Personnel Management Office Report 7月号 発行日:平成18年7月1日 |
永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信 |
(前書き)サッカーのワールドカップでは、日本が決勝リーグに残ることが出来ずに残念でしたが、サッカーファンは、いまだ寝不足が続いているものと思います。ワールドカップでは、岡田、トルシエ、ジーコと日本の監督が変わってきた中で、トルシエ監督のときに決勝リーグに進んだからといっても、このときは開催国として有利な条件であったので監督の評価ではそう単純には比較できません。ビジネスの世界でも結果が全てではあっても、その結果を出したビジネスの責任者の評価を下すことは決して楽なことではありません。かといって、人事的には評価を怠っている訳にもいきません。そこに人事の難しさがあります。
最近のニュースから |
共同通信によると、日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の店長らが同社で初となる労働組合を結成したことが 22 日、分かった。外食業界では先月、日本マクドナルドに初の労組ができたばかり。ほかの外食企業にも影響が広がる可能性がある。
労組は横浜市内の店舗で店長を務める浜口徳之委員長(45)らが立ち上げ、組合員は約 20 人。今後、正社員約 1,000 人に加入を呼び掛ける。 21 日に労働条件の向上などを求める要求書を会社側に提出した。
浜口委員長は「事実上のサービス残業を強いられるなどの問題を会社との話し合いを通じて解決していきたい」と話している。
これに対しKFCは「真摯(しんし)に要求を受け止め、誠意をもって対応していきたい」としている。6 月 16 日
今月の統計 |
平成 17 年有期契約労働に関する実態調査結果
厚生労働省は、平成17年において全国規模で有期雇用の調査を行いこのほどその結果を発表した。
調査期日現在で、有期契約労働者の割合をみると、常用労働者の 24.5%となっている。 これを就業形態別にみると、「短時間のパートタイマー」が
13.4%と最も多く、次いで「その他のパートタイマー」4.3%、「契約社員」2.7%、「嘱託社員」1.9%の順となっている。
産業別にみると、飲食店,宿泊業で 48.2%と最も高く、次いで卸売・小売業 33.9%、教育,学習支援業 33.9%、サービス業(他に分類されないもの)26.3%、不動産業
25.6%の順となっている。
事業所規模別にみると、100 〜 299 人が 27.9%で最も高く、次いで 30 〜 99 人 27.1%、5 〜 29 人 23.7%、300
〜 999 人 22.4%、1,000 人以上 10.5%となっている。
有期契約労働者の性別構成をみると、男は 36.3%、女は 63.7%となっている。これを就業形態別にみると、男は、嘱託社員 78.8%、契約社員
50.4%で高く、女は短時間のパートタイマー75.0%、その他のパートタイマー 67.1% で高くなっている。
今月の司法・行政 |
共同通信によると、給与制度が実質年功序列型から成果主義型に変更され、降格・減給した企業の社員が減給分支払いなどを求めた訴訟の控訴審判決が 22
日、東京高裁であった。
浜野惺裁判長は「制度変更には高度な必要性があり、内容に合理性がある」として原告勝訴の一審横浜地裁川崎支部判決を取り消し、請求を棄却した。東京高裁によると、降格・減給を伴う成果給与制度への変更を認めた初の司法判断という。成果給与移行の流れに大きな影響を与えそうだ。
社員側は「証拠調べもせずに会社側の裁量権を広く認めたのは不当」として上告する方針。原告は神奈川県相模原市の電子機器会社「ノイズ研究所」の 40
〜 50 代の男女社員3人。
判決によると、同社は 2001 年4月、成果主義の給与制度に変更。経過措置として変更1年目は減給分の全額、2年目は 50 %を「調整手当」として支給した。減給されたのは社員
91 人のうち原告3人を含む 14 人。3人の基本給は月額約7万 2,000 〜3万 4,000 円減り、02 年1月に提訴した。
労働条件の一方的な不利益変更は原則許されないが、労働者の不利益を考慮しても変更に必要性が認められ、内容が合理的であれば労働者は変更を拒めないとの最高裁の判例がある。
04 年2月の一審判決は判例に照らし「不利益が大きく、給与制度変更は法的な要件を満たさない」として同社に減給分支払いなどを命じた。
浜野裁判長も同じ判例が示した要件を満たしているかどうか検討し「労働生産性を高めて競争力を強化する高度の必要性があった。給与制度変更は重要な職務により有能な人材を投入して処遇するもの」と判断。
その上で (1) 給与原資総額は減らさず、配分の仕方を改める (2) 自己研さんによる昇格・昇給の機会平等が保障されている (3) 最低限合理的な人事評価制度がある―などとして、制度の必要性に見合った合理性を認定した。
会社側が事前に制度の周知に努めたことや一定の経過措置があったことなども考慮した。6 月 23 日
共同通信によると、大分市の男性=当時(26)=が死亡したのは高温の工場で長時間働いたことによる過労が原因として、遺族が同市の金属加工販売会社に慰謝料などを求めた訴訟の判決が
15日、大分地裁であり、関美都子裁判官は過労死と認め、約 8,400万円を支払うよう会社に命じた。
判決は「冷房がない工場で、夏場に長袖の作業服やマスクなどを着用させ、中腰の状態で肉体労働を長時間続けさせた結果、死亡した。直前の 13日間は休日もなかった」と会社側の責任を指摘した。
判決によると、男性は 2002 年5月から板金作業に従事。同年8月、勤務中に倒れ、心疾患で死亡した。死亡前1カ月の総労働時間は約 322 時間で、休日は3日だった。
会社側は「同じように働いていたほかの従業員は健康に問題がなく、男性が働き過ぎで死亡したとは言えない」と反論していた。6 月 15 日
(あとがき) 社会保険の算定基礎届(定時改定)の準備は出来たでしょうか。また、源泉徴収税の納期の特例を受けている事業所では、所得税の支払いも発生します。適度な運動をしながらこの夏を乗り切りましょう。