県の0.41倍となった。
 平成17年平均の有効求人倍率は0.95倍となり、前年の0.83倍を0.12ポイント上回った。平成17年平均の有効求人は前年に比べ10.6%増となり、有効求職者は4.1%減となった

賃金未払残業

労働基準監督署による調査の結果、(株)福岡銀行、(株)ツムラ、(株)ナフコで、賃金未払残業が指摘された。
その結果、過去2年間の未払い文として、福岡銀行では、約21億円(約4,600人分)、ツムラでは、約2 億2,200 万円(約680 名分)の支払いを決めた。また、ナフコが、従業員にサービス残業をさせていた可能性があるとして、従業員の約 9 割の 1,084 人に 2 億 4,390 万円を支払っていた。ナフコは昨年 9 月、北九州市内の 3 店舗で残業代を一部支払わなかったとして北九州東労働基準監督署から労働基準法違反容疑で書類送検された。

今月の統計

改正高齢法の施行に向けた企業の取組状況について
〜雇用確保措置導入見込み企業は300人以上規模で98%〜

 改正高年齢者雇用安定法(以下「改正高齢法」という。)に基づき、本年4月1日から、高年齢者について少なくとも年金支給開始年齢までの高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置」という。)の導入が各企業に義務づけられる。
 全国の労働局・ハローワークにおいては、個別訪問や集団説明会等の方式で、この改正高齢法施行の周知及び遵守を各企業に対し働きかけているところである。
 このうち、特に300人以上規模企業については、昨年11月1日時点における法施行に向けた取組状況について聞き取り等により調査を行ったところであり、さらに前回未調査であった企業、取組が遅れていた企業等に対し本年1月1日時点における取組状況について同様の調査を行ったところである。その結果、昨年11月1日時点では、改正高齢法に沿った雇用確保措置導入見込み企業は86.7%であったが、本年1月1日時点では、97.9%に達した。
図1 雇用確保措置の導入見込み状況

(厚生労働省)

今月の行政

セクハラで労災認定 統一指針受け函館労基署

 共同通信によると、北海道の函館労働基準監督署が職場のセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)で精神疾患になった女性について、一度不認定とした決定を取り消し、労災として認定し直していたことが 13 日、分かった。厚生労働省が昨年 12 月にセクハラで病気になった場合は労災対象となるとの全国的な統一指針を通知したのを受けた措置。
  通知以前は運用にばらつきがあり、2004 年度までの3年間でセクハラによる労災認定は一件にとどまっていた。
  函館労基署などによると、女性は2年間にわたり上司から言葉などによるセクハラを受け、不眠や食欲不振となり退職。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。
  函館労基署は 04 年 10 月にセクハラは職務に関係しているとは言えないとして女性の労災申請を不認定としたが、厚労省の通知を受け、申請を再度見直し、労災認定した。(1 月 13 日)


(あとがき) 元GEのCEO(最高経営責任者)であるジャック・ウェルチは、適した人間を採用し、社員を士気を上げ、成長させる人事労務の仕事について、「これほど会社で大切な仕事はない。」(プレジデント2006年2・13号:プレジデント社)と言い切っています。株主優先経営が米国では当然で、それがグローバル・スタンダードのはずだと思っている経営者の方々には、ぜひ一読していただきたいと思います。