3D-CG

 ● MSN-002-Hi ZIONG

(下の画像をクリックすると閉じます)
design_ziong_01_1.jpg

■初出:JAFCON-1994/8
■製作日:1994年2月
■製作者:星野秀輝

■解説
 今から10年前(!)の1994年に「JAFCON用ガレージキット向け」にデザインしたジオングです。
デザインスケッチのいくつかをご紹介します。(あまりにも古いので、ちょっと恥ずかしいのですが…。)
 名前の英語スペルですが、当時はまだバンダイ設定の“ゼオング(ZEONG)”が無かったため、旧解釈の“ジオング(ZIONG)”を使っています。

 このジオングですが、何故か、外国の不正ガレージキットメーカーから1/60というビックサイズで商品化されているらしいです…。


 『当時の流行のラインを盛り込みつつ独自な要素を盛り込みたい』と考えて、2つの冒険をしています。1つが『背中の大型スタビレーター』で、もう一つは『腰のメガ粒子砲の形状』です。
 背中のスタビレーターは、Zガンダムに代表される『ロングテールスタビレーター』にしてあり、独自のシルエットを演出できるよう配慮しました。Zガンダムに似たスタビレーター形状にしたのは、“モビルスーツ”として後に登場するものと技術的につながりが出てくるようにと配慮したからです。この考え方は、OVA・0083に収録されているインタビューで明貴美加さんが話されていたことに学んだものです。
 後にビデオゲームでテールスタビレーターを2個もつけたジオングが登場しますが、あれは私の作ではありません。
 また、背面のスタビレーター基部は脱着式になっており、他のバージョンにも換装できる設定です。
(下の画像をクリックすると閉じます)
design_ziong_01_2.jpg


(下の画像をクリックすると閉じます)
design_ziong_01_3.jpg

 ジオングには大きな問題があります。それは『足がないから着陸できない…』という大きな問題です。
 プラモならディスプレイ用の台があればそれなりに楽しめますが、現実的なところを考えるといろいろ疑問が出てきます。そこで、ランディングギアを設けることにしました。
目立たないようにデザインすることもできますが、“機能”をわかりやすく視覚的に訴えるため、あえてランディングギア収納部を出っ張らせました。また、収納時にもジオングが持つイメージを大きく損なわないよう、シルエットはできるだけ劇中のものを意識するよう心がけました。
 この『脚部収納部』を出っ張った形状にしたのは、もう一つ理由があります。それは、「これをはずしたら劇中と同じ形になりそう」と思わせることです。つまり、「このデザインのようにランディングギアが装備されるはずだったのが、何かの都合で装備できなかった…」とも解釈できるので、キット組み立て時に独自のアレンジを促すことにつなげようという配慮です。
 あと、“ジオング”という機体の性格上、後に開発される「ノイエ・ジール」や「α・ジール」との共通点がないとヘンです。ランディングギアを設けることで、この「ニュータイプ専用大型MS」にラインナップ感を与えようと考えました。更に、ジオング開発後すぐに登場する「ノイエ・ジール」とは大きな共通点があってもいいはずだよなと思い、あえてスカートの後部にノイエジールと同じようなディテールを追加しています。


 ジオングの象徴的な部分がこの脚部(?)です。
 立体化する以上、この部分の形状を考えずにいることはできません。
 キットのスケールが1/220という小さなものであったため、大きな部品分割でバーニアの並びや大きさのバランスなどを確認できる程度にまとめています。
 このバーニア部よりもこだわったのはスカートの形状です。独特な形状のためにZガンダム以降のMSのデザインラインと大きく異なってしまうのをどう統一感を出そうかといろいろ悩みました。“前たれ”の部分が湾曲Rとメインバーニアの円の中心が同じくらいにしたいなというのが狙いのラインです。
 
(下の画像をクリックすると閉じます)
design_ziong_01_4.jpg


(下の画像をクリックすると閉じます)
design_ziong_01_5.jpg

 先にも述べたように、腰部のメガ粒子砲の形状は特にこだわりました。
 劇中に登場したジオングの腰部はとても独特な形状で印象深いところです。しかし、Z以降のデザインラインと大きく異なることも感じ取れます。そこで、「Z以降のデザインラインを踏襲しつつ、印象深い独自な形状にする」というテーマで考えました。
 劇中の腰部はきれいなRでボディーラインがまとめられていますが、あえて「取って付けたようなメガ粒子砲」にしました。「取って付けた」を中途半端にやるとただ単にまとまりがなくなるなと思ったので、腰側面のアーマー基部とも段差が出るように、でこぼこなラインにしました。
 結果的に、腰部分はとても特徴的な形状となり、立体的にも生えるものになったかなと思います。


 頭部も独特なので、けっこう悩みました。
両側面についている小型バーニア等の細かい部品は無難にZっぽく仕上げましたが、側面から見たときのシルエットにこだわりました。
 側面から見ると、前半分はきれいな円弧(ほぼ真円)を描き、真中から後方にかけて流れるような形です。
 ニューガンダムの後頭部は取って付けたように張り出すアーマーがありますが、このジオングはきれいにまとまったシルエットにすることで、劇中のイメージを踏襲したいと考えたのです。
 あと、細かいスケッチはないのですが、首の部分はアクチュエータ数本で構成されているものを簡単な装甲板と布で覆っただけのイメージです。頭部は脱出ぽっどにもなっているため、壊れやすい構造に見えたほうが良いかなと考えたからです。
(下の画像をクリックすると閉じます)
design_ziong_01_6.jpg


(下の画像をクリックすると閉じます)
design_ziong_01_7.jpg

 肩アーマーの形状はイメージをなかなか伝えにくく、個人的に悩んだところです。いくつかのパースを描いたもののうまく伝わるかどうか心配で、結局、立体模型も作りました。