Personnel Management Office Report 8月号 発行日:平成18年8月1日 |
永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信 |
(前書き)関東地方では、梅雨が明けたようですが、これから本格的に暑い日が続くものと思います。マクロ経済的には、「日本経済は、不況から脱した」と言うことがマスコミなどで言われていますが、中小企業の現場では、まだまだ辛い叫びも聞こえてきます。小泉後(ポスト小泉)の政策に期待したいと思います。
最近のニュースから |
労働審判申し立て、全国で278件・スタート3カ月
会社と労働者個人のトラブルを解決するため今年4月に始まった労働審判制度の全国の地裁への申立件数が、6月までの3カ月間で278件に達したことが21日、最高裁の調べで分かった。このうち東京地裁では、申し立てから結論が出るまでの平均日数は約49日で、早期決着を目指す制度の効果が表れ始めていた。
労働審判は、裁判官1人と労使双方から推薦された労働審判員2人で構成し、各地裁に設置された労働審判委員会が審理する。3回以内の調停で、3カ月程度での決着が目標。
[7月22日/日本経済新聞 朝刊]
外国政府も民事裁判の被告に…最高裁が免除原則転換
パキスタン政府の代理を名乗る同国企業にコンピューターを販売した日本の貿易会社など2社が、同国政府に販売代金など約18億円の支払いを求めた訴訟の上告審判決が21日、最高裁第2小法廷であった。
今井功裁判長は、「外国政府が行った商業取引など、私法的、業務管理的な行為については、国家の主権を侵害する恐れがあるなどの事情がない限り、我が国の民事裁判権から免除されない」と述べ、外国政府は裁判が免除されるとして請求を却下した2審判決を破棄、審理を東京高裁に差し戻した。
日本では、民事訴訟を起こされた外国政府について、「日本の裁判権に服しないことを原則とする」とした1928年の大審院判例に基づき、「裁判権免除」の原則がとられてきたが、判決は、この大審院判例を78年ぶりに変更、訴訟の内容によっては外国政府も日本の民事裁判の被告となりうるとする初判断を示した。
判決などによると、東京都内の貿易会社など2社は86年、パキスタン政府の代理を名乗る同国の企業と、計約12億円でコンピューター2台を販売する契約を結び、商品を納入したが、代金が支払われなかったことから、同国政府に利息分を含めた計約18億円の支払いを求めて提訴した。同国政府側は、裁判権免除を主張し、同国企業に代理権限を与えたことについても争っている。
1審・東京地裁は、同国政府が答弁書などを提出しなかったため、同国政府に全額の支払いを命じたが、2審・東京高裁は裁判権免除を理由に、実質審理に入らないまま原告側の請求を却下していた。
(2006年7月21日13時43分 読売新聞)
今月の司法・行政 |
共同通信によると、全日空は6日、自己申告で勤務時間を管理している一般職の社員に時間外や深夜の割増賃金を支払わずにサービス残業をさせ、労使協定で定めた残業時間も守らなかったとして、天満労働基準監督署(大阪市)から是正勧告を受けたと発表した。本社や全国の支店などに勤務する一般職約 1,100 人の勤務状況を9月末まで調べ、過去2年分の未払い賃金を 11 月に支払う予定。全日空によると、5月 22 日に大阪支店が同労基署の立ち入り調査を受け、一般職の社員3人について調べた結果、業務メールの送信履歴などから、残業を申告していない日も残業していることが判明した。また協定で1日の残業時間が4時間までと定められているのに、4時間半の残業をしていたケースも見つかった。全日空は「勧告を真摯に受け止め、適切に対応していきたい」と話している。
7 月 7 日
共同通信によると、 2002
年に神奈川県に住む富士通社員の男性=当時(28)=が自殺したのは、過労が原因だとして遺族が出した労災申請について、いったん申請を棄却した厚木労働基準監督署が、あらためて労災と認定したことが
12 日、分かった。
監督署は当初、自殺する直前1カ月の残業時間を会社の説明を踏まえ 107 時間とみなしていたが、再調査で 159
時間に上っていた実態が判明したことなどから認定を見直した。
同日記者会見した遺族側の代理人川人博弁護士によると、男性は大学院修士課程を修了後の 2000
年に入社し、システムエンジニアとして医療事務システムの操作マニュアル作成などを担当。
02
年1月、精神科医に「ずっと重圧を感じていた。死への願望がわいてくる」と話し「抑うつ神経症」と診断された。直後に知人に送った電子メールに「ただただ忙しいだけ。肉体的にも精神的にもくたくた」と記していた。
その後も忙しい状態が続き、同年3月 17 日の納期は徹夜明けの状態で迎えた。3日続けて欠勤した後の同 20
日、社員寮の自室で自殺した。
遺族は労災申請したが 04 年 11
月の時点では認められず、神奈川労働者災害補償保険審査官への審査請求も棄却された。このため昨年、労働保険審査会に再審査請求するとともに、監督署の決定の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。
監督署は提訴後の再調査で(1)男性は夜に一度社外に出た後、再び会社に戻って勤務していた(2)自殺の3日前に「急性ストレス反応」が発症した―との実態が判明したとして6月
30 日付で以前の決定を翻し認定、遺族に謝罪した。
川人弁護士は「監督署が判決が出る前に自ら認定を見直すのは極めて異例。裁判の形勢が不利と判断したのだろう」とし、男性の父(65)は「訴訟まで起こさないと、こういう結果が得られないというのは腹立たしい」と話している。
7 月 12 日
共同通信によると、携帯電話やデジタルカメラなどに広く使われている半導体「フラッシュメモリー」の開発者で、東芝(東京)の技術者だった舛岡富士雄東北大教授(63)が特許権を会社に譲渡した対価の一部として約
10 億円の支払いを求めた訴訟は 27 日、東芝が舛岡教授に和解金 8,700 万円を支払うことを条件に東京地裁(設楽隆一裁判長)で和解が成立した。
企業内発明の対価をめぐる訴訟で決着したケースの中では、3番目の高額とみられる。
東芝によると、和解は訴訟で争われたフラッシュメモリーの発明だけでなく、舛岡教授が東芝在職中に単独または共同で関与したすべての発明が対象。
請求額に比べて和解金は大幅に少ないが、舛岡教授は記者会見で「会社からこれまでに受け取った対価の 600
万円に比べれば、けた外れに評価された金額。技術を大事にする方向性が日本の産業を発展させる。和解は大きな前進」と評価した。
訴状によると、舛岡教授は東芝に勤務していた 1980 年と 87
年、小型記録媒体を構成する2種類のフラッシュメモリーを開発。東芝は計 41 件の特許を取得した。
フラッシュメモリーは携帯電話などのほか、家庭用ゲーム機器や携帯用音楽プレーヤーにも使われ、舛岡教授は特許使用料や国内外での独占的販売で、東芝は少なくとも
200 億円の利益を得たと主張。舛岡教授が受け取るべき発明の相当対価を 80 億円とし、一部を請求した。
これに対し、東芝側は「舛岡教授一人で発明したわけではない」などと反論していた。
舛岡教授は 71 年、東北大工学部電子工学科で博士号取得後、東芝に入社。 94 年に退社し、同大工学部教授となった。
東芝広報室は「和解の対象となった発明には、舛岡教授にこれまでに 600 万円を超える多額の対価を支払っている」と話している。
社内技術者の発明の対価をめぐっては、東京地裁が 2004
年3月の判決で、青色発光ダイオード(LED)を開発した米国の大学教授、中村修二氏の請求を認め、日亜化学工業に 200 億円の支払いを命令。控訴審で約8億
4,000 万円の支払いで和解したケースが過去最高額とみられる。
7 月 27 日
(あとがき) ポスト小泉の最有力候補は、もちろん安倍晋三と言うことになっています。政治家としての経験は、まだ14年。風采も、やや弱々しく感じます。一方、同氏著の「美しい国へ(文春新庫)」によると、憲法改正について並々ならぬ熱意を感じます。また、マスコミに迎合して一時的に盛り上がる一般大衆の生態をかなりさめた目で(批判的に?)見ているようで、祖父の岸信介の安保条約騒動を子供ながらに身近に見ていたからのようです。小泉首相の出現以前は、「誰が首相になっても、結局、霞ヶ関の役人たちが政策を操っているんだから誰がやっても同じだ。」などという見方が体勢でしたが、今現在では、個人のリーダーシップが大きく政策を変え得るのだと思う人々も増えているようです。民主党も含めて、9月の党首選が楽しみです。