Q. 本社が米国にある外資系企業です。本社から米国人社員が日本勤務になるに際し、社員負担分の社会保険保険料を会社が負担することが勤務条件の1つになっています。何か問題があるでしょうか。又、その場合、外国社員が本社に戻るに際し支払われる厚生年金の「脱退一時金」は、 当然、社員本人ではなく会社が受け取れると思うのですがいかがでしょうか。
A. まず、社会保険料の社員負担分ですが、これは、会社が肩代わりすることは出来ません。出来ないということは、もし、肩代わりした場合には、肩代わりしたとはみなされないということです。つまり、会社が肩代わりした分は、あくまで、社員の給与(報酬)から支払われたと考えられ、会社が肩代わりした額ともともとの給与(報酬)の額とを加えた額が、新たな報酬額とみなされ、社会保険料及び源泉徴収税額が決定されることになります。但し、現実には、社会保険事務所が、会社で負担した保険料を新たに社員の報酬額に含めて再計算した保険料を支払うように会社に指導したという話は聞いたことがありません。
さて、「脱退一時金」の件ですが、上記のことからもわかるように、会社が肩代わりした保険料は、社員の報酬の一部とみなされますから、脱退一時金は、あくまで、その社員に支払われるものです。もし、本人の同意なくそれを会社が受け取ったらば、それは、違法行為となるのはいうまでもありません。