ヴィジュアルノベルを作ってみよう
 


 「kanon全年齢対象版」などというものを買ってしまいました。
 定評のある、ファンも多い作品と聞いていたのですが、これで泣くのか?と不思議な気分になってしまいました。駄目です。許しません。あっでも「けろぴー」と「ねこーねこー」は許します。他は不許可。
 そこで私は、自分の作品を書き始めました。
 これがなんと、妙に楽しいのです。

 それは、サウンドノベルとか、ビジュアルノベルとか、デジタルノベルとか、呼び名は様々ですが、形式はみな同じです。
 ゲームとしての分類は、まばらに分岐のある、選択肢スタイルのマルチエンディングアドベンチャーゲームとなるのでしょうが、エンディングまでの選択数が10を多く越えないその体裁は、確かにノベルと呼ばせるものがあります。
 ビジュアルは基本的に紙芝居で、背景とキャラクターの2レイヤー構造を採用するものが大多数を占めます。例えば教室の絵を背景に、キャラクターの立ち絵を切り替える、という演出をするのです。
 BGMもシーンによって切り換えます。声優を採用して、キャラクターに喋らせるものも多数存在します。
 この手のソフトの価格が大体8000円前後、エロ抜きの評価をするユーザー層とメーカーが、無視できない数存在することを考えたとき、この手のビジュアルノベルソフトの桁違いの高コストを正当化する、何らかの利点がメディア形態そのものに存在するのでは、と思ったのです。
 ひと画面三行程度の大型フォントによる文章表示と、それを更新するためのクリック動作、そして分岐。細かな絵とBGMの制御。

 そこで、フリーでそんなシステム無いかなぁ、と、探したところ、幾つか見つけました。
 DNMLNScripterの、両方のシステムを試していますが、プログラムの動作は、NScripterの方が幾分完成度が高いようです。しかし、DNMLのsgml化が一番理想的だと思うので、DNMLのチェックも随時行なうと良いでしょう。
 また、パーム機には、Palm/Newt/Zau HeartJINZO NOVELという強力なシステムが存在します。これまたおおいに惹かれるシステムです。

 どのシステムも、シナリオも結構数あるようですが、大抵、ゲームの二次著作であるところが悲しいです。オリジナルも多少ありますが、学園恋愛モノであったり、メイドさんで妹で、というタイプであったりと、ジャンルには相当の偏りがあります。

 だから、普通の小説を試してみようと思いました。
 …まぁ、SFが普通かと問われると、何か「…ごめん」という気分になりますが、あまりに近い、滅多やたらな近未来、舞台は福岡、というフォーマットも、SFと呼べるのか、という気はします。アイディアは詰め込んでいるので、そこらのSFには負けない密度があるのですが。政治と音楽、ネットと妹萌えがメインアイディアに絡みます。
 最近「ビジュアルノベルにすれば、分岐にすれば、アイディア全部突っ込めるぞ」と気がついたんです。

 私はこういう、フツーのSFでビジュアルノベルをやるという、無意味に先端を突っ走る事に喜びを感じてしまう奴なんです。こういう試みこそがSFなのです。
 しかし、書いているうちに、妙に楽しくなってきました。

 まず、BGMをつけてみましょう。
 自分の好きな曲を、シーンの調子に合わせて選び、流すのです。mp3のデータをジュークボックス代わりに溜め込んでいるなら、これは簡単でしょう。
 絵のほうは、まずは考えないで。とりあえずプレイ。ほら、良い感じでしょう?
 自分の文章にBGMがつくと、はじめて自分の文章をプリントアウトした時のような、えらく立派なものになったような感覚がします。

 更に、タイミングを調整し、エフェクトを加えていきます。ここら辺で、自分の好きな曲というのが、必要なシーン全ての需要を満たさず、ある一定のシーンばかりに適合することを発見したりします。
 NScripterのmp3再生には難点があり、適切なパフォーマンスが得られないので、私は_inmmを併用しています。これは、プログラム中のCD-DA再生命令を、むりやり他のアプリケーションの起動命令に書きかえると言う強引なもので、mp3再生ソフトウェアの位置を、自分の環境に合わせて書き換えねばならず、配布不可能にしてしまうという代物なのですが、もともと再配布不可能なデータでBGMを付けているので、問題はありません。
 配布の際には、再配布可能なデータを作るか、入手せねばなりません。

 次に、絵を付けましょう。デジカメを持っているなら、風景でも撮って、背景にしましょう。人物の絵が無くても、結構間が持つものです。無地も、立派な演出なので、活用しましょう。
 自分は、音楽より絵を描くほうが楽なタイプなので、テキトーに立ち絵を数点書きました。登場人物の数だけとりあえず描けば、立派なものです。

 演出も細かく、凝っていきます。
 場面転換が、文章で明示しなくとも、BGMを変えるだけで明確になるのは、考えてみれば当然の事なのですが、ちょっとした驚きでした。
 絵よりBGMに凝った方が、最初は楽しいでしょう。しかし、再配布の際には、絵があったほうがウケが良いと思います。順番に、まずは一人で楽しみましょう。
 そして、他の人にも、この楽しさを広げてみてください。





 
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