Personnel Management Office Report 4月号 発行日:平成18年4月1日 |
永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信 |
(前書き)4月から人事・労務に関する分野での多くの法改正が施行されます。一つの目玉は、「高年齢者雇用安定法」の継続雇用の義務化の開始です。62歳までの継続雇用が義務化されるわけですが、行政罰はありません。しかし、継続雇用されなかった労働者が「地位確認」を求めて裁判を起こした場合、ほぼ会社が敗訴するであろうと言うのがほとんどの労働法学者の意見です。行政は、三権分立を理由に司法がどのよに判断するであろうかと言うコメントをいっさい避けています。不親切も甚だしいのですが。
最近のニュースから |
東北電力、札幌銀行、未払残業代金支払い
東北電力は、労働基準監督署の勧告により、「労働時間管理に関する社内調査」を進めた結果を発表した。
その結果、過去2年間に遡り、約4,700名
に対して、約648,400時間 (調査対象者一人あたりの月平均精算時間 約2.0時間)の未払い残業が見つかり、精算総額
約19億8,800万円 (調査対象者一人あたりの精算総額 約14.9万円)を平成18年3月分定例給与支給日(3月22日)
に支払った。
また、札幌銀行においても、札幌中央労働基準監督署から労働時間管理に関する是正勧告を受け、対象者
約700名 に対して、未払い残業代金総額 約2億円を支払った。
武田薬品工業 職種別賃金制度の導入
武田製薬は、本年3月(2006年4月支払い賃金)より職種別賃金制度を導入することとした。
職種別賃金制度は、報酬(賃金と賞与)について、職種毎に市場競争力とコスト競争力の両立を図
るため、適正な水準を設定し、処遇するもの。これまでの同社の賃金体系は、ジョブサイズ
(職責の大きさ)のみによる一元管理のままであったため、経営環境の変化への柔軟な対応や職種
の特性に合わせた処遇が困難となっていたが、今回の制度では、ジョブサイズに職種を加えた
2つの軸で決定する。その際、ジョブサイズ毎のあるべき報酬水準(ポリシーライン)を示し、
職種毎に市場価値に見合った水準に適正化する。
将来的には、全ての職種を対象に評価制度と賃金体系を職種毎に最適化するが、今回は第一段階
として、技能職(工場部門)や一般事務職、研究職の一部(実験技術者)に職種別賃金制度を導入
した。これらの職種においては、賃金水準を見直す反面、賃金や賞与の変動を比較的緩やかに
した安定感のある報酬体系に改定した。なお、制度移行にあたっては、労使協議の結果、報酬
体系改定に伴う急激な変化を緩和するための措置を一定期間講じることとした。
今月の統計 |
最近の完全失業率の国際比較
日本の完全失業率、4.1%に低下(2月速報値)
日本の完全失業率は、低下傾向にあるが、米国、カナダなどの同様な傾向が見られる。一方、ヨーロッパでは、ドイツとフランスが高止まっているなか、イギリスは、低失業率のままで止まっている。
(厚生労働省)
今月の司法・行政 |
違法残業でクボタを送検 労基署、社員の脳梗塞で
共同通信によると、大手機械メーカー、クボタ(大阪市)が男性社員(39)に長時間にわたる違法な残業をさせたとして、東京労働局の上野労働基準監督署は
30 日、労働基準法(法定労働時間)違反の疑いで、法人としてのクボタと男性の管理監督責任者の部長(56)を東京地検に書類送検した。
男性は昨年2月下旬、脳梗塞を発症し、療養中。過労で労災と認定された。長時間労働による過労を発端に上場企業が書類送検されるのは異例。
調べによると、男性社員は子会社からクボタ東京本社に出向。農業施設事業部(東京都台東区)に所属し、農業用機械設置工事の現場監督をしていた。クボタは昨年2月1日から
26 日にかけ、男性に法定労働時間を超えて約
160 時間の違法な残業をさせた疑い。 クボタによると、この男性は昨年2月に
200 時間を超える残業をしていたほか、同年1月にも
100 時間を超える残業をしていた。 クボタでは出向社員の労働時間を管理する仕組みがなく、男性の労働時間を把握していなかったという。同社は書類送検を受け、出向社員も含め労働時間の管理方法を改善し徹底する、としている。
3 月 30 日
3人死亡事故で社長ら逮捕 運転手に月400時間労働
共同通信によると、京都府宇治市の京滋バイパスで2月、渋滞の列にタンクローリーが追突し3人が死亡した事故で、京都府警は6日、過労状態の運転手に運転を命じたとして道交法違反(過労運転下命)の疑いで大津市の運送会社「近若石油」社長国松英文容疑者(63)=大津市三井寺町=ら2人を逮捕した。
運転手の北村宏一容疑者(35)=業務上過失致死容疑で送検=は調べに「疲れで居眠りをしていた」と供述したという。
北村容疑者の事故直前1カ月間の労働時間は、労働基準法に基づく労使協定で定めた上限を約
100 時間も上回る約 420 時間で、休日は3日しかなかったという。
府警交通指導課の調べでは、国松容疑者らは2月
12 日、北村容疑者が長時間勤務による疲労で正常に運転できない恐れがあると知りながら、翌
13 日にタンクローリーを運転するよう命令した疑い。
北村容疑者は 13 日午前5時 50 分ごろ、大阪府堺市から滋賀県近江八幡市へ石油を運ぶ途中、路上に倒れていた京都市の男性を助けようとして停止したトラックなど計
11 台の列に突っ込み、3人が死亡、6人が重軽傷を負った。
同社は事故 10 日前の2月3日、近畿運輸局滋賀運輸支局から「運転手の拘束時間が長い」と警告を受けていた。
3 月 6 日
(あとがき) 労働保険の更新の時期ですが、いままで、「その他の業種」として、0.5%の労災保険料率が適用されていたものが、さらに細分化されて、さらにその他の業種が0.45%になりました。