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8月
蒸し暑い日が続き、いつも不機嫌。
自分の部屋が蒸し暑いため涼しい1階で寝たところ、夜泣き騒動に巻き込まれる。
でも1階で眠り続ける孫バカの私。
夜中にあまりに起こされるので、祖父はたびたび自分の家に帰ってしまう。
そして一人でいると寂しがるため、夜中なんども背中がかゆい、とか寂しいとかいって部屋に人を引き込もうとする。
うっかり同情して、隣に布団をひいてねると、2時間起きにおこされ、祖父の不機嫌の原因がわかる。
とりあえず、これに祖母をのせたら運びやすいのではないかと思いつき、試してみると、とにかく座らせてしまえば、一人で部屋を移動させられることが分かった。
但し、床キズだらけ(^^;;
とりあえず、洗面所につれてゆき、顔を洗ってもらうことにする。
洗面所には鏡があるので、久しぶりに自分の顔をみたらしく、笑っている。
手がちゃんと水に届かないようなので、洗面器を置いてみたところ、洗面器に水がいっぱいになりそうなのをみると、手を精一杯伸ばして、蛇口をしめる。
ただ流してると、片手をつっこむだけでなにもできないのに、長年しみついた「もったいない」という気持ちが洗面器に満たされた水をみると、条件反射的に思い出されるらしい。
この「もったいない」がおむつをはずし、シーツをはずし、ベッドからずり落ちて畳の上で排便するパワーになっているらしいので、非常にやっかいな気持ちでもあるのだけど、動かないはずの体がうごくほどの強い力であることが、はっきりと分かった。
夜あついので1階の部屋でねていたら、声が聞こえる。
今日は祖父がいないので、だれも相手をしてくれないのに「かゆいかゆい」と祖母が叫んでいた。
夜中の2時、手でかきながら自分も眠くなってきた、というかただでさえ蒸し暑いから気分が悪い。
ベッドの横にある椅子にこしかけて、めんどくさいので、足で背中をかいた。
かかれている方は、ようは、人がかまってくれたらよいわけで、そのうち眠ってくれたようだ。
ほんとにねぇ、足で世話をするとは何事だ!って感じだけど、やらないよりは絶対いい。
「安心安心」と思ってとりあえず、体をパンパンと軽くたたいて、「おやすみ」と言いかけると、足下にティッシュの塊のようなモノを発見。
「ありゃぁ、多分尿とりパッドだ。」それは半分に折り畳んだパッドだったのだ。
重くないので、おれた中を広げて臭いチェック。鼻を近づけるとテープが鼻についた。
「うわ。。ってことは」そう、自分が手にした側が尿のしみこむ側だったのだ。
ってことは濡れてない。明け方よく、パッドを取っているらしいが、こんな時間にめずらしい。とりあえず、パッドをあてることにして、おむつのなかに手をつっこんだら、そっちが濡れていた。今かえるものめんどうなので、その上に尿取りパッドを差し込んだ。
たいていするときは嫌がらない。おむつをする、ということにはもう慣れてしまったようだ。
でも、そのなかに「する」という感覚が分からないらしい。
夜、パッドを取り替えようと思ったら吸収面を外側にあてていた。とることはあってもまさか自分で逆さまにしたわけではないので、私が間違ったらしい。気がつかなかったら惨劇が。。
遠目には異常はないようだったので、タオルケットでもかけてやろうと近づくと、そこに甘栗のようなものが転がっているのが見えた。
おむつははずしてないので、どうしたのか知らないけど、器用にずらしてしたのか、それは私がはじめて目にした、「ころころしてるから始末しやすい」といわれる便だった。
今日はわりと元気だったので、「汚してはいけない」、という意識があったのでおむつの外にしてしまったんだろうなぁ。シーツの洗濯の方が大変なのに。
心配なのはトイレ(といいだすこと)なので、行く前からできるだけ先にすませたい、との思いが先走り、いいなりにポータブルトイレを使わせるが、何も出ない。
聞けば朝からもう2回もだまされているらしい。
お墓は田舎のお墓なので近くまで車をつけられる。車の中から拝ませる予定だったようだが、直前に私がなだめ要員として動員されたため、せっかくなので母親と私で両脇を抱えて、ひきずるような体勢で墓の前までつれて行く。
もう一つの祖母の妹の墓にもつれていく。
久しぶりの外出はいい刺激になったと思うが、このこともいつまで覚えていてくれるやら。
すると祖母が「誰か〜」もしくは「とうちゃん」と呼ぶ声が聞こえるので(この「とうちゃん」ってときはかなりやばい状態。ふつうは「じいちゃん」のはず)部屋にいって、トイレに座らせる訳だ。
ところが、何日か経って、何度も呼ばれた気がして目が覚める、行っても全然反応がない、繰り返すうち、どうやら幻聴が起きていることが分かった。
その話を母親にすると母親など、外で買い物をしていても声が聞こえる時があるらしい。
もう一つ困ったのが、排泄物の世話ばかりしていたら、いつも自分がにおうような気がするのだ。
会社でまでにおう気がして仕方がなかった、これも母親にいうと、ひどい時は風呂に入ってもまだ、においがするらしい。
これは幻聴に対して「幻臭」と呼ぶことにしたのだが(花柳じゃないよ)こうなってくると、精神異常の世界に一歩踏み出してしまったような気がして、本当に一人で介護してる人なんてどんな世界にいるんだろう、と考えてしまった。
病院がちかいとか、仏壇の世話だとか理由はもちろんあるけれど、毎晩毎晩、うるさくはなしかけられて、耳がわるいだのなんだのいわれたらたまったもんじゃないわけで、こうしてたまに出ていってしまう。
夜、ひとりとりのこされた祖母をねかしたあと、あかるい蛍光灯のしたでふと耳をみると、白いものがぎっしりとつまっている。反対をみると、黒いものがぎっしりと詰まっている。
うわぁ、、耳垢だ。とりあえず、耳かきでつついてみるがぎっしりすぎてとても太刀打ち出来そうにない。
救急箱にピンセットがあったのを思いだし、懐中電灯で照らしながらの発掘作業を行う。
あまりに私が大さわぎしたので、母や妹までかけよってきた。
歯医者や耳鼻科の医者がつかってる頭につけるやつが欲しいとこの時は思った。
自分の視線の角度に合わせて明るくするのってとっても難しい、しかしまずは白みみさんから。
耳かきでとっかかりをつくりつつ、ピンセットでつまみあげると、ティッシュペーパーで耳栓つくったのをはずしたような、薄い紙に大きな塊がついているような状態で、しろい大きな耳垢がとれた。
当然おどろく祖母、しかし、黒みみさんもすごい。
黒みみさんはちょっとしめっていて、つかんでもすぐちぎれてしまう。そして異臭が。。
それでもまた耳かきでとっかかりをつくって、ピンセットでトライすること数回目にやっと引っぱり出すことが出来た。あれ、奥の方はうみみたいなのも一緒に出てきたよ、まだありそうだけど、こわいのでやめることにした。
最近耳が遠いとこぼしていたので「聞こえるようになった?」と聞くと「べつにかわらない」、という祖母、なんとも張り合いがない、あんなにあっても聴覚には関係ないのか、耳垢はとらない方がいいってのは本当だったのか、まぁでもあれだけ多いと多少とりこぼしてもいいやって感じで、楽しかったです。
そして、この晩、寝る直前までのスキンシップが効いたのか、夜泣きもせず、夜にトイレと大騒ぎもせず、朝までぐっすりと眠ったいたようだ。
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