12月5日 郡山市民文化センター 中ホール


 前日のヒーセのニコニコにすっかり気を良くして、郡山へ。
 1曲目から、とぎれることなく楽しい時間をすごす。この東北シリーズは、他に比べてステージがよく見える席が多かったのだが、ぼーっとヒーセのベースを弾く手元を見ていたら、ベースの太い弦がふるえているのがわかり、「音は振動なんだなぁ」と視覚的にすごくよく分かった。

 今までもたまに、前の方で見たことがあるはずなのに、全然見えていませんでした。
 さらによく見ていると、ベース本体も小刻みに振動していて、これが一体となって増幅されて、後ろから吐き出されてきているのね、と、気のせいかもしれませんが、アンプから直接音を聞いているようなダイレクトな印象を受けました。

 ふと中央に目をやれば、アニーのドラムもふるえていて、さらに、ステージ上の照明までが揺れていました。
 まるでステージ全体が意志をもって生きていて、客席に存在するもの全てに伝えようと力を振り絞っているように、見えました。

 自分はもともとロックの人ではなく、聞くとしたらクラシック寄り(近代・現代音楽)だった時期もあり、コンサートにおいて、ロックの「生でなく、必ず電気的な処理をしているところ」に対しては、なにかごまかしがあるようで、一段低く評価する傾向があったのです。
 でも「トータルで何を感じられるか」という点において考えると、自分があるコンサートや演奏を良いと思うということ、それは音楽の形態にはよらず発生しているわけです。それは説明はつかないのですが、漠然と感じていました。

 その漠然としていたものの一端が、この夜分かったような気がしました。多分それまでも、最初にライヴを見た時からそこにあったのでしょうが、音の発生元の段階でしっかり形づけられていたからこそ、会場の奥の方まで伝わって来ていたわけです。
 でも、スピーカーが間にあると、音が単に大きいのか、響きが大きいのか良く分からくなっていたのです。
 もしかすると、どのバンドでも近いところでみれば、同じなのかもしれません。その時はまた別の違いを探さずにはいられなくなるでしょう
 でも、すごく回り道でしたが、ロックに対する「子供騙し」的解釈に対しての疑問に、答えがでて非常に気持ちの良い夜でした。

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