1998/01/07

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「星の生まれ出ずる丘で」 こんほい分室



tile


・・・それから数十年の後、トレの記念堂の壁に貼られた
1枚のタイル。あの時代、彼女は何を見、何を成したので
しょうか。                     


rijel


「西方の小都市ファルバーレン在住の女学生」

名前はリジェル・コマック、17歳。高級陶器の産地として知られたファルバーレンで帝立学校に通う学生です。
この服は学校の制服ですが、彼女自身のアレンジ(特に脚周り)が大分入っています。帝立学校の制服には、学園服、礼拝服、文官制服(帝立学校生徒は帝国の仕官と見なされているため)の3種があり、これはファルバーレン校の学園服です。
ファルバーレン付近は良質の土が採れるため昔から焼き物が盛んで、藍色の光沢が特徴のファルバセラミクスは宮廷でも珍重されています。陶器交易による富で都市は潤っており、そのためファルバーレンは帝国内でも就学率が高い方です。
彼女の父親も陶器職人ですが、彼女自身は将来「星辰技師」(占い師と気象予報官の中間みたいなもの)になりたいと考えています。まもなく学業も終了なので、卒業後星辰技師の資格試験を受けるため、帝国首都への旅を計画しています。

<星辰技師について>
カデル山脈の南、帝国の大部分では5〜6年に一度の割合で冷夏が巡ってきます。本来なら冷夏の年は作物収穫量が激減するのですが、現在では帝国が発布する気象予測を基に、作付けする品種を変えるなどして収穫高の安定化が計られています。
この地方の気象にはあるサイクルが存在していることは大分古くから知られていました。最初は神事・儀式などでその年の気象を占っていましたが、次第に学術的な分析に基づいた予報がなされるようになりました。これらを専門職として発達したのが星辰技師の始まりとされています。
今では星辰技師の役割は単に気象予報に留まらず、広く産業界全般のアドバイザーの役割を果たしています。また、官職のいくつかのポストでは星辰技師資格所持が任官の条件になっています。

<帝国について>
東方に広がる国ライティアに比べると、帝国の文化水準は長く遅れていました。ライティアが魔女達の統べる国(後述)であるのに対し、帝国の領土は「祝福されざる野蛮な土地」と見なされていたからです。しかしここ数十年て、帝国では化学・工学といった分野で目覚ましい発展が見られました。帝国の国力が増すにつれ、今まで不変と思われていたライティアと帝国の力関係に微妙な変化が起こっています。帝国のこれ以上の国力増加を危惧するライティアが、先手を取って帝国に攻め込むのではと言った噂も囁かれています。しかしながら、帝国の西方に位置するファルバーレンでは今の所これらの話には無縁と言って良いでしょう。

<ライティアについて(参考)>
この世界の文化の中心であるライティアは、「神々により祝福された土地」に広がる国です。その土地の云われについては多くの伝説が伝わっていますが、ライティア及び姉妹国のディトアの国土では「祝福」の結果として、魔法を使うことができる人々が生まれています。
ライティアでは、3〜4歳の子供全てに対し、魔力を持つかどうかのテストが行われます。これは、魔力を持つ人が数十人に一人の割合で”ランダムに”生まれてくるからです。魔力が認められた子供(理由ははっきりしないが、30対1の割合で女の子の方が多い)は親元を離され、国の保護の元、神官として育てられます。そう、ライティアの政治は魔力を持つ神官(他の国に言わせれば「魔女」)により運営されているのです。
ライティアの”魔女達”は、ライティアの国土外では魔法が使えません。そのためライティアの領土は魔法の有効範囲として自ずと決まってきます。また、他の国は魔力に対し大きな畏怖の念を抱いているため、ライティアと他国の間は「見えない線」を挟んでバランスを保ってきたと言えます(これについては270年前に”ディトアの歓び”という大きな例外が発生していますが、ここでは省略します)。
ライティアは魔力が産業の原動力であったため他の学術分野の発展の余地が無く、ここ最近の帝国の”産業革命”もあり、長年続いた国同士のバランスに変化が起ころうとしています。

<秋の帝国観光案内(ファルバーレンの街で見かけたパンフレットより)>
帝国南西部の保養地ピークルコックルでは、冬の到来を前にして毎年恒例の「ベタイモ祭り」が行われます。”ベタイモ”のすり身を街の中央に立つ教会の壁一面に塗り付け巨大な「イモの聖堂」を出現させると言う、帝国屈指の奇祭をあなたも御覧になりませんか。パックツアーの参加料はお一人3,400ミロン。貸し切り馬車で往復10日の旅程です。旬のベタイモ料理にもきっとご満足頂けると思います。申し込みはアンデラの店まで。

おしまい


KONHOI