Personnel Management Office Report

8月号

発行日:平成15年8月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き) 株価、企業業績等で少しづつですが、明るいニュースも聞こえるようになってきましたが、皆様におかれましては如何ですか。大企業の業績回復の後に中小企業の業績が回復し、企業の業績回復から少し遅れて雇用情勢の改善が見られるのが通常のパターンですから、今後に期待出来るかもしれません。

 

最近のニュースから

 

過労運転命令で運送会社を捜索、事故前で初めて

 トラック運転手に十分な休憩を与えずに過重な労働を強いていたとして、兵庫県警交通捜査課と姫路署などは10日午前、横浜市金沢区の運送会社「阿部興業」と神戸市や千葉県佐倉市、愛媛県新居浜市の運送会社の計4社を道路交通法違反(過労運転下命)の疑いで家宅捜索した。  居眠り運転など過労が原因による交通事故が起きる前に、運行管理責任のある事業所側を摘発するのは全国初という。  調べによると、佐倉市の運送会社「甚兵衛急送」は3月下旬、勤務前の約半月間休日をとらずに働き、過労のため正常な運転ができない恐れがあるトラック運転手(40)に、農機具を積んで岡山から埼玉県内まで運送するよう指示した疑い。  ほかの3社も、法定速度の範囲では達成できない無理な運行日程で積み荷を運ぶよう、運転手に命じるなどした疑い。 (日本経済新聞 7・12)


武富士、サービス残業代35億円を支払い

 消費者金融大手「武富士」(本社・東京)が、サービス残業をさせた従業員と退職者に対し、未払いとなっていた過去2年分の賃金計約35億円を遡及(そきゅう)して支払っていたことが27日、関係者の話で分かった。大阪労働局は本社の指示でサービス残業が恒常化していた疑いが強まったとして、29日にも労働基準法違反(割増賃金未払いなど)容疑で、法人としての同社と当時の労務担当役員ら数人を書類送検する方針を固めた。  厚生労働省によると、一企業が一度に支払ったサービス残業代としては過去最大規模になる。同省は先週、大阪労働局と武富士の刑事処分について最終協議し、書類送検の方針を確認した。 (日本経済新聞 7・28)

裁量労働制職場で過労自殺/研究員遺族がコマツを提訴  

勤務時間や仕事の進め方を自分で決める裁量労働制の職場で働き、自殺した男性の遺族2人が1日、「長時間勤務を放置し、健康管理を怠った」として、勤務先の機械メーカー「コマツ」(東京)に計約1億8,000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。  過労死弁護団全国連絡会議によると、裁量労働制職場の過労自殺で会社の責任を追及する訴訟は初めて。  訴状によると、自殺したのは神奈川県平塚市の男性=当時(34)。1998年秋から同社研究所のレーザー開発部門に所属。99年夏ごろから1日11〜18時間の長時間勤務が続いてうつ状態となり、12月に飛び降り自殺した。  平塚労働基準監督署は昨年「自殺は過労が原因」と労災認定したが、会社側は「長時間労働を強いたわけではない」と主張したため、提訴に踏み切った。  コマツ広報部は「訴状が届いておらずコメントできない。会社として改善すべき点は改善を進めている」としている。 (共同通信 7・1)     



今月の統計

女性の育児休業取得率は上昇(64.0%)
育児休業制度の利用者の状況
 出産者又は配偶者が出産した者に占める育児休業取得者(平成13年4月1日から平成14年3月31日までの1年間の出産者又は配偶者が出産した者のうち、平成14年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)をいう。以下同じ。)の割合(以下、育児休業取得率という。以下同じ。)を男女別にみると、女性は64.0%と前回(11年度56.4%)より7.6%ポイント上昇し、男性は0.33%と前回(0.42%)に引き続き取得率は低かった。これを事業所規模30人以上でみると、それぞれ71.2%(同57.9%)と13.3%ポイントの上昇、0.05%と前回(0.55%)に引き続き低かった。また、育児休業取得者のうちの男女別割合とみると女性は98.1%、男性は1.9%となっている。  事業所規模別の育児休業取得率を女性についてみると規模が大きいほど取得率が高く(500人以上77.2%(11年度76.3%。以下同じ。)、100〜499人75.9%(71.4%)、30〜99人64.2%(47.2%)、5〜29人55.6%(55.0%))、また、全ての規模で上昇がみられ、特に30〜99人規模では17.0%ポイントも上昇した


(厚生労働省発表 平成15年7月17日)

 
     

今月の事例

エンジニアの過労自殺認定=みずほ銀ATMトラブル−労基署  

昨年4月に起きたみずほ銀行の現金自動預払機(ATM)のシステムトラブルをめぐり、復旧作業を担当していた男性エンジニア=当時(37)=が自殺したのは、過酷な勤務による強いストレスなどが原因だとして、宇都宮労働基準監督署は3日、過労による自殺と認定した。  関係者によると、男性エンジニアは大手電機メーカーの子会社(群馬県)の事務所(宇都宮市)に勤務。汎用ATMのソフトウエア開発を担当し、昨年4月に自殺した。男性は同ソフトの不具合を復旧する作業に携わり、同時期にシステムトラブルが重なったことから、過労から精神的に不安定な状態に追い込まれたという。 (時事通信) [7月3日]

 

(あとがき)自衛隊イラク派遣法が国会を通過し、政治は、9月の自民党の総裁選及びその後の衆議院選挙に焦点が移って来ているようです。民主党と自由党が合併して、自民党に対抗できる勢力になることを期待する一方、はっきりとした政策姿勢が今ひとつ見えてきません。選挙後の勢力変化が楽しみです。