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MiQryosoft
StoryBuilder
第三者試用レポート


 MiQryosoft StoryBuilderが、遂にその姿を現した。
 筆者は出荷前ベータ版を短時間試用したのだが、これは文芸創作に新時代をもたらす高機能RADツールである。まずはStoryBuilderの特徴や使用感を紹介しよう。
 なお、今回試用したのはベータ版であり、製品版と異なる可能性があることをあらかじめお断りしておく。
 特徴的なのは、某島のコンパイラを思わせる、ソーステキストエディタ、シナリオフレーム、コンポーネントパレットといったウィンドウが配置された初期画面である。シナリオフレームに適当なコンポーネントを放り込み、挙動を記述するだけで、物語が出来上がって行くのだ。
 シナリオフレームとは、いわば粗筋である。物語で使用されるコンポーネントは、すべてここからアクセスできる。1フレームは物語のワンシーンに相当する。場所、日時などの基本プロパティはフレームの属性である。各フレームは時間軸でまとめることもできるし、カットバックも簡単だ。この辺りはシナリオのトップフレームで、フレームコンポーネントの相互関係というかたちで記述することになる。

 さて、ここで簡単な物語をつくってみることとする。
 つくるのは単純なラブコメのワンシーンだ。フレームのキャンプションを「らぶこめ1」と変更しよう。
 人物パレットから「少年」を1つ、「少女」を2つ、フレームにドラッグアンドドロップしよう。少年の属性のうち、性格プロパティを「優柔不断」に変更。少女1の性格を勝ち気、少女2の性格をお茶目に変更した。
 更に、三人の間に相関ラインを引こう。少女1から少年のラインには「好きだが言えない」、少年から少女1へは「幼馴染」、少年から少女2へは「気になる」を割り当てた。
 ここで、各人物の設定に凝ってみるのも楽しいだろう。外観や言葉使いもいろいろ選べて楽しい。が、いまいち深みに欠ける気がする。もちろん、RADツールにそんな高度なことを期待する方が悪いのだが、そういう場合、作者本人が拡張するという方法がある。また、自分で拡張、新造したキャラクターコンポーネントの出来が良ければ、それを売って商売ができるだろう。
 後回しになってしまったフレーム設定だが、場所を住宅地->路地、時間を現代->不定->朝としよう。天候は晴れのままで良いだろう。
 ようやくここでソーステキスト編集に移る。時間軸コンポーネントをダブルクリックで、ソーステキストエディタに移ることが出来る。
 「朝-1」に、初期状態として、少年と少女1に「走る」「痴話喧嘩」、少女2に「走る」を割り当てた。今回は趣味で、少女に2には食パンをくわえさせている。
 「朝」で、イベントとして、ラブコメ衝突を少年と少女2に割り当てよう。
 「朝+1」で、少女2に「パンチラ」を割り当てる。ここでコンパイルしてみよう。足りない記述は補完してくれる。ただし、トップフレームから5W1Hがアクセスできない場合、コンパイルできない。その他型チェックは厳しいので注意しよう。なお、5W1Hは隠し属性にすることもできる。
 出来たものはどうだっただろうか。個人的には、少々文章が冗長な気がする。腕に自信がある人は、出力テキストを編集してみるのも良いだろう。ただし、そうすると次からの修正にデバッガの恩恵が受けられなくなるし、文体の不一致を引き起こし易くなるので、一般の方にはお勧めしない。
 出力テキストをビュワーにかけて、チェックしよう。文章を解析して出力される、シーン画像が自分のイメージに近ければ成功だ。かけ離れていた場合、各種設定をいじりながら満足のいくまで再コンパイルと画像生成を繰り返す必要があるだろう。

 最後に、幾つかの気になった点を挙げたい。
 ウリの一つであるウィザード機能であるが、これを使って生成した物語は、どれもどこかで読んだような、ありきたりの話になる傾向が強い。気軽だがちょっと使う気にはなれない。
 また、売れ線挿入機能だが、挿入されるラインが少々時代遅れに感じる。ホームページから最新の売れ線をダウンロードできるなどの工夫を期待したい。

 とにかく、非常に先進的かつパワフルな創作環境である。この世界を是非味わって欲しい。



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Copyright (C) 1997 Miqryosoft International, Inc. Last updated on July 10, 1997.