都知事選がますます混迷を深めて来た。タマがでそろいつつあるなかで、与党自民党のタマが決まらない。
有権者800万、投票率50%として、総投票数400万。当選ラインが150万票とすると(青島で180万)、 基礎票80万票、自民党一党では当選はおぼつかない。
50万の基礎票をもち、都議会では第2党、与党過半数割れの参院で法案を通すには…、 となると選挙に勝つためにも、国政運営上も、二重の意味で公明党には秋波を送らざるをえない。
同じ新進党くずれとはいっても、鳩山は創価学会と仲いいが、柿沢は仲悪い。
敗戦覚悟なら、都連推薦の柿沢でも…、と思ってたら、青島降りて、俄然勝ち目がでてきた。
スワ。
「ちっ。なんだ。『青島はもう死んだのか。』こんなことなら柿沢をもてはやしてその気にさせるんじゃなかった。 だれだ。ヤツを煽ったヤツは。
そもそも柿沢は外様だ。出戻りだ。しかも、たった3ヶ月とはいえ、政界再編をウマく泳いで、外務大臣になりやがった。
コホン。そんなことはともかく、勝つためには柿沢ではダメだ。創価学会にウケのいい、アンド浮動票をとりこめそうなヤツは…。
明石だ。国連事務次長。国際派。カンボジアPKOではがんばった。広島平和研究所長。ハト派(だろう)。 創価学会とも仲いいし、しかも柿沢とも付き合いある。秋田出身で、秋田県知事戦出馬辞退しているが、そこまで贅沢いえない。 情・理・利をつくせば、柿沢もわかってくれるだろう。」
…と考えたかどうか知らないが、そうは問屋がおろさず、結局柿沢は出ることになった。
柿沢の動機はなんだろう?オトコの意地?明石は腰くだけ、強気でおせば自分が統一候補になれるとふんだ? なりゆき?やぶれかぶれ?ゴネ得の猟官運動?それとも、高等戦術で…?
森幹事長、山崎、島村都連会長は柿沢説得におおわらわだ。 候補者一本化しないと勝てないし、そもそも明石が出てくれない。
ところで、柿沢の勝算は如何ほどなのだろうか?捨て身の勝負なのか? いや、そもそも「自民党として、選挙に勝つためには、公明党に顔を立てるためには、ここでどうすべきなのか?」
俺なら、明石も出して、柿沢も出す。明石がおりるなら、別の人(相乗り可)。 別に誰も出なくてもいい。柿沢出るだろうし。
そもそも都知事選は「まともに戦える戦場でない」。
都知事選は「風」をおこす「ドラマ」をつくらないといけない。
8年前は「おじいちゃんをいじめるな!」
4年前は「思いあがりの都政のちゃぶ台をひっくり返せ!>いじわるばあさん」
泣きパンダ顔カッキーは、絵になる「いじめられキャラ」ではないか?
「オトコだカッキー」と思いきや、妻にケツをはたかれただけ。 さんざんこけにされてもめげずに自民党にすがろうとする。 でも目をうるませながら、一生懸命に「今こそ、都にはプロの知事を!」と訴える。
こやつを「オトコにしちゃるっ!」「可哀想…→判官びいき」 「プロの知事、とはなかなかいいこと言うじゃないか…」と思わないか?
一点惜しいところは「いじめ役」が野中とかこわもてじゃないところ。
明石が出ただけで公明党は自主投票になるから、乱戦で鳩山の目はなくなる。 明石が当選すれば勿論万万歳。いやいや、明石が出るなら、柿沢の当選可能性はグンとあがると読む。 はからずも「ドラマ」になってるし。
柿沢、いずれにせよ「自民党」なんだから。どっちに転んでもいい。 「自民党」は「与党であることが唯一の紐帯」、なんでもありの政党なのだ。
明石がでなくても、他の候補者擁立できて勝てれば当然OK。
擁立できないとしたら、確かにそれは失態だが、失態なんて今にはじまったことではない。
政治家の恥は掻き捨て。
公明党は鳩山にまわるが、ヤツはもともと保守系だ。
よしんば柿沢。十分話題つくったし、十分勝ち目あるじゃん!?
どっちに転んでもOKさ、自民党。
ともかく、カッキーかなりイケテル、いやいやイケルと思うのだが…。
どうだろう?
[解説・補論=堀内一三]
柿沢氏は大蔵官僚から著書『霞ヶ関三丁目の大蔵官僚はメガネをかけたドブネズミといわれる 挫折感に悩む凄いエリートたちから』でデビュー。新自由クラブから参院へ、転じて代議士。 西岡離党後の混乱を契機に自民へ。平成6年、渡辺美智雄離党騒ぎに乗じて自民離党、 旧「自由党」を結成し羽田内閣外相に就任。野党転落後、新進党結党の直前に翻意し大内啓吾らと「自由連合」結成。 平成7年自民党に復帰。