Personnel Management Office Report

11月号

発行日:平成16年11月1日

永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信

 

(前書き)大きな台風が日本列島を直撃した後すぐに新潟中越地震が起こりました。「天災は忘れた頃にやって来る。」などと言われます。阪神大震災が起きたのは、1995年1月17日。企業としても、時が経つにつれて、防災に対する業務上の優先順位が下がってくることがしばしばです。万が一のことなど考えなければ、経費節減となり日常の業務のみに社員が集中できます。危機管理の基本の基本は、トップ・マネッジメントが、常に危機意識を持ってその意志を社員い広く伝えていくことに有ります。企業の危機に対する強さを作り上げることは、経営トップの基本姿勢にかかっていると言ってもいいでしょう。

 

最近のニュースから

 

「サービス残業」横行、厚労省が一斉調査へ  

従業員に対して残業代などの割増賃金を適正に支給しない「サービス残業」が横行しているとして、厚生労働省は11月を「キャンペーン月間」に指定し、サービス残業解消に向けた対策に乗り出す方針を決めた。  昨年度、労働基準監督署の是正指導を受けて100万円以上を支払った企業が、2001―2002年度の合計を上回る1184社に達するなど、深刻な不払いの実態が判明したためだ。全国一斉に企業への抜き打ち調査を実施するほか、フリーダイヤルを各地の労働局に開設するなどして、個々の従業員から情報を集める。  1184社の不払い総額は約238億7000万円。労基署による是正指導で不払いが解消された労働者は約19万5000人に上った。また、このうち1000万円以上の不払いを是正指導された企業は236社あり、総額は約210億3000万円に及んだ。  不払いの最高額は電力会社の約64億3000万円で、過去にさかのぼっても最も多かった。このケースでは、管理職からの残業指示と社員からの残業の報告がいずれも口頭で行われていたため、サービス残業に対するチェック機能が働かず、1万人以上の社員が、年平均146時間余りのサービス残業を1年8か月にわたって続けていたという。  業種別では、製造業が不払い労働者数、金額ともに最も多かった。  サービス残業は、長引く不況で多くの企業が合理化に取り組む中、人員削減のしわ寄せが従業員に及んで問題が顕在化した。 (読売新聞 - 10月3日)


「汚職清潔度」日本は24位 産油国に腐敗とNGO  

世界各国の汚職を監視している非政府組織(NGO)トランスペアレンシー・インターナショナル(TI、本部ベルリン)は20日、ロンドンで2004年版「汚職指数」を発表。日本の清潔度は146カ国・地域のうち24位と、過去5年間で最低を記録した。  TIはまた産油国の多くでわいろやリベートなどの行為が目立つとして、石油企業にこうした名目で支払われた資金の公開を義務付けるよう、西側政府に呼び掛けた。  清潔度の1位は昨年に続きフィンランド、2位がニュージーランド、3位にデンマークとアイスランドが並び、5位にシンガポールが入った。  主要国では英国11位、ドイツ15位、米国17位、フランス22位、イタリア42位、ロシア90位の順。最下位にはバングラデシュとハイチが並んだ。 (共同通信 - 10月20日)


今月の統計

企業活動と公的負担に関する緊急調査について

経済産業省は、9 月下旬から10 月上旬にかけて、製造業・商社など国際的 に事業展開している大手企業96 社と日本商工会議所会員企業の中堅・中小企 業800 社に対し、税負担や社会保障負担といった公的な負担が企業活動に及 ぼす影響について実態把握を行うため、緊急調査を実施(中堅・中小企業につ いては日本商工会議所の協力を得て実施)した。

1  社会保障制度に対する企業の不満

  ・「社会保険料が高い」・・・大手企業の54% 、中堅・中小企業の68%

   ・「保険料がたびたび上がり、先止まり感がない」・・・大手企業の82% 、中堅・中小企業の73%

2  社会保険料負担の引き上げが企業行動に及ぼす影響

( 1 ) 社会保険料負担引き上げの程度と企業行動

 ・「現状より負担が少しでも上がれば、雇用形態の変更や海外移転など企業行動に影響」 ・・・大手企業の 15% 、中堅・中小企業の 22%

  ・「現状より負担が20 % 程度上昇した場合( ※) 、雇用形態の変更や海外移転など企業行動に影響」 ・・・大手企業、中堅・中小企業の9 割以上

   ( ※) 一定の前提で計算した場合、潜在的国民負担率が50 % を超える水準に相当。

( 2 ) 企業行動の変化の内容 ・「海外活動の比重を高める」・・・大手企業の4 割以上( 中堅・中小企業では 3.3% )

( 3 ) 「海外活動の比重を高める」場合の移転先 ( 回答の多い順) @中国( 93%) 、Aアセアン諸国 (80%)

今月の判例


2審は2億3千万賠償命令 「男女の賃金格差は差別」  

共同通信によると、女性という理由だけで男性よりも賃金を低くするのは違法として、工業用ゴム製品メーカー「内山工業」(岡山市)の女性社員ら19人が、同社に過去14年間の男性との賃金差額の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁岡山支部は28日、約2億円の支払いを命じた一審岡山地裁判決を変更し賠償額を約2億3,000万円とした。   前坂光雄裁判長は「男女の労働内容に明確な区分は認められず、賃金格差は合理性のない差別」と述べ、一審後に女性側が新たに求めた差額分も加え賠償額を増やした。   判決によると、女性社員らは工場でゴム製品の成型や検査などの作業に従事。基本給は勤続年数などが同じ男性より低く設定され、賞与や退職金も、男性に比べ低い係数を基本給に掛けて算出されていた。   同社は「主張が認められず残念。判決内容を検討して今後の対応を決めたい」としている。 (10月28)


(あとがき) さて、米国大統領選挙が迫ってきました。米国の政策が、日本の政策決定に大きな影響を与えることは今も昔も変わりません。結果を注目したいと思います。