未知との遭遇パート2
                           足立 進
 私は宇宙船タイタニック2号の船長である。
 私の使命は、惑星アルファ星にすむアルファ星人と友好関係を結ぶことにある。
 つい、一年前、突然アルファ星からコンタクトがあったのだ。
 地球外生命体とのコンタクトは、地球史上初めての出来事であった。
 そして、そのコンタクト内容を解読した結果、アルファ星人が地球人と友好関係を 結ぶために、アルファ星へ招待しているのだとわかった。
 そこで、地球上のあらゆる科学者、政治家、軍事家が集まり、その対応を協議した 結果、最新の宇宙船であるタイタニック2号に、各界から選ばれたエリートたちを乗 せ、アルファ星めざして十万光年の旅に出たのである。
 これはかなり危険な旅である。
 まだ、アルファ星というのがどんな星で、そこにすむアルファ星人がどんな生物な のか、何もわかっていないのである。
 ただ、コンタクトに応じて出向くのみである。
 そのコンタクトの目的もはっきりとはわからない。
 ただ、短いメッセージながら、我々を友好的に招待しているらしい、ということが わかったのみである。
 従って、我々の準備も抜かりなく行った。
 地球上の最先端の科学者を乗せ、あらゆる状況においても適切な判断ができるよう にしたし、最悪の場合を想定し、地球上で最強の破壊兵器をも積み込み、戦闘体制も 整えた。
 場合によっては、アルファ星を植民地として乗っ取ることも想定してのことである。
 そして、長い航海も、ついに終わるときが近づいた。
 アルファ星を肉眼で確認できる地点まで近づいたのだ。
 その時だった、一隻の宇宙船がタイタニッ ク2号に近づいてきた。
 アルファ星から発進した宇宙船である。
 我々は、友好的な態度を保ちつつも、最強 の破壊兵器の照準をその宇宙船にあわせ、攻 撃体制を整えた。
 その時、航海室の大型ディスプレイが作動 し、アルファ星人の宇宙船からの映像が映し 出された。
 そこに映し出された映像を見て、私は、驚 きのあまり声が出なかった。
 そこには地球人にして、三、四才ぐらいの 子供たちが数人映し出されていたのだ。
 私の驚きをよそに、続いて、スピーカから 声が流れてきた。
「どうも、ボクたちの『あそぼ!』のよびか けに、こたえてくれて、ありがとう。きみた ちがちきゅうをでてから、ぼくたちはずっと まってたよ。ほんとは、もっとはやく、おと もだちになりたかったんだけど、おとうさん たちが、ちきゅうじんは、まだあかちゃんみ たいなものだから、もうすこし、かがくや、 ぐんじりょくがはったつしないと、ボクたち とあそんでいるうちに、あやまって、ちきゅ うをほろぼしてしまうかもしれないってね。 そう、ちきゅうねんにして、二〇〇〇ねんぐ らいまっていたんだよ。きょうは、おもちゃ のぶきももってきたようだね。さあ、あそぼ!」
(イラスト 生知由宇)