演武の取り組み方    第2版 1996.1.6 三枝

1.開祖の言葉

 ・演武というのは、音符を五線紙の上に書き入れて作曲するのと同じである。ドレミファソラシ

  ドの音符が法形であり、その音符を自由に並べて曲を作る。このできあがった曲が演武である。

 ・袖や襟を捕りにいったら手を払われて、いきなり突きや蹴りがきたら二度と捕りに行くか。

 ・居捕りのとき、相手が中段構えで、座っている自分に向ってきたらそのまま座っているか。

2.演武とは何か───演武の原点は法形───

  1)演武組成の目的を明確にする

   ・演武は、修練の意義や取り組み方は普遍であるが、内容は目的に応じて変化する。

  2)演武と演舞の違い

   ・技法の原理や原則と、身体運動の理に基づいた動きであること。

   ・実践に即した動きであること。

  3)演舞を助長するもの

   ・格好が良く、見栄えがするので形だけを真似する。

   ・大きくダイナミックに投げられたら、良いことであると思い込む。

3.間違いだらけの演武

  1)攻撃する者が、やられにいく      6)投げても固めず、すぐ当身

  2)防技を施して、攻撃を待っている    7)残心は余韻を味わう間ではない

  3)手捌きだけで、足捌きがない      8)気合いと掛け声の違い

  4)演武の順序にとらわれて応用がきかない 9)動きのリズムが、合い過ぎる

  5)投げられるのでなく、飛んでいる   10)構成に無理がある

     「格闘技として構成や動きに無理がなく、合理的であることが、

                       演武組成の基本的な考え方である。」

4.演武の審査方法───相対評価でなく絶対評価

 演武の評価は、演武の途中で対象事項の発生のために減点するものと、開始から終了までの

 全体を評価するものに分かれる。前者を部分評価、後者を全体評価と呼ぶ。

 1)部分評価:正確度(50点)          減点

   次の3段階がある─┬─やや 正確さに欠ける  −1

            ├─かなり    〃     −2

            └─全く     〃     −3

 2)全体評価:表現度(50点)

  @ 構成         ─┐

  A 体構え         │

  B 運歩          ├─各10点          合計100点

  C 調息、目配り      │

  D 気迫、気合い     ─┘

 3)減点(大会により異なる場合あり)

  ・規定以上の技       :総合点から−10点(失格の場合あり)

  ・時間(1分30秒〜2分)  :総合点から −5点/10秒

  ・団体演武の単独技、単演  :失格(但し、高校連盟のみ)

 4)同点

  ・正確度を優先する

5.演武組成法 (演武の前に:体力向上、基本形のマスターも重要)

 @ 剛柔一体

 A 守者、攻者は交互

 B 投げられた者、固められた者、蹴られたものは、次に攻撃

 C 最初と最後は、できれば大技

 D 礼(初め、終わり)は中央で

 E 三人掛けは、常に三角形で

 F 科目表をよく見て技を抽出(できる技、知っている技だけから選ばない)

 G 団体演武:

     ・技を合わせることよりも、各組が技を正確に行うこと

     ・技の最中は合わなくてもよいが、技の最初と決めを合わせる

     ・三人掛けはやめ、すべて同じ組演武がよい

     ・縦、横の線を合わせる

     ・できるだけ段位を合わせる

 H 礼をゆっくりしたり、普段と違うことをしない

 I 級の場合は技を無理に連続させない(連反攻で終わって可)

(参考文献:あらはん 1986年1月号 演武について)

                                     以上

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