3D-CG

 ● MS-05 ver.Hi "GYAN"

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■初出:JAFCON-1994/8
■製作日:1994年2月
■製作者:星野秀輝

■解説
 今から10年前(!)の1994年に「JAFCON用ガレージキット向け」にデザインしたギャンです。
デザインスケッチのいくつかをご紹介します。(あまりにも古いので、ちょっと恥ずかしいのですが…。)
 名前の英語スペルですが、当時は正式なものが無かったのでそのまま“GYAN”と書いてます。
 個人的にはかなり気に入ってます。(*^-^*)
 『いつか3DCG化しよう!』、『ついでに光造形で1/60のPGガンダムと並べよう!!』と思いながら、あっという間に10年経ちました…。(^^;;;;;)
 骨格にしようと購入したPGザクが新品のまま“押入れの肥し”になっています。(T-T)

 ここでは少しだけ説明を省略しますので、先に『ジオング』のページを読んでいただけるとわかり易くなります。

 当時、このMSは誰もリファインしていませんでした。そこで、ジオングの時と同じように、『当時の流行のラインを盛り込みつつ独自な要素を盛り込みたい』と考えてデザインしました。  特にこだわった点は、『盾のギミック』、『頭部形状』の2つです。


■リア・ビュー
 「中世欧米の鎧」をモチーフにしたMSとしては“ギャン”の他には“R・ジャジャ”くらいしかありません。そこで、『“R・ジャジャ”のプロトタイプ』というコンセプトで“ギャン”のリファインをすることにしました。
 このデザインのキットが配布された後に、ゲームで似たようなギャンのバリエーションモデルが登場しますが、あれは私の作品ではありません。
 ギャンのデザインを現在風にアレンジする際も、「中世欧米の鎧」をイメージさせるシルエットを変えるわけにはいきません。そこで、あまり目立たない部分で若干のシルエット変更をしようと思い、スカートの後端部を長くしています。また、首周りには大きな“襟”を付けました。
 背面の設定画は、背中の形状が描いたスケッチごとに全く異なっており、原型士の方に指摘されるまで気がつかなかったというエピソードがありあます。そこで、胴体部分だけのわかり易いスケッチを、後に描き起こしています。

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■リア・ビュー[その2]
 バックパックのスラスターモジュール(砲弾?)をはずした状態です。「スラスターモジュール」の取り付け基部を説明する為に描いたものです。
 取り付け基部の構造イメージとしては、『GP03(ステイメン)』をモチーフにしています。「ギャンの開発に携わったエンジニアが終戦後にアナハイムへ中途入社。そうしたらギャンの開発ノウハウもGUNDAMシリーズの開発に生かされているかも!?」なんて考えながらデザインしました。

 先にも説明しましたように、背中の部分は他のスケッチと形状が異なっていた為、後に胴体ブロックだけのスケッチを描き起こしています。…が、このスケッチだけは最終形状に修正されています。


■リア・詳細
 バックパックやスカートに隠れている部分がわからないと、模型にはできません。そこで、細部設定として描いたものです。キットのスケールが『1/220』という小さなサイズだった為、簡単なスケッチにとどめています。

 先にも説明しましたように、背中の部分は他のスケッチと形状が異なっていた為、後に胴体ブロックだけのスケッチを描き起こしています。
 
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■シールド
 とても特徴的なのが円形のシールドです。実は、丸いシールドって、ギャンしかないのです。
 さてはじめに、ギャンのシールドには「針型ミサイル」や「機雷」等の爆発物が内蔵されています。しかも、それらが外面に露出しています。これではさすがに『盾』として使えないので、迷わずこれらの射出孔に蓋を設けることにしました。
 次に「蓋の数」です。まずは「機雷射出孔」の蓋の数を決めることにしました。
 「丸の中にいくつかの部品をつけるということは、円をいくつかに分割するということだよな…」
 と思った瞬間頭に浮かんだのがカウンタックやフェラーリなどの“タイヤのホイール”でした。スーパーカーのホイルの多くは奇数の5本スポークになっていて、どの角度にタイヤが向いていても不自然ではないように工夫されています。バイクの場合は奇数本数の3本で、これも捨て難かったのですが、3という数字は機雷射出孔としてはあまりにも少なすぎる為、ここは迷わず“5”に決定!
 その次は「針型ミサイル」の蓋の数です。
 針型ミサイルはシールド上に無数についているため、とにかく沢山あるほうが原作のイメージを損ないません。そこで、1/220というキットのスケールを考えて、できるだけ多い数に設定しました。偶数個にしたのは、モデリング作業をやり易くする為です。


■アクティヴ・ウエポンマウンター
 MSのシールドは、Z以降前腕部に取り付ける構造となりました。劇中で両手を自由に使えるよう配慮された為だと予想されますが、「手に持った盾を敵にかざす」というポーズがとれなくなります。これは「ギャン」の場合、針型ミサイルや機雷を射出するという劇中での名シーンを否定することとなり、望ましくありません。そこで、「前腕部に取り付けられて、尚且つ敵にシールドをかざせる構造」を考案する必要があると考えました。それがこの『アクティヴ・ウエポンマウンター』です。
 『アクティヴ・ウエポンマウンター』はMSの腕に独特な装着方法をします。
 まず、手部でグリップを握り、次に前腕部側面のウエポンラッチへ固定します。
 『アクティヴ・ウエポンマウンター』自体は3接リンク構造をもっており、前腕部に取り付けることで4接リンクを形成します。この構造で、側面についているシールドの取り付け角度を最大90度まで変化させることが可能になるのです。そして、装着した武器をよりアクティヴに動かして劇中で活躍することができます。
 当然、ギャンが劇中で行ったほとんどのシーンを再現できるようになるわけです。
 1/220のキットでは可動ギミックまでは再現されていませんが、取付構造はしっかりと再現されました。

 グリップを握ると同時に前腕部に固定する考え方は、HGUCの1/144ギャンで採用されています。
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■頭部
 頭部もこだわったところです。
 ギャンの頭部は「ひし形」というか、「円錐を2つ合わせた形」というか、単純かつユニークで、とてもヒロイックな形です。その上、ドムとは異なるスリット状で十字に描かれたモノアイ部分は、ギャン独特なものです。頭部のデザインは、イメージを損なわず、現在風に全く異なるデザインを考えるというのは、なかなか難しいことだと認識するところからのスタートでした。

 基本的な部品構成は「円錐型を2つ貼り合せた形」と考えることにして、モノアイの十字スリット周辺をどのように処理するか検討しました。
 十字スリットに合わせて盛り上がった形状にすると、ドムに良く似た構成になり、同時に『中世欧米の鎧』というイメージが損なわれます。そこで、縦方向だけを盛り上がらせることにしました。すると、上下かシンメトリーであることが違和感を感じさせます。そこで、顔部下側のスリット形状を検討する上で「サザビー」のスリット形状を参考に取り入れてみました。
 次に頭部下端の処理です。後頭部の部分が後ろに長くなる形状が当時のトレンドでしたが、前後でシンメトリーな形状になりません。無理矢理シンメトリーにすると、後頭部を伸ばした分、前のアゴが長くなってしまいます。そこで、前後での完全なシンメトリー構造は、潔くあきらめました。


 頭部のつづき・・・
 前後での完全なシンメトリー構造はできなくても、前後が流れるようなラインでつながっていて一体感があれば劇中のデザインイメージを保てるかなと感じ、アゴのラインが後頭部へ滑らかにつながり、後ろで大きく張り出す形状にしました。
 オリジナルのデザインでは後頭部にも前側と同じような十字スリット状のモノアイがあるのですが、シルエットとしてシンメトリー的な印象が与えられればOKと判断し、後頭部に設けられたモノアイ用のスリットは、“十字型”ではなく“横一文字型”としました。

 形状検討にはいろいろ悩み、粘土で実際に模型を作りながら検討しました。原型士さんには、その写真を添えてご連絡したような気がします。

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■胴体部詳細
 全身画のデザイン画が1枚ごとに全て異なっていた為、詳細設定画として描きなおしたものです。
 襟の部分は頭部ユニットごと換装できる構造です。
 また、背中のバックパックも換装できるようにしてあります。


■その他細部設定「その1」
 模型化するということは、はっきり見えないところもそれなりに考えておかなければなりません。
 腰部に設けたビームサーベルのマウント部は、ロボットハンドのようにサーベルを挟み込んで保持します。

 スカートではっきり見えない太もも部分ですが、原作のイメージを踏襲する為に断面形状を指定しました。微妙なことなのですが、立体化すると印象が大きく異なってくるところなのです。


 あと、「足の裏」と「ビームサーベル」の細部設定画があるはずのですが、原画が行方不明(!?)なので、見つかった時に追加公開したいと思います。
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