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7月
ふと祖母の耳をみたら、黒いものが見えるほどになっている。
早速ピンセットでつまんだら、去年の夏以来気になっていた、黒いほうの耳垢がすっぽりととれた。
去年の8月、柔らかく、やっとつまむと奥の方からうみのようなものが出てきたあの、耳だとおもうのだが、やはり耳垢はちゃんと外に向かって移動しているものだとわかった。
はじめは痛いきがする、と不快感を表していた祖母だが、あまりのかたまり、長さ1センチで、円錐状で大きい方が5ミリくらい、丁度耳の穴の形をしたくろい固まりを見たとたんに、「おーーー」と以前に風呂で間違って冷水をかけて以来の、驚いた声をあげていた。
もう片方は白いのが、壁にぎっしりとはりついた状態。
ふつうの人であれば、それでもすごいのだが、かたまりでなくてつまらない。
これでまた、静かに眠ってくれる、かと思ったが、結局何度も夜、呼ばれて、耳垢と安眠・安定との関係を主張してきたが、結局関係ないものなのか???
暑さのせいもあるだろうが、やはりかまう人間が減ると刺激が減ってぼけがすすむのか??
ぼーっと寝ているところ部屋に入っていったら、「いま寝たところだから」といって起きようとする。
私が誰だかわからないようなのだが、寝ているとおこる人が帰ってきた、ということはわかるらしい。
とりあえず、おみやげの人形焼きを渡すと、嫌々ながらも起きあがった。
しかし、結局年寄りを喜ばせたくて、甘いものをかってくる自分ってなんなんだ。
ウチの墓であり、祖父にとっては大事な行事であり、大事な墓であるが、祖母にとってはけっこうどうでもいい墓である。
しかし、どうせ私と家に残ってもしかたないので、車に祖母も乗せていく。
墓は山の中にあり、車のない時代からの墓地ゆえに、道幅がせまい。舗装されたところからもさらに山道をあるかねばならない。
結局降りようとおもったところで後ろからせかすように車がきたので、祖父は降りたのだが、私と祖母は近くまで来たというのに、お参りせず。
しかし、、、祖父はここが終着地なのは分かる、しかし祖母はいったいどこに行きたいのだろう?????と考えてしまった。
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