Personnel Management Office Report 10月号 発行日:平成17年10月1日 |
永浦労務管理事務所からの人事・労務に関する情報発信 |
(前書き)10月は、4月に次いで新しい又は改正された法律の施行される月です。今年について言えば、最低賃金がほとんどの都道府県で改訂となりました。東京は、714円となりました。また、日米社会保障協定も今月から施行されました。米国人の働いている日本の事業所及び米国に日本人を派遣している事業所では、片方の保険制度からの免除の手続をすることになります。
最近のニュースから |
佐川急便に是正指導 下請け従業員を違法指揮
共同通信によると、大手運送会社佐川急便(京都市)の配送センターで、社員が請負業者から派遣された従業員に直接、荷物の仕分け作業について違法な指揮命令をしていたとして、東京労働局が労働者派遣法に基づき、同社に是正指導していたことが
22 日、分かった。 請負契約での指揮命令は、労務管理や労災発生時に責任の所在があいまいになるため同法が禁じている。
指導を受けた同社は全国の事業所 333 カ所を自主点検。
259 カ所で指揮命令や契約の不備などが見つかり、8月、改善報告を京都労働局に提出したという。
同社によると、昨年8月、東京都杉並区の配送センターで、佐川急便の社員が請負業者の従業員に荷物の仕分け作業を指揮命令しているのを東京労働局が監査で発見。請負契約を続ける場合は指揮命令をせず、守れなければ派遣契約か直接雇用に変えるよう同労働局が今年2月、同センターを是正指導した。
同社は「以前の監査では指摘を受けなかったので、適正な請負業務として法に抵触しているとは思わなかった。改善も終え、再び指導を受けないようにしたい」としている
監督指導による賃金不払残業の是正結果 ― 平成16年度は約226億円
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平成16年4月から平成17年3月までの間に、定期監督及び申告に基づく監督等を行い、その是正を指導した結果、不払いになっていた割増賃金の支払が行われたもののうち、その支払額が1企業当たり合計100万円以上となったものは、以下のようであった。
割増賃金の是正支払の状況 是正企業数は1,437企業、対象労働者数は169,111人、支払われた割増賃金の合計は226億1,314万円である。企業平均では1,574万円、労働者平均では13万円である。そのうち、1企業当たり1,000万円以上の割増賃金の支払が行われた事案をみると、是正企業数は298企業(全体の20.7%)、対象労働者数は108,752人(全体の64.3%)、支払われた割増賃金の合計額は188億6,060万円(全体の83.4%)である。企業平均では6,329万円、労働者平均では17万円である。
今月の統計 |
日本の国民の豊かさ OECD加盟30カ国中第10位
社会経済生産性本部は主として2005年版の世界銀行の世界開発指標等から,国民の豊かさ指標を作成し,OECD30カ国間の比較を行った。前回は第14位であった。
今月の判例 |
職場で出会い系、解雇妥当と判決 福岡高裁
勤め先の専門学校のパソコンで出会い系サイトに登録し、大量のメールをやりとりしていたとして懲戒解雇された元教員の男性(55)が解雇無効を訴えていた訴訟で、福岡高裁は14日、解雇は無効とした一審・福岡地裁久留米支部の判決を取り消し、元教員の訴えを棄却した。石井宏治裁判長は「メールをする労力を仕事に充てていれば一層の効果が得られたはずで、職務専念義務違反に当たる」と指摘した。
判決によると、元教員は職場のパソコンで、複数の出会い系サイトに登録。パソコンには98年9月から03年9月までに受信メール約1650件、送信メール1330件の記録があった。このうち送受信とも800件以上が出会い系サイトや女性とのやりとりで、ほとんどが勤務時間内の送受信だった。元教員は03年9月に解雇された。
石井裁判長は「勤務中に職場のパソコンで膨大な私用メールをやりとりすることが許されるはずがない」とした。
地裁久留米支部は昨年12月、「不適切な行為だが、授業などをおろそかにしたわけではない」として解雇は無効とした。
2005年09月15日 朝日新聞
年金減額、請求認めず 松下電器の訴訟で大阪地裁
共同通信によると、 松下電器産業(大阪府門真市)が、退職金の一部を預かり高利回りで運用し支給する「福祉年金」の利率を一方的に引き下げ、減額したのは契約違反だとして、同社やグループ企業の退職者
105 人が、減額分計約 4,000 万円の支払いを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は
26 日、原告の請求を棄却した。 判決理由で佐賀義史裁判長は「社内規定で減額は許される。経済情勢の変動などから強い必要性が認められ、内容は相当。同意を得るなどの手続きも不相当とまでいえない」と述べた。
原告は大阪など 12 都府県の 60 〜 76 歳。
判決によると、原告らは 1989 〜 2002 年の退職時、退職金の一部を預け、同社が年
10 〜 7.5%の利率で運用し分割支給する福祉年金の契約を締結。しかし、同社は
02 年9月の支給分から、原告らの同意なく利率を一律2ポイント引き下げた。減額分はそれぞれ年間6万〜
23 万円。 「経済情勢などに大幅な変動があれば改廃する」としている社内規定に基づき減額できるかどうかが主な争点で、原告は「個別契約なので、個別の同意がなければ変更できない」と主張。会社側は「規定を一律に適用でき、減額する必要性があった」と反論していた。
福祉年金は 66 年に創設され、02 年3月末までの退職者に適用された同社独自の制度。大津地裁が昨年、滋賀県内の退職者が起こした同様の訴訟で請求を退けた。大阪高裁で係争中。(9月
26 日)
(あとがき) 10月から高速道路の民営化が開始されました。郵政民営化法案も今特別国会での成立の見込となっています。東京都心部では、地価が上昇傾向が見られるようになりました。株価そのものはまだまだ低いながらも取引量においてはバブル期なみのようです。この傾向が、中小企業、さらには、中小企業の労働者に波及してくるのはいつ頃なのでしょうか。