Q. 社会保険事務所の立入り検査があり、パートで働いている数名の従業員につき、社会保険の適用漏れであるから、最長過去2年分遡って社会保険料を納める様に言われました。過去の保険料の支払につき、従業員から従業員負担分を徴収する(又は、給与から天引きする)ことは出来るでしょうか。
A. まず、あなたは、その保険料の支払いをした後、事業所の従業員に対して、それらの従業員の負担分の保険料について私法上の債権を有することになります。ですから、それらの従業員は、あなたに対して従業員負担分保険料の借金を負っていることになりあます。一方、従業員の給与からの控除については、税金及び社会保険料については、源泉控除が認められています。それならば、過去の従業員負担分の社会保険料を源泉控除(給与からの天引き)が出来るかというと必ずしもそうではありません。
例えば、健康保険法では、
「(保険料の源泉控除) 第百六十七条 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。」
とあり、前月分の保険料は控除できてもそれ以外の月についての保険料については必ずしも認められていません。
ですから、従業員との話し合い・合意の上、無理のない方法で源泉徴収又は別途支払いをさせることをお勧めします。