ローハン峡谷 |
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ガンダルフとその仲間、王とその騎士達がイセンガルドから再び出発した時には、日が山脈の西側の長い支脈の背後に沈もうとしていました。メリーとピピンはあとを振り返ってみました。そこには木の髭だけがぽつんと一人立っていました。道はうねうねと曲がりながら谷間を下り、ゆっくり過ぎていきました。イセン川が石の多い川床を流れていました。一行はドル・バランの丘で野営をすることにしました。 ピピンはあの石が気になってどうしても眠ることができませんでした。そしてとうとう寝ているガンダルフの横に置いてある石を持ちだして、それを覗いてしまいました。ピピンはその珠の中に暗い空と高い胸壁を、さらに九羽の大きなコウモリのようなものを見ました。それからあいつが言いました。「ではお前は戻って来たな? 何故こんなに長い間報告を怠っておったか?」「お前は誰だ?」 ピピンは言ってしまいました。「ホビットです。」と。あいつはまた言いました。「しばらく待っておれ! すぐにまた会うぞ。サルーマンに言っておけ。この珍味はお前のものじゃないとな。すぐにそいつを取りにやらせるぞ。わかったか?」 この出来事を聞いたガンダルフは、この石がエレンディルの宝物の一つパランティアの石であり、ゴンドールの王達の手によってオルサンクに置かれたことを話しました。ちょうどその時翼を持った途方もなく大きなものが、北に向かって飛んでいきました。 「ナズグルじゃ!」ガンダルフは叫びました。そして夜明けを待たずにこの場を立ち去るように命じました。それから彼は飛蔭を呼ぶとピピンを乗せて走り去りました。 下の地図上から、「到着者の部屋」にお進み下さい。 |