岡山の植物(抜粋)
 
 
 

生産者としての植物
原始地球においては、大気中には遊離の酸素ガスなどは存在しなかった。
海の浅い場所に誕生した原始的な緑色植物は、太陽から降り注ぐ光エネルギーと水から有機物を生産し、酸素ガスを放出してきた。
植物は数十億年の長い年月を費やして現在の大気を作り出したのである。

植物は酸素を放出すると共に有機物を生産する。動物や菌類はこの有機物を摂取し、酸素で酸化して二酸化炭素を放出すると共にエネルギーを取り出して生活の源としている。
炭素は、太陽のエネルギーを仲立ちとして、消費者である動物、分解者である菌類、生産者である植物の間を有機物や二酸化炭素などに形を変えつつ移動しているのである。

近年、空気中の二酸化炭素の量がゆっくりではあるが増加しつつあることが報告されている。
その原因は人類が大量の石油・石炭などの化石エネルギーを使用しているためであると考えられている。
化石燃料の燃焼により放出された二酸化炭素は植物により吸収・同化されると共に、海洋に溶け込んで除去されるが、現在の二酸化炭素の増加は、これらが吸収・同化できる量をはるかに
越えて放出されていることを示している。

植物は酸素、有機物の生産と二酸化炭素の除去を行っている。地球上の全生物の生育を支えている基盤であり、再生可能な天然資源として適切に利用しつつ、保護・育成を計る必要がある。

 

岡山県の植物の特性
植物地理学から見た特性
植物は芽生えてから枯死するまでの一生を、芽生えた所でずっと動かないのが普通である。しかし、子孫を作るための情報を持った種子は、動物、風などの他の力を借りて移動する。
移動していった先で次の世代が芽生えて成長することや、さらにその次の世代となる種子を作り出すまで旨くやれるかどうかは、その土地のさまざまな環境に大きく作用される。

いま我々のまわりに生育している多くの植物は、そこまでやって来た過去の経歴を持っている。
アメリカセンダグサは、外国から日本にやって来た種子が人や他の動物にくっついて国内の各地に広がり、今我々のまわりで普通に見られるようになっている。

人間の一生をはるかに越えた長い時間の経過の中で、こうした植物の営みによって、それぞれの植物が自分の生活に適した地域を求め移動してきた。
岡山県内の植物をこうした目で眺めてみると、いろいろな特徴が見られる。ここでは、こうした特徴について見てみることにしよう。

最終氷期(ビュルム氷期)の一番寒かった時期が約2万年前と言われているが、その頃の岡山県は、今よりも平均気温で7-9℃近く低かったと考えられている。
平均気温で7℃違えば、今の岡山市の気温がほぼ札幌市の気温と同じであったと言うことになる。短純に考えると、今の札幌市の付近に生えている植物が生育していたことになり、鎮守の
森にみられるスダジイ、コジイ、あるいはツクバネガシ、アカガシなどのシイ・カシの仲間は生育することが出来ず、現在中国山地に見られるブナ、ミズナラなどのナラの仲間や現在中国山地
には無くなったシラビソ等が生育できる気候である。
中国山地ではもっと寒く、北海道で言えば山地の植物が生育していたと考えられる。もう一つ重要なことは、瀬戸内海が今のような海ではなかったと言うことである。
地球全体が冷えていたために南極や北極の周辺では海の水が凍って今より沢山の氷が出来ていた。
この結果、海岸が現在よりも100cm程下がっていたと言われている。こうなると瀬戸内海は海ではなくなり、紀伊水道と豊後水道に向けて川が流れ、旭川などの三大河川は、その支流であった。
このため、瀬戸内海は中国山地と四国山地に囲まれた盆地となっていて、乾燥した非常に寒い気候であり、生育できる植物は、コナラ亜属、カバノキの仲間などの低木であったと考えられている。
その後急速に気温が上昇し、6千年前頃、今より約1℃程暖かい時期が有り現在に至っている。
温暖化に伴って、瀬戸内海では海水が入り今のような内海になり、最も暖かかった頃には三大河川の流域では、海岸が県の内部まで入り込んできた。
このころ陸づたいに南方からシイ、カシの仲間が、中国地方を日本海側と瀬戸内側を経て拡大していったと考えられている。

現在、県内の各地の神社などで残されているシイ、カシの樹林は、このころの分布拡大によって岡山県南部を中心に分布することになったものである。
総社市の熊野神社や御前神社などではタブノ木がわずかに生育している。
タブの木は海岸沿いの温暖で湿潤な気候下で生育するとされている種類だが、瀬戸内海沿岸は非常に乾燥しているため、ほとんどタブノキガ生育していない。
総社市周辺で生育していることは、かって温暖だった頃にやって来たものが、この地域でよくみられる川霧などの湿潤な環境によって生き残ったものと考えられる。


身近な植物
雑草は七変化が可能
周期的な耕種操作が行われる水田に生える雑草と、その他の場所に生える雑草とが形態的、生態的に異なることがある。
スズメノテッポウ ―イネ科に属する雑草。3-4月に穂が出る。穂の付け根の部分で折り曲げると笛になる。
この草は、麦など水田の裏作に対する雑草である。また、田んぼだけでなく、野菜畑や麦畑などの畑地、路傍や宅地周辺などにも見られる。

水田型と畑地型で暮らしに直結した生理的・生態的な性質に大きな違いがある。
水田型は稲の収穫後に出芽して翌春の水稲栽培が開始されるまでに自分の生涯(生活史)を全うしなければならない。
従って種子の休眠は浅く、他の雑草に先駆けて優勢な群落を作り、かつ日長に対する反応は鈍く(中日性)、早熟性もうまく働き翌春の耕作前に種子を落とす仕組みになっている。
見事に稲作栽培に適応させている。

一方、畑地型の場合は、深い休眠性、難しい発芽条件、種子の多産性を備え、また、日長が長くないと出穂しない性質を持ち、水田よりも不安定な畑地の環境に適応した特性を持っている。
畑地型から水田型が分化したと考えられている。

スズメノカタビラ ―ゴルフ場では芝生の管理のために芝刈りが頻繁に行われている。
岡山県下にもかなりのゴルフ場が存在しているが、そのゴルフ場の強草害にイネ科のスズメノカタビラがある。この雑草が芝刈りの頻度や高さにより異変が生じていることが明らかになっている。
すなわち、グリーンは非常に刈り込みがきつく、芝が5mm前後に刈り込まれる。そして、テイーグリーンでは10mm前後、フェアウェイになると20-30mm前後、ラフで35-50mm位で刈り込まれる。
つまり、頻繁に芝刈りが行われるグリーンやテイーグリーンに生えるスズメノカタビラは草丈が非常に低く、逆にラフやフェアウェイ由来のものは草丈が高いことが報告されている。
しかも、この特徴は遺伝的に固定されており、刈り取り作業が
分化を促したことになる。
                                                             岡山県自然保護課 おかやまの自然 第2版(平成5年3月)

   

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