Personnel Management Office Report

9月号

発行日:平成18年9月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)朝夕などが若干涼しくなり秋の気配を感じるこのごろですが皆さんにおかれましては如何お過ごしですか。日本のマクロ経済指標の多くが若干上向きの傾向を示している中、現在の原油高・ユーロ高が今後どうなるのか、そして経済にどのような影響をもたらしていくのか不透明なところです。また、たった今、ここ数年間伸び続けてきた対日直接投資残高が、減少に転じたと言うニュースも入ってきました。今後の推移を注意深く見守って行きたいところです。

 

最近のニュースから

 

育休取得率、女性72.3%、男性0.50%
女性雇用管理基本調査

厚生労働省は8月9日、2005年度の女性雇用管理基本調査の結果を発表した。 
04年度に出産した女性労働者の育児休業取得率は72.3%で、前年度に比べ1.7ポイント上昇。一方、配偶者が出産した男性労働者の取得率は0.50%と前年度の0.56%に引き続き低い水準にとどまっている。また、介護休業制  度の規定がある事業所の割合は55.6%で、常用労働者に占める04年度の介  護休業取得者の割合は0.04%(02年度は0.05%)だった。

「左遷でうつ病」労災認定 1人だけ窓際、給料11万減

共同通信によると、化粧品製造会社「コスメイトリックスラボラトリーズ」(東京)の元社員の男性(38)が「左遷人事が理由でうつ病になった」とした労災申請について、太田労働基準監督署(群馬県)が労災認定していたことが 30 日分かった。申請を支援した神原元弁護士は「精神疾患の労災認定は過労が原因であることがほとんど。こうしたケースでの認定は非常に珍しく画期的だ」としている。神原弁護士によると、男性は 1996 年に同社に入社し本社経理部で係長を務めていたが、2004 年7月に突然、群馬工場(同県邑楽町)の総務部に転勤になった。男性側は「同僚だった社長の息子に嫌われたことによる左遷人事だろう」としている。職場ではほかの社員の机とは離れた場所で、窓に向かった席に着かされた。給料も月約 11 万円減った。男性は転勤の2カ月後にうつ病になり、3週間入院。退院後の同年 10 月に本社に出向くと、解雇を告げられたという。
男性は 05 年4月に労災申請し、同年5月には解雇の無効と損害賠償の支払いを会社に求める訴訟を起こしている。
男性は「認められてよかった。今回の認定が、同じような状況で苦しんでいる人たちの一助になれば」と話している。8 月 30 日

今月の統計

物価が最も高いのはヨーロッパの4都市と東京
UBS調査レポート「Prices and Earnings」
世界71都市の購買力比較調査 − 2006年版




今月の司法・行政

過労死・過労自殺の和解報道、8月だけで3件

8月だけで、共同通信から配信された過労死・過労自殺の記事が以下のように3件ありました。従業員の精神衛生も含めた健康管理には十分気を付けたいものです。

@7,500万円支払いで和解 三井生命所長の過労死訴訟

共同通信によると、三井生命保険(東京)の営業所長だった渡辺一洋さん=当時( 32 )=が死亡したのは過労が原因として、妻らが会社に損害賠償などを求めた訴訟は 22 日、会社が和解金など 7,500 万円を支払うことなどを条件に大阪地裁(大島真一裁判長)で和解が成立した。原告側の弁護士は、会社が労災を認め教訓とすることが盛り込まれている点などを評価。遺族は「教訓を生かし、金融・保険業界の従業員の労働時間管理や健康管理などに真剣に取り組んでほしい」とコメントした。遺族は約1億 4,000 万円の損害賠償などを求めていた。会社側は和解金 4,290万円と、特別見舞金など 3,210 万円を支払う。訴状によると、渡辺さんは 1997 年 10 月、同社高松支社丸亀営業所長に就任。社員の指導に加え、新規顧客開拓のノルマを課され、残業や休日出勤を繰り返し、 2000 年8月に心筋梗塞で亡くなった。原告側は、死亡直前の厳しい勤務状況を立証するため、渡辺さんの携帯電話の発信やメールの履歴なども調べた。高松労働基準監督署は 03 年 12 月、渡辺さんの死亡を労災認定した。三井生命は「和解により円満解決に至った。それ以上のコメントは差し控える」としている。8 月 22 日

A2,000万円支払い和解 月百時間残業の新人自殺

共同通信によると、栃木県の加工食品卸会社に入社約8カ月後に自殺した男性=当時(23)=の両親が、月 100 時間を超える時間外労働を放置し安全配慮を怠ったとして、勤務先に1億 2,000 万円の損害賠償を求めた訴訟は 31 日、会社側が約 2,000 万円を支払うことなどを条件に東京地裁で和解が成立した。原告代理人の川人博弁護士によると、会社側は労働基準法 36 条に基づいて労使間で時間外の労働時間を決める「36 協定」を超える残業があったことも認め、再発防止を約束した。訴状によると、男性は 2002 年4月に入社。研修終了後の同年 10 月から営業マンとして働いたが、残業や休日出勤は月に 100 時間を超えた上、取引先とのトラブルやノルマ達成、社用車での交通事故などによるストレスからうつ病になり、同年 12 月に自殺した。遺族は 03 年5月に労災認定を申請したが、真岡労働基準監督署は「業務外の災害」として認めていない。川人弁護士は「新入社員の過労自殺の相談が増えている。リストラの結果、新人をサポート不足のまま即戦力にすることが背景にある。特に営業職はノルマが課され、過重な負担から自殺するケースが珍しくない」と話している。7 月 31 日

B過労自殺、遺族と和解 コマツ、裁量労働下で初

共同通信によると、仕事の性質上、勤務時間などが労働者に委ねられる裁量労働制の職場で働き、過労自殺した諏訪達徳さん=当時(34)、神奈川県平塚市=の遺族が長時間勤務を放置したなどとして、勤務先の機械メーカー「コマツ」(東京)に計約1億 8,000 万円の損害賠償を求めた訴訟は 28 日までに、東京地裁(湯川浩昭裁判長)で和解が成立した。原告代理人の弁護士は「和解内容はコマツの意向で公表できないが、納得できる内容」と話している。同弁護士によると、裁量労働制下の過労自殺をめぐり、勤務先の責任を追及した訴訟の初の和解とみられる。訴状によると、諏訪さんは 1984 年、コマツに入社し、 98 年秋から裁量労働制の職場へ異動。1日 11 〜 18 時間働き、うつ病となって 99 年 12 月に自殺した。平塚労働基準監督署は 2002 年「自殺は過労が原因」と労災認定し、遺族は 03 年7月に提訴した。訴訟でコマツは「自殺の原因は長時間労働ではない」などと主張し、争っていた。7 月 28 日


(あとがき) 自民党の総裁選が9月20日行われれます。主な争点は、消費税と靖国神社ですが、安倍晋三安が次期総裁でほぼ決まりのようですから、消費税は慎重に、靖国神社はまだ未定と言ったところでしょうか。