Q. 先月、求人に際し、数名の応募者の中から一名の採用を決めました。内定書を送り、入社の旨、念書も取り付けましたので、他の応募者には、断りの連絡もしました。ところが、入社間際になって、入社を辞退してきたのです。また新たに採用活動をしなければならないなど会社としての損害があると思うのですが損害賠償請求は出来るでしょうか。


A. 内定が決定したということは、労働者にとっても使用者にとっても、労働契約(始期付解雇権留保付期契約)がすでに成立していると考えてよいでしょう。一方、そもそも、労働契約というものは、契約期間を定めている場合その他特別な事情がないならば、労働者の方からは2週間前の予告によっていつでも解約できることになっています。入社日の2週間よりも前であるならば、損害賠償を請求するということは出来ないと思ったほうがよいでしょう。さらに、入社2週間以内に迫っての事態であったとしても、通常採用するような社員の場合には、その損害額を合理的に算出することも困難と思われます。採用を決定するにあたっては、難しいことでは有りますが、一度約束したことを簡単に反故にするような人物であるかどうかその人柄をよく見極めて採用することが大切になると思われます。