Personnel Management Office Report

11月号

発行日:平成18年11月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)年末調整の季節が近づいてきましたが準備の方は如何でしょうか。さて、統計上は、全体的には日本経済の景気の拡大を示していますが、ニューヨークの証券市場が史上最高値更新で活気を呈している中、北朝鮮の核実験一つで、円が続落すると言う日本経済の一つの脆弱性も見つけることが出来ます。東アジアの政治の安定は、日本経済の安定にもつながります。もちろん、日本が独自に国外の地域の政治の安定のために大きな影響力を発揮することは、憲法上も出来そうにありません。それならば、せめて国際社会に対してどのように発言していくか、深く強固な戦略を持ってほしいものです。

 

最近のニュースから

 

コラボレートに事業停止命令 「偽装請負」で初

 
厚生労働省大阪労働局は3日、製造請負大手の「コラボレート」(大阪市北区)に対し、労働者派遣法に基づく事業停止命令を出した。大手メーカーなどとの請負契約を装って労働者を都合よく働かせる「偽装請負」に絡んだ事業停止命令は初めて。停止期間は新たな偽装請負が発覚した同社の姫路営業所が1カ月、ほかの83事業所が2週間。大阪労働局は「法律違反の積み重ねがあった」として、法令順守体制の整備など業務改善命令も出した。
 コラボレートは、国内最大級の人材会社「クリスタル」(京都市下京区)グループの中核会社で、多数の大手メーカーと取引がある。従業員は今年8月現在で3万4290人。業界大手への厳しい処分で、偽装請負の解消に向けた動きが加速しそうだ。

 
大阪労働局によると、コラボレートの姫路営業所は兵庫県加古川市の工場で、実態は労働者派遣なのに請負契約を装って、約50人の労働者を送り込む偽装請負を8月時点で行っていた。メーカー側はコラボレートの労働者に直接指揮命令しており、数年間にわたって違法な状態にあったという。
 コラボレートに対しては別の偽装請負問題をきっかけに、大阪労働局が2月に事業内容の報告や偽装請負の是正を求めていたが、姫路営業所の契約について「適正な請負に改善された」と事実と異なる報告を5月22日にしていた。
 またコラボレートの前身の一つである「タイアップ」が昨年6月、東京労働局から法令順守体制を整備するよう事業改善命令をされ、徹底されていなかったことも、厳しい処分につながった。
 停止期間は4日からで、メーカーなどに新たな労働者の派遣ができなくなる。ただ、すでに派遣されている従業員は引き続き働くことができる。

 
大阪労働局は事業改善命令のなかで、すべての請負事業について総点検し、労働者の雇用の安定を前提に不適切な請負を是正して、1カ月以内に報告するよう求めた。コラボレート側は「今回の命令を受け止め、業務改善に向け取り組む」としている。

2006年10月03日


今月の司法・行政

アクセス記録で過労証明 死亡男性の労災認定

共同通信によると、電車内で倒れ死亡した東京都内の男性=当時(42)=について、八王子労働基準監督署がパソコンの接続記録を基に長時間労働を認め、労災認定していたことが 21日分かった。遺族の代理人の弁護士が明らかにした。
弁護士によると、男性は大手事務機器メーカーの課長だった昨年 6月、東京都千代田区から八王子市内の事業所に向かう途中、JR中央線の電車内で倒れ、 5日後に虚血性心疾患で死亡した。
男性の労働時間を証明する資料を会社側が示さなかったため、遺族側は東京地裁八王子支部に労働時間についての証拠保全を申請。これが認められ、男性がパソコンで同社のコンピューターサーバーにアクセスした時間やメールの送信時間、文書ファイルの更新時間などが判明したという。この結果、男性の死亡前 3カ月間の平均時間外労働が 1カ月当たり 86時間だったことが証明され、労災と認められた。

10 月 21 日

海外特許利益も含める 発明対価で最高裁初判断
  1億 6,000万円支払い確定 日立光ディスク技術訴訟

共同通信によると、CDやDVDなど光ディスクの情報読み取り技術を発明した日立製作所(東京)の元主管研究員米沢成二さん(67)が同社に対し、特許権譲渡の対価として約 2億 8,400万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決が 17日、最高裁第三小法廷であった。那須弘平裁判長は「特許法に基づき、海外で登録された特許で会社側が得た利益についても、それに見合った対価を請求できる」との初判断を示し、海外特許分も含め約 1億 6,300万円の支払いを同社に命じた二審東京高裁判決を支持。同社の上告を棄却した。米沢さんの勝訴が確定した。発明対価訴訟の判決で確定した支払額としては過去最高で、和解による決着を含めても、青色発光ダイオードを発明した中村修二氏の約 8億 4,300万円(遅延損害金含む)に次ぐ高額。特許法は発明した社員が特許権や特許を受ける権利を会社側に譲渡した場合、会社側がその発明で得た利益などを考慮して算出した対価を請求できると定めている。しかし海外で登録された特許による利益を含めるかどうかについては明記されておらず、二審判決が海外特許分も認めたことから、上告審の争点となった。
判決理由で那須裁判長はまず特許法の規定について「会社側と社員が対等の立場に立つことが困難であることなどから、社員の利益を一定範囲で保護するために定められている」と指摘。

その上で「国内と海外の特許で、会社側と社員の立場が対等でないことなどに違いはない。特許の基となる発明は実質的に一つであり、特許法の規定が類推適用される」との解釈を示した。
判決によると、米沢さんは日立製作所に在職中の 1973〜 77年、CDなどの再生装置に使われる情報読み取り技術などを開発。会社側に特許を受ける権利を譲渡し、同社は国内のほか、米国やフランスなどでも特許を登録した。米沢さんには社内規定に基づき、約 230万円の補償金を支払った。
米沢さんは 98年、発明に見合う対価を求めて提訴。 2002年 11月の一審東京地裁判決は国内特許による利益から算出した約 3,480万円の支払いを命じた。
04 年 1月の二審判決は海外分も含め約 11億 7,000万円を会社側の利益とし、その 14%を対価と認定。同社が不服として上告した。

10 月 17 日

懲罰的加算税取り消す 「02年までは不当、違法」 /給与所得へ変更周知なし 自社株購入権で最高裁


共同通信によると、ストックオプション(自社株購入権)で得た利益が「給与所得」と確定する前に、税額がほぼ半分の「一時所得」として申告したマイクロソフトや旧コンパックコンピュータの日本法人元役員ら七人が懲罰的な過少申告加算税の課税処分取り消しを求めた訴訟七件の上告審判決で、最高裁第三小法廷は24日、二審東京高裁判決を破棄、課税処分を取り消した。
 第三小法廷は「国税当局は1998年ごろから給与所得として統一的に扱うようになったが、通達を改正した2002年6月までは少なくとも課税上の取り扱い変更を周知しておらず、加算税の課税は不当または酷で違法」と判断した。
 裁判官4人一致の意見で、7件の裁判長は藤田宙靖裁判官ら3人がそれぞれ務めた。
 各訴訟の対象は、1997〜2001年に海外の親会社から付与されたストックオプションで得た利益。一時所得と申告した7人は1人当たり約2億1,269万〜約34万円の過少申告加算税を課税された。
 ストックオプションの利益は、最高裁が昨年1月の判決で「労務の対価で給与所得」との初判断を示すまで裁判例は分かれ、国税当局も98年までは一時所得として扱ったケースも多かった。
 一方、過少申告加算税は国税通則法が「正当な理由がある場合は課税しない」と規定。最高裁は税理士が勝手に虚偽申告した際の課税の当否が争われた訴訟の判決(今年4月)などで「納税者に責任のない客観的事情があり、課税が不当または酷な場合は同法の『正当な理由がある場合』に当たる」と認めている。
 9月の訴訟7件の弁論で原告側は「国税は一時所得として長年扱い、一方的に見解を変更して周知しなかった」と主張。国税側は「新聞報道や出版物などで課税上の取り扱いは知ることができた」などと反論していた 。

10 月 24 日


(あとがき)いじめによる自殺、幼児の虐待死、親殺し等々、最近の新聞の社会面は、憂鬱な記事が毎日のように並んでいます。仕事から離れれば、当然、皆誰もが父親・母親であったり、息子・娘であったり、地域社会の一員であったりしています。教育基本法改正の議論の中でよく出てきますが、倫理がまさに問われているのかもしれません。