りりかSOSぐっずをかえりみて…

 ナースエンジェルりりかSOSぐっず班長(事務取扱)の魚皮です。りりかぐっず班は、その名のとおり、りりかSOSぐっずに関するぐっず及び情報の収集とそれの一般への提供を主な業務とし、ぐっず発見報告のほか、ぐっずリストの作成等を行ってきました。そこで、ここではりりかSOSぐっずの展開状況などの客観的な事実をもとにGNW首都圏事業本部としてのりりかSOSぐっずに対する見解をまとめてみたいと思います。

 まず玩具についてですが、メインアイテムは皆さんご存じのとおりアニメのメインスポンサーでもある株式会社タカラが提供していました。放映開始前にはかなりの入れ込みようで、問屋・小売店側に対するアナウンスもはたからみるとかなり謎なところもありましたが、力は入れてるぞ〜という感じはしました。それは95年6月に行われた東京おもちゃショー(千葉・幕張メッセ)でも同様でした。

 しかしながら、実際にフタを開けてみると、当初の意気込みはどこへいった・・という感じで、当初予定していた7月と9月に発売の玩具を出してからはまったく力がなくなってしまいました。最後に出たのは11月発売の「フラッシュリュージョン」で、これ以後、タカラの「玩具」としては出ることはありませんでした。

 これには2つの原因が考えられます。まず一つにはTVアニメーションの放映が影響しているということでしょう。内容がメインターゲット層にとっては難しかったのか、それとも出だしがあまり陽気な雰囲気でなかったことが災いしたのか、その辺の分析にについては他書に譲りますが、そういったことでメインターゲット層に(当時まだ勢力が強かった「美少女戦士セーラームーン」よりも)強く印象づけることができなかったことがあると思われます。
 もう一つは当のタカラ自体がキャラクター玩具について、明確なコンセプトをお子さま達に対して十分に示し得なかったことにあると思われます。商品化された商品を見ても、どれも他と比べて似たような感じのものであるほか、商品の考え方自体が旧来の発想をそのまま引きずっていることが考えられます。これでは、既存キャラクター玩具との差別化を図り、メインターゲット層に対して「りりか」を強く売り込むことができないばかりか、当時女児キャラクター玩具のトップの座にあった「美少女戦士セーラームーン」を追い抜くことはおろか、その足下に及ぶことすらできないでしょう。

 その結果なのかどうかは不明ですが(ここに掲げたものも判断材料の一部になっている可能性はありますが)、ある消息筋の話によれば、放映開始から3ヶ月ほどたった95年秋には放映打ち切りの決定がなされています。これでは、お先真っ暗ということで、新たな商品展開を期待することはできない状況におかれました。これは玩具の商品が11月に1商品だけ出されて以後全く出てこなかったのと時期的に一致します。

 ではどうすればよかったのか・・と言えば、先に掲げた2つの原因のうち、前者については、本書の範疇ではないので他書に譲ることとしますが、後者については、よりセーラームーンとの差別化を図りつつ、メインターゲット層の心理をうまく利用した商品の展開ができればよかったのではないか、と思われます。最近は女児玩具においても従来よりも電子化、ハイテク化された玩具が出回るようになりました。これは、「大人と同じことがしたい」と感じている最近の子供の心理をうまく突いたもので、電子手帳の爆発的な売れ行きを示した2、3年前ほど前からその傾向が顕著に出ています。このような環境下で育っているお子さまたちに旧来と同様の玩具を提供しても容易には受け入れてはもらえません。

 そこで、たとえばハイテク技術を従来アイテムに利用し、単に光って音が鳴る…といったものから一歩進んだものにするとともに、消費者、強いてはメインターゲット層に分かりやすい販売戦略を構築し、実行することが必要なのではないでしょうか。

 そのためには、単にメーカー側だけで考え、実行するのではなく、問屋、小売店までを含めた製販全体で考え、実行することが必要でしょう。製造技術に関してはメーカーが一番よく知っているし、消費者の動向については、消費者と直に接する小売店が最もその情報を持っています。メーカー、問屋、小売店がそれぞれに対応したとしてもそれはその内部だけの話であって、全体に波及することはまずありません。川上から川下の全体で情報を共有することで、これまでにそれぞれが抱えてきた問題を解決できる糸口をつかむことができるかもしれません。

 そういったきっかけをつくることが今のタカラには何よりも必要なのではないでしょうか。情報が欲しければ自分から積極的に動くことです。多くは全くの無駄かもしれませんが、そんな中にダイヤのかけらがころがっているのではないでしょうか。ダイヤ原石をただの石ころと見なして捨ててはいないでしょうか。

 次に文具及び玩具菓子の関係ですが、玩具ほど露骨な影響は出てはいませんでした。ですが、他のキャラクター商品に比べるとややアイテム数が欠けるかどうかといっただけでした。商品の展開についても他社と比べて遜色のあるものではなく、むしろ元気のなかった玩具系に比べてポイントを突いた商品が出されていたことが言えるでしょう。

 最後にその他の関係ですが、やはり人気があまりなかったこともあり、キャラクターの版権を利用した商品はあまり出ませんでした。この辺は人気にかなりシビアに対応する分野なので、人気の度合いを測るバロメーター的なものと言えます。それでも定番商品(ピロケース、小銭入れ、プリント布地など)は一通り出たようではありますが。

 というわけで、当初のつまづきを最後まで回復することができないまま放映終了という憂き目にあい、ぐっず的には一部には面白いものもありましたが、全体的にはあまりぱっとしない展開に終始してしまった・・というところでしょうか。これから展開するかもしれない女児キャラクター玩具については、セーラームーンという強敵がいないわけですが、その残した影響力はまだ衰えを見せてはいないでしょう。そのような中で他と渡り合っていくには既存の考え方にとらわれることなく、新たな気持ちで展開できれば勝利を勝ち取ることも可能になるのではないでしょうか。

 1996年12月
   GNW首都圏事業本部第一キャラクター事業部
   ナースエンジェルりりかSOSぐっず班長(事務取扱) 魚皮


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最終更新日 1997/06/01