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宇宙海賊α 小葉利夫
宇宙海賊αは、銀河系中を荒らし回る極悪非道の海賊たちだった。直径300キロ
メートルをかるく超える大型の宇宙船は、数々の火器が装備されており、どんな戦闘
部隊も相手にならなかった。
宇宙海賊αの目的は、銀河系をその武力で支配することであり、その第一段階とし
て数々の惑星から戦利品を略奪することであった。
そしてαの次の目的地は、緑と水があふれ様々な生き物が生息する、太陽系第三惑
星の地球だった。
宇宙海賊αはホワイトハウスの上空に待機すると、大統領の前に立ちはだかった。
「お前たちの宝物はなんだ」
海賊たちは、どう猛で非情だった。大統領は、膝がかすかに震えるのを必死でこら
えていた。側近が机の裏のボタンを押そうとすると、海賊の口から灼熱の炎がはしっ
た。側近は、即死した。
「金塊や石油が欲しいなら、すべてくれてやる。そのかわり、地球に危害をくわえな
いでくれ」
大統領は蚊の泣くような細い声で懇願した。
「そんなものは、必要ない」
そう言って、海賊はすみやかにボタンを押すと、ペンタゴンに保管されている数々
の宝物を物色し始めた。使えるものをすべて徴収すると、海賊は宇宙へ旅だった。比
較的、大統領が逆らわなかったので、被害は最小限にすんだ。
大統領がへたりこんでいると、なんともまぶしい流れ星が空に浮かんだ。
愚かな宇宙海賊αは、核弾頭を使用してしまったのだ。
(END)
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