コラム堀内一三


   鬼よりも 98/10/4

 再会された「渡る世間は鬼ばかり」第1回を
見た。受話器の向こうにしか現れない山岡久野
がいきなり亡くなったのにも驚いたが、離婚し
た中田喜子の科白「慰謝料とか、色々ともめて
漸くまとまった」とは、現実にはまり過ぎて恐
い。前夫役・三田村邦彦は何が橋田壽賀子の怒
りに触れたのか。沢田雅美は今何処に。
 橋田ファミリーは今日もゆく。
 
     Mr. President 98/10/16

 ブッシュ前米国大統領が来日した。9年前、
宮沢首相(当時)に公衆の面前でゲロをかける醜
態を演じた氏だが、72歳になった今は返って壮
健に見受ける。
 御子息が大統領になれるかどうかは微妙だが
親爺は自信たっぷり。仲々どうして、亜米利加
人らしい。
 
 
   時間ですよ 98/9/13

 日テレ系「お熱いのがお好き?」は、古式ゆか
しい大家族を今風にアレンジ、言うまでもなく「
ドラマのTBS」全盛期の久世演出のリニューア
ル版。フジ系「今夜、宇宙の片隅で」はここのと
ころ低迷続く三谷幸喜脚本の西村雅彦話。どちら
もそこそこ面白く、強い印象には欠ける。視聴率
はともに今ひとつ。
 ドラマは難しい。
 
     お尻だって 98/9/19

 トヨタ自動車にはウォシュレットがない。そこ
で私は携帯用尻洗いを社に置いてあるが、排便後
どうしても思い切り尻が洗いたくなった時は、大
手町へ行き経団連の7Fトイレで尻を洗う。
 痔瘻というと猥笑の対象になり勝ちだがどうし
てどうして、一寸便が堅くなれば貴方にも訪れる
万病である。
 たったひとつの肛門を大切にしよう。
 
   442ヘルツの攻防 98/8/9

 話題の本「絶対音感」だが、バイオリニストの
苦労旦に比重を置き過ぎた感はあるものの、「絶
対音感」の一面を突いていることは疑いない。
 恐らく私は、1ヘルツを聞き分ける程の「絶対
的な」音感はないが、極めて雑駁な「絶対音感」と
エレクトーンで培われたコードボイシングの作用
で「便利な流し」或いは「人間カラオケ」になれた。
 お陰で幾何学的な曲作りは出来なくなったが、
幼少時に楽器を習わせる事には、やはり無謬に賛
成だ。それで「絶対」音感が付くとは限らないが。
 
     踊り踊るなら 98/8/29

 東日本最大、百万人を超える観衆を集める高円
寺阿波踊りが本年も盛況の内に幕を閉じた。数え
ること42回。
 幸いにも拙宅はメイン会場のひとつ、高南通り
を眼窩に見下ろす位置にある。笛と鳴り物の調べ
に世俗を忘れ踊り狂うとは大袈裟だが、我々も
舞踏隊を標榜するならば死ぬ迄に一度は出演すべ
きではないか。
 
 
 
   すもももももももものうち 98/7/20

 増設ハードディスクの寿命(?)が迫ってきた様 
でデータ保存の為にMOを導入した。最初に買っ
たパソコン5台分の容量が1枚のディスクに収ま
って仕舞うのには隔世の感がある。
 そろそろペンティアム以前のPC本体も買い換
える必要があるのだが、NECの「転向」で多く
の資産がおジャンになるかと思うと二の足を踏ま
ざるを得ない。民族路線を堅持してくれても良か
ったのではないですか、関本さん。これぢゃあ出
井さんに乗り換えちゃいますよ。
 
     今週のスポットライト 98/8/1

 サザンの20周年記念番組で78年の「ザ・ベスト
テンの映像登場。懐かしいなぁ、と思った次の瞬
間に当時の衣装のままの司会の二人が現れた。
 妻と同時に出た感想が「よく引き受けたな」。
やり取りを見ていると、人格が変わった様にも見
えないが、思えばニュースステーションも小林一
喜氏が出ていた頃は、普通の番組だった。テレ朝
の生命線だから降りる訳にもいかないだろうが、
人様に後指を指されない晩年を過ごしたくはない
のか、久米宏。20世紀最大の魔女狩り報道はもう
見たくない。
   誰が振り子を振ったのか 98/7/13

 第18回参院選は自民大敗で幕。先週新聞各紙が 
苦戦を伝え楽勝ムードに暗雲がさしたが、少々曇
り雨降らず、絶好の選挙日和が高投票率を呼び、
予想を大幅に上回る大苦戦に終わった。

 今回目を引いたのはNHKの当選者インタビュ
ーで、大多数が景気の回復と経済改革の実行を最
優先課題に挙げていた中で、日本海側各県のみお
しなべて「地元の発展」、しかも例外なく自民党。
 これが相当に奇異に映ったということは、逆説
的に日本も「都市型選挙化」が進んだということで
あり、その顛末がが無党派層の投票行動に左右さ
 
 
れた東京・大阪・神奈川・愛知計13議席の自民全
滅だったろう。
 もうひとつ、野中幹事長代理はじめ執行部の「
敗戦の弁」に使われた振り子論。金丸元副総理が
好んで用いた「お灸」論をマイルドにした感がある
が、「自民党が衆参で過半数を占めることに有権
者が反対した」のは何故だったのか。
 89年4点セットの大敗北の翌年衆院で安定多数
を確保したように、バランスが働く傾向は強いが
「モグサが多ければ火傷する」と突っ張るだけでは
困る。まずは政権政党、自由民主党に引き続きこ
の国を託すのだから。
   弁護士を通して下さい 98/7/4

 「三浦さん釈放」。カズの金髪が咎められた訳 
ではない。実行犯を特定出来なかった検察の敗北
だが、本「殺害事件」の前段である「殴打事件」
の実行犯として既に刑期を終えた元女優の立場は
どうなるのか。
 15年の歳月を経て、日ハムで6番を打っている
大打者と同一人物でないことも明らかになった。
フルハムロード・ヨシエも遠くなりにけり。
 
     右寄りのダンディー 98/7/11

 小沢一郎が髭剃りのCMに起用されたかと思っ
たら「自由党」の広告だった。題して「小沢一郎
が永田町で嫌われる理由」。自民党の「橋龍だ。
やってもらおうぢゃない」といい、やうやく政党
Public Relationsも人並みになってきたか。
 縦い対抗勢力としてでも、日本にはもう少し「
国家」を肯定的に捉える主張があっていい。明日
は参院選、どうなる自由党。
 
   夢のまた夢 98/6/8

 デジタル録音でランダム・アクセス、標準を獲
得するのも当然の「夢のMD」に思わぬ落とし穴。
 どうもデッキの調子が悪いと思っていたところ
ディスクを入れた瞬間に丸毎中身が消えて仕舞っ
た! デジタルは事故が起きた時は被害がでかい
という好例だが、やはりソニー製品はよく壊れる
のか。それでもMDというシステム自体は、夢の
発明品であることは疑いないのだが。
 
     プラハの春から 98/6/28

 前評判通り、プラハは美しい街だった。嘗ての
蘇連邦の影は、最早お土産屋に並ぶマトレオシカ
と、「KGB, still waching you」のTシャツぐら
いのものである。
 6回の夕食を牛4・豚2の全てウィンナーシュ
ニッツェルで締めた新婚旅行と併せて2週間の休
暇も遂に終わり、明日から日常が回帰する。皆さ
ん、ありがとうございました。ではまた。
 
   すばらしい日々 98/5/26

 豊田章一郎経団連会長が4年の任期を終え今日
退任する。トヨタ自動車を嫌いな人はあまた居れ
ども、それでも73歳の氏の行動力とタフさには敬
服せざるを得ないだろう。
 思えば非自民連立から社党政権、円高と円安、
構造改革と構造不況の日々。会長、大変お疲れ様
でした。これからも走り続けて下さい。
 
 
     お聞きになりますか? 98/5/31

 YMOコピー・バンドの演奏に感慨覚めやらぬ
が、現代の音楽シーンに中期〜再生YMOのフォ
ロワーは多けれど、テクノ・ポップの「ポップ」
を受け継ぐ勢力は何故現れないか。需要は少なく
ない筈だが、キーボード主体のインストは力量が
相当抜きんでないと一般受けは難しのだろうか。
 なにはともあれ、「.EXE」の高沢俊一氏に
深い敬意を表します。
 
   バダヴィヤ 98/5/23

 スハルト大統領が遂に辞任した。台湾将父子に 
比す開発独裁の雄も歴史は墜ちた偶像と記すか。
 しかし独立後の大統領が2人とは凄いが、日本
では未だにスハルトの積もりで、スカルノと言っ
て仕舞う人も少なくない。丸でファイターズをフ
ライヤーズと呼ぶが如し。スの頭韻以上に、恐ら
くデビ夫人の存在は大きい。
 
     皇紀2658年の春 98/5/25

 恒例となった感もある中国抗議行動の最新の標
的は映画「プライド」。作品としては冗長、散漫
の謗りを免れ得ないが、事実には、スポットを照
射する位置によって幾つもの真実がある、という
ことを日本国民は知るべきだろう。
 映画館に入ると、何故か右寄りの席だけが一杯
ということはありませんでした。
 
   「自由の風」に一票を 98/5/10

 学生の頃、一部でカルト的な人気を集めた政治 
漫画「票田のトラクター」は、現在も週刊ポスト
で健在である。「理想の小沢一郎」である代議士
稲山一郎とその秘書、筒井五輪の物語だが、微妙
に現実とリンクしているところがやめられない。
 さきがけは偽装離党か、稲山を裏切る伝馬代議
士は未来の新井將敬ではなかったか、など是非一
読をお勧めしたいのだが、先般ついに中村茂の不
治の病が発覚した。宮沢りえも吃驚の激ヤセの元
総理「だわな」氏の安否が気遣われる。
 
     ラララ核実験 98/5/14

 と歌っている場合ではない。印パ紛争を抱え、
大国に圧迫される印度の論理にも成程一理はある
が、日本としては中国に相対するよりは、心安く
無償援助の停止に踏み切らざるを得まい。

 印度に関する逸話をひとつ。独立の闘士、チャ
ンドラ・ボースが日本に逃れ、庇護された料理店
に印度の伝統料理を伝えた。これが現在の中村屋
のカレーの原型だと言うのだが、これはどこまで
実話なのか。
 
   お葬式 98/4/28

 土、日、月と荷物のお片付けで名古屋へ行く予 
定にしていた所に、金曜の夜に祖父が亡くなり、
ピッタリのタイミングで通夜、葬儀も月曜までに
収まった。
 人知を超えた力をそれ程信ずる方ではないが、
結婚式にも差し支えなく、丸で私の来名に合わせ
るかのように、祖父は旅立ってくれたような気が
してならない。
 
     4番打者 98/5/3

 武上巨人軍打撃コーチが大見得切って宣った。
「松井の4番を外すのは俺が辞める時だ」。4番
を外してアンタが辞めた方がいいのでは、と思っ
た人も少なくないだろう。
 長嶋が定着した60年代末を除き、V9時代の4
番は、殆ど長嶋、王が入れ替わりで務めている。
松井の偉大さは論を待たないが、必要以上に4番
だけを神聖視しなくてもいい。
 
   池袋から愛を込めて 98/4/23

 70を超えても異様に艶やかな肌で知られる堤清 
二セゾン会長だが、過剰に寝グセを付けた様な特
異な髪型が整髪の成果であることは意外に知られ
ていない。朝からイレイザーヘッドで現れた時に
は度肝を抜かれたが、「市場に不信任された橋本
政権は退陣すべき」発言で久々に脚光を浴びた。
 自民党員でなくとも、市場に不信任を食らって
退陣すべきなのは、インターコンチとファミリー
マートを手放した貴方の方ではないですか、と言
いたくなるだろう。
 異能経営者に敬意を払わない訳ではないが、や
はり作家・辻井喬としての「余生」に期待したい。
 
     大人の関係 98/4/27

 林葉直子将棋元女流王将の愛人は中原16世だっ
たとの報道に耳を疑った向きは少なくあるまい。

 誤解を恐れずに言えば、兄弟子の故・芹沢九段
のアイアイ・ゲーム「チョメチョメ」には及ぶべ
くはなくとも、中原も人間だったかと妙に安心す
るような趣もなくはない。
 一将棋ファンとしては、ひと皮向けてより大人
になった中原の三度目の名人位復璧を望みたいが
自宅前の会見はやや「自然流」過ぎた感もある。
 
 
 
   Stop The New-Wave 98/4/18

 このところYMO熱が高まっている。二次会の 
演奏が本決まりになってからというもの、ネット
上に数多くあるYMOの頁を便りに、昔のテープ
のダビング交換なぞ、高校生のようだ。

 さて、我々は元YMOのお三方とは知り合いで
はないから、三人称として用いるのだが、「教授」
「ユキヒロ」に対し、遠山左右衛門の丈がならず者
でも「金さん」であるように、「細野さん」と呼ぶ。
 畏敬の念に発するのだろうが、私だけかしら。
「ハルオミ」ではかなり印象が異なってくる。
 
     浪漫飛行 98/4/22

 妻(間もなく)が退社にあたって、某社某隣り
の部署の部長殿よりいただいたのは絵本「100
万回死んだ猫」だった。

 いい話ぢゃありませんか。人はリアリストにし
て浪漫を持たなければならない、と言ったのはロ
ーマの詩人、アンドロギュヌスだったか。人は齢
五十を超えてかくあらねばと感じ入ること頻り。
 誰かの御成婚二次会ネタで使おうか、と邪推な
考えを抱いているようではいけません。
 
 
   魔に魅入られた魔王 98/4/7

 経団連の次期人事が6日、決まった。てっきり 
富士の橋本氏と思っていたところ新副会長に大賀
氏で吃驚仰天。
 大賀ソニー会長は元バリトン歌手。退任した北
岡三菱電機社長は趣味で「魔王」を吹きこんだと
いう。故に今回の人事を歌手から歌手への交替、
と論評した新聞は勿論ないが、北岡氏が自宅で
「お父さん恐いよ〜」と青筋立てて唸っている姿
を想像するとちょっと恐い。
 恐らくは原語でしょう。「ふぁあた〜」か。
 
     球 春 98/4/9

 チャーター機で福岡入りして早や9年、遂に
「貧乏球団」の名が踊りだしたホークスが好調だ。

 かつて「大陸的」と評されたさわやか好青年の王
貞治氏の眉間に深い皺が現れて久しい。今年こそ
豪快野球で爽快な笑顔を見せてほしい。長嶋に間
に合わなかった我等の時代のスター、王貞治のホ
ームランが嘗て我々に与えてくれた笑顔の様に。

 4月、球春来たる。
 
   コウエンジャー 98/4/4

 高円寺在住者をエンジーと呼ぶらしい。もちろ 
んこれは高円寺の"エンジ"にeeを付けたものだが
中央線ガード下の商店街と同じで何やらもの哀し
い。私はコウエンジャーを主張したい。
 ちなみに阿佐谷在住者はアサガヤンという。仲
々はまっているが阿佐谷で良かった。オギクボン
ではちょっと紛い物くさかったろう。

 今回からコラムをスタートする。特別なテーマ
はなく、野球、政治、音楽など徒然なるままに綴
っていくので、気が向いたらお付合い願いたい。
     政策転換 98/4/5

 橋本首相がまたもや旅先で減税を表明。アジア
経済に配慮すること自体は悪くないが、どうも「
外圧」を演出している様ですっきりしない。山拓
氏のように、財革法に固執するのも政治家のひと
つの見識だが、転換するならするで、身を以て表
明してくれなければ責任を求めようもない。

 かつて中曽根、宮沢両氏がウソつき呼ばわりさ
れたのは、結果として失敗したとはいえ、明確な
政策を打ち出したが故の、名誉の負傷だっとこと
を忘れてはならないのではないか。

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