(C)Sakura Suzuki 1997

「飛べなくなった天使」たち へ

いま、私がこうしている間にも、あなたはきっと焦っているのでしょうね。

両手を伸ばしているのでしょうね。

もしかしたら、自分を悲劇のヒロインだと思っているのかもしれませんね。

あなたの後ろには暗く冷たい森が迫ってきているのですから…。

けれども、私はそんなあなたの力にはなれません。

ううん、私だけでなく、何人たりともあなたの身代わりにはなれません。


でも、私は提言することができる。こう考えたらどうかしら?

今、あなたは他の人には経験できないコトを体験しているということ。

今、あなたは、あなたと同じような人の気持ちを理解してあげられるようにな ったということ。

今、あなたは……。これは、とてもとても大切なこと。


飛べない天使はダサイって笑われても落ち込むことはないんですよ。

平気で他人の心を傷付ける人の方がよっぽとダサイのですから…。

むしろ、苦しいことを知っているあなたの方が、思いやりのあるあなたの方が 、

彼らよりきれいな心がある。これは、とてもとてもカッコイイこと。


青空は見上げて観るから美しいんだと思うわ、

飛んでいたら空の青さになんて気づかないものよ。

それに、ここには花もある。と言っても、あなたは聞かないでしょうね。

苦しくて、悲しくて、そんな気分にはなれないもの。

だけど、これだけは言うわ。私はもう飛びたいなんて思いません。

ここに、ささやかな幸せを見つけたから…。

おぼえておいてね、幸せかどうかはあなた自身が決めるということ。

そして誇りに思ってね、隠さないでね、あなたが飛べないということ。