7月26日 FUJI ROCK FESTIVAL

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 最初、イエローモンキーが18時から始まって19時に終われば余裕で帰れる、と思っていたのに、その前のRAGE AGAINST THE MACHINEは1時間遅れで開始、さらに1時間遅れなら18時には終わる、と思っていたRAGEが18時20分に終わった時は、イエローモンキーはもう最後までみれないかと思った。

 すぐ始まってくれよーと思っていたけど30分の休憩との声に、本当に悲しくなってしまった。確かに準備には時間かかるとおもうけど、気が気じゃなかった。

 雨は相変わらず、降り続いていた。

 
直前のバンドの状況

 RAGEのときは、周りは本当に男ばっか、そのなかで流れに身をまかせていたら、もうすこしで最前のバーの前にいきかかるところを(一番ちかい時は5列めくらいにいたのだった。多分最前にいったら瞬間的に前の柵からだされる)周りの男の子が押すだけでなく微妙なバランスを保ちながら、場所をキープしつつ飛び跳ねているのに気がつき、そのとどまろうとする力を借りて私もやっとのことで場所をどうにかキープするような状況、サーファーが頭の上をくるくるしながら前に落ちていく時、どうして周りの人の背中やうでに芝生がついているのかナゾか解けた。

 サーファーの足が泥まみれだったからなのだ。
 足もとなんてめったにみえないけど、ふとみると、くるぶしほどの泥の中に私の足があった。
 厚底ハイカットスニーカーのおかげで、泥はしみてきているけど、直接芝生は入ってないらしい。
 でも足がぬれてようがなんだかとっても楽しかった。

 始まる前に雨がふるときいて、3年前のウッドストックでNINE INCH NAILSが出たときの様子をMTVでみたとき(実は私はNINのファンである。こういう人もいるのだ。)ステージ前の人がみんな泥まみれでいるのや、終わったあとのゴミをブルドーザーですくいはこんでいるのをみて、すごいなぁ、まさか日本ではこんなことにはならないだろう、と思ったけど、なりかかってるらしいとそこできがついたのだった。

 
ライヴの前の状況

 RAGEが終わり、気がつくと、周りの女の子の割合が増える。
 最初は前のほうで残っていた男の子たちも時間が経つと、ぽつぽつと柵の外に出ていった。

 でも最前にはどんなに盛り上がってもびくともしない、鋼のような肉体をもつとおもわれるレッドホットチリペッパーズファンがいてくれたのだ。
 トリがすごいバンドで良かった、としか言いようがない。女の子には最前列は耐えられないから。(それを「どいて」と言う全然分かってない人もいましたが。)

 ドラムセットが登場。バスドラムにはPearlのロゴと同じ字体で「Burn」と書いてある。
 いつものライヴの前と違って本当にあわただしい様子。
 その間も、後ろから泥だらけの荷物が手渡しされたり、ダイブ状態で柵のそとに出る人が続出した。

 
1曲目にしてイエローモンキー初のダイバー(サーファー)をみることに(笑いごとではない)

 オープニングがドラゴンのテーマ??がちょっと長めにかかって、メンバー登場。

 1曲目はちょっと変わったイントロ(たしかノリのいいものだったと思う)で「SUCK OF LIFE」。
 前回のツアーで演奏されなかったこの曲に待ちかねた子が無謀にもステージ側に押し寄せた、んだと思う。
 突然、後ろからものすごい力がかかり、あのRAGEでもあり得なかった(「でも」ではなくて「だから」だったのだと後で思った)体がねじれ圧迫された状態になり今までのライヴで一番痛い思いをした。

 もうステージをみるどころではない、立っているだけで精一杯。そのうち、私の頭上を女の子がひきずりだされていった。

 多分、うしろでつぶれかかってるひとを男の人が上に持ちあげていたんだと思う。
 周りも女が多く力がないから、ころがすわけでもなく、セキュリティーの人が引っ張り上げるかたち、私もウデに力が入らない。
 私の髪の毛を引きちぎりそうな勢いで人が引きずり出されていく。左右の人は普通にしてるので、なんでこの位置にいたばっかりにこんな痛い思いをするのか、と人の下敷きになりかけながら、悲しかった。

 そのうち、周囲が「わー」っとなりかけたので、ステージをみたら、ギターソロになっていた。EMMAさんのあしもとに吉井さんがころがりかけていたような気がする。でもわりとすぐやめちゃって、1曲目が終わった。

(あとで雑誌をみたら、結構長かったらしいです。)

 
中断

 1曲目が終わったところで、中断。

 雨が降っているせいで体が熱くなって酸欠、ってことはなかったんだけど、暗くなった客席(中央から右よりのところ)をステージから懐中電灯でてらして、人を引きずり出している気配。

 あとでライブ中はぐれてしまった友人にきいたところ、後ろからおされたというよりは途中横揺れが激しくなり突然、人が倒れだしたとのこと。
 このときたまたま周りに目がいったせいできがついたのかもしれないけど、客席の写真をとっているカメラマンみたいなひとがいてびっくりした。

 ステージの上からもとってる人がいる。記録のつもりなんだろうか。

 ここで、そういえば、イエローモンキーのスタンディングライヴというと、なんどか1曲目で中断になっていたらしい(95年以降2回)と思い出した。
 そうでなくても、95年3月のファンクラブライヴの時、それまでで最高に苦しい思いをして以来、スタンディングのライブでは他のアーティスト以上に客席に無秩序さがあるのを体で感じていたのだが、あまり回数がないので忘れていた。

 「中断するほどノリが良かった」のとはちょっと違うと思う。
 会場の状況が悪かった、というせいでも多分ない、メンバーが特にあおった訳でもない。
 スタンディングのライヴで前の方にいた人ならわかる、あの状況が泥沼のなかでおきたのだった。

 ただ、当日は、「自分だけは大丈夫」という若い女の子の無謀なエゴイズムが中断させたのだ、と思ったけど、今思うと自分は会場へのバスが3時間半まちで、(実際河口湖駅についてから会場につくまで4時間以上かかった)駅前で雨のなかをぐるぐるとまわらされていた分、体力が温存されていたから余裕だっただけなのかもしれない。

 もし朝や前日からまっていたならば体力も落ちていただろうとおもうので、それも原因なのかな。

 体の動きならRAGEの人たちの方が激しいのに、またかと思って悲しかった。

 
再開

 苦しそうなひとを外に出してから、2曲目が始まった。

 最前の柵の前では外国人のセキュリティーの人が5、6人客席をのぞき込んでいた。
 とりあえず、最初はおとなしくしていたのだが、後ろの人がほとんど押してこなくなっているのが分かってきた。
 SEE-SAW GIRLで落ち着いてやっと体を動かすことが出来た。多分演奏ものってきたんだと思う。

 でもイントロ聞いても曲のタイトルが出てこなかったり、記憶はあやふやになってきた。

 曲と曲のあいだのどこかで、「ジャパニーズ!」ってシャウトしてたなぁ。
 時間だけは気になっていた。BURN、LOVE LOVE SHOWで終わりかと思ったら、吉井さんが人差し指をたてている、もう1曲、何だ??と思ったら、「悲しきASIAN BOY」を演奏した。
 最後の曲だけど、押し合いにはならなかった。

 
ASIAN BOY

 横アリのビデオをみるまで気がつかなかったのだけど、最後の方で「おまえとおれとは同期の桜」と歌っている時があるみたいで、この日もそうだった。
 前に吉井さんがASIAN BOYの曲について話しているのを雑誌でみたときに「この曲は『ありがとう』にインスパイアされた」と言っていて(「ありがとう」とは昭和40年代にTBSで放送された水前寺清子が出てくるドラマで、その主題歌のこと)そのほかに「軍歌」が入っていると言っていたのを思い出した。

(本当は「貴様と俺とは同期の桜」で、実際「紫の炎ツアー」では「貴様」といっていたので、このときもそうだったのかもしれません)

 終わったのが8時すぎ、急いでバスにのりこみ、電車で都内までやっとのおもいで戻ることができたのだった。

 演奏がどうだとか雰囲気がどうだとか、あまり分からない。
 ただ、靴もぬげちゃいそうな、落とし物をしても絶対拾えないような、モノに対する執着をすべて失わないといられないような泥沼のなかでも、音楽を聞くという目的で、飲まず食わずで立っていられる場合もあるらしいということを確認した。
 但し運がよければ。

 
恥さらしだけどやっぱり書く〜現代ワカモノ事情〜

 イエローモンキーを見に来た子のことを書くと、本当になさけないので、はっきり書かないようにしようかとおもったけど、やっぱり追加する。

 一般的にロックファンかどうかは置いておいて、世の中ワガママな己の限界をしらない女って多いでしょ。ってそれを容認してる男にも問題あると思うけど。(自分はどうなんだろ。許されてないから、どんどん強くなるしかないのかな。)

 でも、「聞きに来たあなたもイエローモンキー」なのと同じで、私自身も「恥さらしファン」なんだけど、このイベントだから起きた特殊な状況ではなく、今後もおこりうること、として、これからスタンディングライヴに参加する人は気をつけたほうがいいと思うので、書きます。

 まずいきなり待ち時間から悲しかったのが「最前列に行きたい女」。

 RAGEの時はいったい何処でみていたのか、安全圏から来たんだろうね。スタンディングのライヴは初めてだったのかね。

 普通のライヴの時だって大変なのに、特にこの日は大変なのに。
 最前列の危険さを全然分かっていないみたいだった。
 望み通り最前列にいれてあげれはもう二度とその生意気なコトバは聞かなくて済んだのに、と残念だ。

 この人の言った自己中心的かつ矛盾だらけのコトバは吉井さんのMCよりも強烈に覚えている。
 「レッチリ終わったらどくから最前の人替わって」(こーゆー人キライ。好きじゃなくても最前列でみてやろうって意思のある人は特に大事にしたいと私は思います。自分も他のライヴで言われていやだったことあるし。)
 「イエローモンキーはタテノリちゃうねんで。横ノリでみんなその場でノればいいのに」(あなたもその場を動こうとしないで黙ってノればいいのに)
 「みんなファン同士助け合って楽しもう」(おいおい、あんたのワガママ通る=助け合いじゃないんだよ。このとき思わず、「いい加減にしろ!」とつぶやいたら、前にいた男の子がぎょっとしていた。彼は満員電車にのるみたいに、手をひじから上に向けて手の甲を外側にしていた。前の娘さんに痴漢だと思われないように気をつかっていたんだろうね。)
 「こんな顔メンバーに見られたくない」(みたって元をわかんないから大丈夫だよ。分かったってそれが自分の姿なんだからいいじゃん。それでもいやなら前に来なきゃいいじゃん)
 あげくのはてに、まだそんなに押されてないのに、人をおしのけてまで前に行きたい時の必殺フレーズ(みんなだまされちゃいけないぞ!!)「後ろの人おさないでー」が出てきたので、あまりのパターン通りさに笑ってしまった。

 それは将棋倒しが発生する以前(94年春)にもいたよ。後ろにだれもいないのに、「おさないでー」といって前につっこんで来る人。

 ほかの人も遠くからものすごい勢いで12000円で最前列を買ったような気分でつっこんできたんだろう。

 ま、あのイベントじゃなくても、いつもそうだ。
 スタンディングライヴ=最前列を買った気になる人がイエローモンキーのライヴに来る人には多すぎるのだ。

 ただ、そのいつもの状態になった場所が悪かった。

 ステージ前は10センチほどの泥沼だったのに。
 私の後ろから引き上げられた人のことだけど、その人数は一人二人より多かったと思う。
 みんなひざから下がどろまみれで、どろまみれでも靴を履いているひとはまだいいような状態。靴がぬげおちている子もいた。

 普通なら、靴なんてあとでとればいいけど、あの泥沼じゃ見つかるわけないよ、あの子はいったいどうやって家にかえったんだろう??

 将棋倒しの現場の近くにいた友人の話はもっと生々しい。
 ふと気がつくと、自分の足のとなりに何かあるのに気がついたらしい。で、それが人間だったというのだ。

 泥沼のなかに女の子が二人倒れていて、その上にさらに将棋倒しになったひとがいたらしい。

 「ロビンー」とか言う声は会場でよく響くのに、どうして、助けて、とかそこをあけて、とか助けてあげて、って声はちいさいんだろう。

 前の方で苦しそうな子がいたらしい。でも、その周りの子は「後ろに通してあげて」をくりかえしたんだそうだ。
 前の方が近いから「普通は前から出してあげるものだ」といっても聞いてくれなかったらしい。

 前の子をつぶして後ろに追いやってしまおうってことしかかんがえられないのかね。
 外タレのファンをコワイと思っている人もいるかもしれないけど、RAGEのライヴの時に私の周りにいた人たちには、12000円で最前列を買った気の人間なんていなかった。
 行きたければ行けるような空間的な余裕はあったし、ずーっと1曲圧迫されつづけなんてバカなことは無かった。

 多分、そこにいた男の人には自分は自分で守り通すプライドも、それを実行できるだけのパワーもあって、そこで楽しみたい自分の気持ちだけでなく、他の人の楽しみたい気持ちを無意識のうちに分かり合っているような気がした。

 周りの人は私が女だとみて、わざわざ押すのをやめた訳ではないだろう。
 楽しむことを分かっている人は、男だろうが女だろうが、運悪く倒れそうになっていれば、引き上げてやれるし、頭上を転がりたいヤツがいれば、ちゃんとコロがしてあげれるし(途中で力つきた例もあったらしい。当然全身泥だらけ)楽しむということの一要素に周囲の雰囲気を良くする、というのを持ち合わせているんだと思う。

 どういう引き合わせなのか知らないけど、イエローモンキーのスタンディングのライヴには自分の体力にモノを言わせて情け容赦なく突進してくるタイプかつ(もしくは又は)己の体力の限界を知らないタイプの人がステージ前には集中する。
 その様子はライヴを楽しむ=前列に行くというすり替えの結果の、弱者がさらに弱者をいたぶっているだけの本当に醜い光景だ。

 ま、これを「死ぬ覚悟で来い」ととるか「みんな助け合おうよ」と取るかはそれぞれだろうけど、殺し合いだけには今後も絶対したくないし、自分も死にたくないし、直接手を下さない加害者の一員にもなりたくない。

 あのイベントの運営自体にはいろいろ問題はあったと思うけど(すげぇ不満。ロックビジネスなんてほんとガキあいてだと思って、ガキが大きな顔して仕切ってるもんなんだなぁ、ってしみじみ思った)、ステージ前のセキュリティーの外人さんの目は真剣だったし、ステージの上の監視人の人だってものすごく気を使っていたと思う。

 (ロッキンオンジャパンに自分が助けてもらえなかったからって「軍人上がりのセキュリティー」がどうのって非難するような文章があったけど、あれはぼーっとライヴみてるヤツがわるいんだよ。本当に苦しいなら見つけてもらわないとダメなんだよ)

 他のバンドはどうだったか知らないけど、イエローモンキーの中断に関しては、集まったいつもの人間のいつもの無謀さがいつものように露呈しただけだ。

 まだひまわり振ってる子のほうが、その精神はともかく、害がないだけいいやぁ、と懐かしいくらいだ。
 あの手をふらふら振るような振り付け、前からよく疑問に思う、を繰り返してたけど、体力ない女の子にはあれくらいがちょうどいいよ。

 
あの、全くイエローモンキーのファンがだめって訳じゃなくって

 さらに追加します。ここで問題だといっているのは「スタンディングのライヴ」です。

 普通のホールの場合は、他の(いわゆる)ビジュアル系バンドに比べたら、イエローモンキーはちゃんとしてる人が多いです。

 「SUCK OF LIFE」のはじめに「こっちにおいで」と言われて本当に行く人はいないでしょう。いないんですよ。
 でも他のバンドだと本当にそっちにいっちゃってその瞬間席なんて関係なし、って超無秩序状態になる場合もあります。

 あと、前の方の席の子が後ろの方の席の友達を連れてきて平気で2人並んでいることだってあるし。

 だから、普段はそうなのに、どーしてなのかなーって思うのでした。

 あと、将棋倒しといっても全部が全部倒れるのではないです、何故か強い力のかかる位置は決まってます。
 コワイ思いをしないで少しでも前で見たい人は向かって左側にいったほうがいいです。

 中央から右にかけてはかなり危険です。

 
イエローモンキーを見るまでの状況

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